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もはや潔さすら感じる中身の無さ!でもここまでくると面白いかも!「アメリカン•バーガー」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(496日目)

「アメリカン•バーガー」(2015)
ヨハン•ブルマンダー監督
ボニータ•ドライク監督

◆あらすじ
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夏休みにバス旅行に参加した学生たち。訪れたのは森の奥にひっそりと建っている、美味しいと評判のアメリカン•ハンバーガーを作っている工場。これから見学と思いきや、森の中からワラワラと作業着姿の男達が突如現れ次々と学生たちを惨殺していく。なんとアメリカン•ハンバーガーは100%アメリカ人の肉を使用する人肉バーガーだった。散り散りに森の中に逃げ込んだ主人公たちは無事帰路につくことができるのか…
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ヒューマントラストシネマ渋谷とシネ・リーブル梅田で開催された「未体験ゾーンの映画たち 2016」において上映されたスウェーデン発の作品です。

『工場を訪れたアメリカ人を惨殺してハンバーガーにする』

という設定やあらすじはコメディ系のスプラッター映画としては相当やりやすいというか、かなり自由にできる内容だと思います。実際、良い意味でまったく緊張感がなく、終始フザケているため個人的にはかなり楽しめました。

現在、配信などはしていないようです。私は池袋のTSUTAYAでレンタルさせてもらいました。

登場人物のキャラや関係性、パワーバランスを描くのが非常に上手く、冒頭のバス内のシーンで主人公たちはイケてないオタクなのがすぐに分かります。パンチラを拝もうとしたり、森で野ション&野グソをする女子をこっそり覗いたりと“どんな酷い目にあっても可哀想とは思えない愛すべきクズ”です。

一軍男子は筋トレの話ばかりして揃いも揃ってガタイが良く、一軍女子はチアガール、というように
作り手の鬱屈した過去や偏見も作品に落とし込んでいるようで面白かったです。

主人公
役名は“お坊ちゃんオタク”です。コミュニケーションを取るために女子に全力でタックルをかましたりするパワータイプの陰キャです。
主人公の親友のぽっちゃりくん
役名は“太ったオタク”です。一軍女子の野グソを見て「セクシーな柔らかいチョコアイスみたいだ」と発言するのが中々にキモかったです。
チアガールのリーダー
逃げる際に服が木に引っ掛かって次々に脱げていくお色気要因キャラです。“気づいたら裸になっている”というと浦安鉄筋家族の花丸木くんを思い出しますね。

敵側も料理長がかなりインパクトのあるキャラで、突然歌いだしたり、嘆いたり、アメリカ人の人肉100%に異常なまでのこだわりを見せたりと中々の気狂いで非常に面白かったです。

料理長役のフレードリク•ヒラー

Filmarksのあらすじの最後には

『この最恐の事態に学生オタク3人組とキュートでビッチなチアリーダーが手を組み、 殺人集団に立ち向かう!』

と記載されていますが、オタク3人組のうち一人はすぐに殺されますし、かわいいチアガールも中盤でトラバサミに挟まれ身動きが取れなくなり、主人公とぽっちゃりくんがなんとかしようとしているうちに作業着姿の男たちに連れ去られます。

なので厳密には『主人公とぽっちゃりくん』、『陽キャと陰キャ4人組』、『お色気要因のチアリーダー』がそれぞれ“森の中で作業着の男達から逃げ回る”をひたすらに繰り返すだけです。

これがほぼほぼ同じことの繰り返しで、叫びながら画面右に逃げたら一人殺されて、また叫びながら画面左に逃げたらまた一人殺されて…

みたいな感じで、本当にやることなかったんだなというのが伝わってきて逆に面白かったです。それぞれのパートがテンポよく切り替わるので間延びしたり退屈さは感じませんでした。

逃げ回るシーンは躍動感があり迫力満点です。

オチも非常に雑で

◆死んだフリをして工場に運び込まれた主人公がいよいよ切り刻まれそうになり、とっさにカナダの国家を歌ったら「おまえ、もしかしてカナダ人?アメリカ人じゃないのか?」と料理長に言われそのまま解放される。スクールバスで逃走を図る主人公はぽっちゃりくんや先生、チアリーダーを乗せて見事逃げ果せる。

という意味不明なノリとバカで乗り切る感じでこれまた私は嫌いじゃなかったです(笑)

引率の先生
窮地に立たされたことで覚醒し、戦闘狂と化します。

人肉ハンバーガーが生まれた経緯、料理長がアメリカ人の人肉100%にこだわる理由、主人公たちがその後どうなったのか、主人公たちと一緒にいたチアガールの生死は、先生はなぜあんなにも強かったのか等など

肝心な部分は何一つ解決せず

作業着を着てダース・ベイダーのモノマネに興じる主人公たち、彼氏が目の前で殺された一軍女子を慰めて抱きしめるフリをして髪の匂いをかぐカメラオタク等など

どうでもいいことに時間を割いて、重要な部分は語らず、そのくせ内容が激弱で、同じシーンの繰り返しで尺を無駄に伸ばすくらいやることがなかったおバカ映画ですが不思議と嫌じゃなかったです。

☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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