秀逸な脚本と構成!でもタイトルに惑わされる…「ゾンゲリア」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(502日目)
「ゾンゲリア」(1981)
ゲイリー•シャーマン監督
◆あらすじ
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テキサスの田舎町の保安官が、ある殺人事件を追及。検死官にして葬儀屋の男が、死体の美化蘇生に見入られ、殺しては墓をあばきゾンビに仕立てていることが判明する。だが時すでに遅く……。(Amazon.jpより引用)
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「ゾンゲリア」
というタイトルは前から存じ上げていましたし、おそらくはタイトル通りのゾンビ映画なのだろうと思い、あまり深く考えずにレンタルしました。
ミステリー要素が強く非常に見応えがありますし、結果的にはとても面白かったです。
しかしです!
始まって中盤くらいまでは
「これゾンビ映画だよね?ゾンビ出てこないけど…」
と戸惑いに戸惑いました。
「ゾンゲリア」というタイトルに引っ張られ過ぎて、想像していた内容とはあまりにかけ離れていたために脳が混乱しました(笑)
配信などはなく、私は池袋のTSUTAYAにてレンタルさせていただきました。
確かにゾンビというか死人は出るには出ます。
というかずっと出ていました。
ですが、ジョージ•A•ロメロ監督作品に登場するようないわゆる“Theゾンビ”とは全く異なります。
ゾンビに見えないゾンビなんです。
これが非常に面白いところで、見分けがつかないという点も非常に怖いです。序盤からさり気なく伏線を張っておき、ヒントを撒いておくことで、この作品の肝となる部分や見どころみたいなものが終盤で一気に明かされる秀逸な脚本と構成は圧巻の一言です。
脚本にはおバカゾンビ映画の金字塔「バタリアン」のダン・オバノン、そしてオバノンと共に「エイリアン」の原案を担当したロナルド・シャセットの名コンビが担当しています。
一筋縄ではいかないクセのある作風がホラー映画ファンとしては堪らないですね。
冒頭から“海辺でカメラマンと美しい女性のやり取り”というしっとり展開かと思いきや、“集団暴行からの生きたまま燃やす”というとんでもないギアチェンジっぷりで心を掴まれます。
終始陰鬱とした雰囲気が漂い、要所要所で今でも語り継がれる『眼球に注射』などのセンセーショナルな残酷描写が折り込まれるため最後の最後まで気が抜けません。
そしてあの絶望的なラストは映画ファンなら一度は見ていただきたいです。
そして
「遊星からの物体X」や「ターミネーター」シリーズなど数々の名作に携わってきたSFXアーティストのスタン・ウィンストン氏による特殊メイクは出色の出来で、一つ一つのインパクトがえげつないです。
鼻から硫酸を注入されて顔が溶解する様子や検死官兼葬儀屋のドッブスによる遺体の復元シーンはあまりの完成度に感動すら覚えます。
映画自体は製作費300万ドルに対して興行収入は21万ドル程と数字的には中々に厳しい部分もありましたが、40年以上経った今でも愛される味わい深い作品となっております。
ちなみに「サスペリア」等でおなじみの巨匠ルチオ・フルチが監修のみを務めたミステリー映画「ルチオ・フルチの新ゾンゲリア」(1990)という作品も存在しているようです。
☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。
渋谷裕輝 公式HP↓
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