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【デトロイト美術館の奇跡】 作:原田マハ

読書記録

今回は、マハさんの【デトロイト美術館の奇跡】を紹介します。


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〜あらすじ〜(本書裏面参照)

ピカソやゴッホ、マティスにモネ、そしてセザンヌ。

市美術館の珠玉のコレクションに、売却の危機が訪れた。

"市の財政破綻"のためだった。

守るべきは市民の生活か、それとも市民の誇りか。

全米で論争が過熱する中、一人の老人の情熱と一歩が大きなうねりを生み、世界の色を変えてゆくー。

大切な友人や恋人、家族を想うように、アートを愛するすべての人へ贈る、実話を基に書かれた感動の物語。


私は最初、この作品をあらすじを見ずに読み始めました。

『今回の作品は、

一体どんな物語が描かれているんだろう。』

そんなワクワクした気持ちを抱きながら、ページをめくっていました。


第一章 フレッド・ウィル《妻の思い出》では、

この作品の重要人物、"フレッド"。

そして、彼のパートナーの"ジェシカ"。

2人とデトロイト美術館の関係が描かれています。

デトロイト美術館の作品たちを"友だち"と呼ぶ、ジェシカ。

もちろん、それがある場所のデトロイト美術館は"友だちの家"。

『素敵な物語の序奏だなぁ。』と思いきや、

最後の一文で一気に心をひっくり返されました。

"デトロイト市財政破綻 DIAのコレクション 売却へ"

ここから、物語が動き出します。


最後まで読んで、1番印象に残った言葉。

アートを愛する気持ちは、金持ちだろうが貧乏人だろうが、どんな肌の色だろうが、関係ありません。

(第三章 ジェフリー・マクノイド 《予期せぬ訪問者》p.88より)


本当に、その通りだなと思いました。

マハさんも最後の【対談】で、日本全国には必ず美術館があることについて述べていました。

日本は、平等にアートが開ている国なんですよね。

"日本人に生まれてきてよかった。"

こんなときに、心からそう思います。


そして、物語の軸となる作品

ポール・セザンヌの描いた「画家の夫人」

マダム・セザンヌ、オルタンス。

表紙の絵にもなっています。


色んな解釈ができる、オルタンスの表情。

最初、私は『恥ずかしくてじっとしていられない。もう、早く終わらないかしら。』と言っているよな気がしていました。

でも、その眼差しは愛する夫を優しく見守り真っ直ぐ見つめています。

そして、全体を見るととてもどっしりと構えて座っていることに気がつきます。

すると、不思議と表情も落ち着きを持っているように見えてきます。

『大丈夫、あなたには私がついているから。』

見ているうちにだんだんと、そんなふうに語りかけてくれている気がしてきました。


作品の中でも、登場人物たちがそれぞれの想いを胸に彼女と向き合います。

ぜひ、読み終わった後に表紙の絵をじっくり見ていただきたいです。

きっと、何か感じるものがあると思います。



マハさんの作品を読むと、また一つ学びが増える。

些細なことだけれども、とても幸せなこと。

そんな作品に出会えたことに、本当に感謝します。

マハさん、ありがとうございます。

私のおすすめの作品です。










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