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Neutral006 男まさりの美女

Neutral 006  男まさりの美女

 有名観光地や、やや穴場的なスポットをロシアや東欧出身のモデル級の美女が紹介するYoutubeも人気がある。時々男まさりの言葉遣いが見た目とズレてオヤと思ったりする。恐らく初学の日本語を日本人の彼氏に習ったからだろうと思い当たって、惜しいなと感じる。かと言って優雅な日本語を話す日本人女性がそこら中にいる訳でもないだろうとも思う。兎に角外国人は日本人に比べてカップルになる確率が断然高い様に見える。個人主義と恋愛は両立し難いのにと感じているのに不思議なことだ。個人主義が特に浸透している訳でもない日本人の未婚率の高さから恋愛は心情より身体的な欲求が第一義なのかも知れないとも思った。今回はやや緩い話題や身近なトピックを且つ散漫に書いてみたい。
 カップルとニュートラルに関連性はあるのか?。家庭内という限定されたニュートラルにおいては自己のワガママは出やすい。自室においてならば誰とも軋轢は出ない筈だが、ワンルームで始まる若い、10代同士の新婚カップルには一室での同居は初めてのケースも多いのではと思ってしまう。逃げ場のない男女はワガママでぶつかるのである。権力闘争に発展し、割と簡単に別れるのは再起に自信があるからだろうか、少なくとも男はそう考えていそうだが、シングルマザーは当然増える。二十歳前後でシングルマザーは薔薇色の勝ち組と思っていた新婚生活から、社会の生活困難な層に転落したかの様に子育てと生活費に追われる。ワンルームでないアメリカの離婚率の高さも安全な場所である筈の家庭が我のぶつかり合いになってしまうからだろうが、元が個人主義だから危機的な将来は見据えていてそれでも衝動は抑えられないか、著名な俳優同士は離婚における財産分けを予め込みで婚姻にのぞむようだ。日本の事情とは違いはあれ、日本の方が年齢とともに落ち着くのに対し欧米での離婚率はイギリスでも50%を超えるという。江戸の町は独身が8割にも達していた。武家では長子。町屋では大店の跡取りしか婚姻は許されていなかったという事情があった。後継の養子に行けなかった武家の次男以下、素浪人の子供、奉公人など生涯を単身者として過ごす者たちは長いモラトリアムを生き続けねばならなかった。江戸の町ほどこのモラトリアム(誰でもない自分)と向き合った時代はないだろう。しかしその状況はこれからの日本の未来かも知れない。その知恵は継承され改良されてゆくのだろう。
 先にニュートラルを抑圧し無かったことにしてきた社会が近代ヨーロッパだと書いた。ならば日本人からニュートラルを引き算すればある程度は欧米人に近づくことが可能なのかどうか、求道者はニュートラルを極力避け、消さねば成り立たないのでそれらしくはなるだろう。例えばイチロー選手の様に。監督がイチローをブラットピッドと呼んで親しんでいたのを思い出す。メジャーの中で日本人という意識が周りからも消え去っていたのだろう。イチローも大リーグの選手は何故オレを真似しないんだ、と言い、彼自身もメジャーリーガーを超えたと思っていたフシがある。メジャーの選手以上にアメリカンナイズされた選手だったと云えるのはメジャー記録(1シーズン262安打)を保持していたという裏付けも大きいだろう。未だに破られないし、当分破られないだろうと予想されている、つまり大記録なのだ。日本人の1番バッターならもっとフォアボールを選んでチームに貢献しただろうに、あくまで自分のスタイル、単打を打つことに拘っていた。この個人主義・自己同一性もアメリカなら、メジャーリーグなら許される。アメリカ出身ではエンジェルスのスーパースター、マイク・トラウト選手が求道者の風貌で、そのままゴッドファーザーの主役に成れるだろう。アルパチーノの苦悩と同等の表情を表現出来る唯一のメジャー選手かも知れない。
 隙を見せず緊迫に生きていた武士は西洋人に近いと前にも書いたが、反対にハリウッド映画の英雄に侍の精神を見出している自分を発見することもある。ニュートラルの有無に関わりなく英雄というものには同じ匂いがするのかも知れない。
 オンラインゲームでチームを組んで戦っている時にアメリカ人は状況に関わらず夕食に行ってしまう、と苦情を述べている日本人ゲーマーがいた。個人主義は自己を優先する。
 たかがゲームであろうとも場の空気を読む「多様体」である日本人からすれば、自己同一性を保つことの困難性が理解出来る故に全面的に立派な欧米人の弛まぬ努力には頭が下がるのだ。「アンビリーバブル」という番組のレスキューのコーナーでは他人を家族の様に思い、危険な状況から救う勇敢な人物を再現ドラマで称賛してゆくのだが(ということは多くのアメリカ人は家族しか助けないと言っているに等しい)、原則ニュートラル(利他行)の無い社会での人助けとは、道徳心という徳を持って他人を助ける勇気のことなのだろう。
 日本人が自己同一性に憧れ、イチロー選手のように求道者になって欧米人を超えようと奮闘したり、欧米人が日本食の職人に憧れ、日本人の振る舞いにまみれ、日本人と認められようとしたり、その並々ならぬ努力、育ちから抜け出ることは至難の業に違いがない。一度は挑戦してみて挫折したとしても自分を知る重要な手掛かりになるだろうから若いうち、筆者も学生時代に挑戦し当然のように挫折したけれど自己同一性に尊敬の眼差しを向ける良いきっかけにはなったのだった。(続く)
 2024/03/25


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