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やりながら修正していく 2021年11月12日

 自称「胸が熱くなった女」神垣です。

 縁だけでは、何も生まれない・・・


 今日、紹介する本は
「MAEKAKEを世界へ ~コロナ下でのパリ・メゾン挑戦 」

 日本の伝統的な仕事着「前掛け」の企画・製造・販売を手掛ける
 有限会社エニシング代表の西村和弘さんの新刊です。

 今年9月にパリで開催された「メゾン・エ・オブジェ」出展までの
 道のり、そこで起きた数々の出来事、そして、これから
 をまとめた奮闘記です。

 メゾン・エ・オブジェとは、年2回、パリで開催される
 世界最高峰のインテリア&デザインの見本市。

 欧州はもとより世界から目利きのバイヤーたちが
 インテリア・デザイン製品の販路開拓に集結します。

 日本の伝統産業や工芸品の産地やメーカーなどが
 このメゾン・エ・オブジェへ出展するケースは
 10年以上前からありました。

 でも……

 日本製の伝統工芸品であれば、
 即、世界に通用するわけではありません。

「日本製」の肩書をはずしてもなお
「cool!」「beautiful!」
 と注目されるコンセプト、製品、仕掛けをして初めて
 手に取ってもらえ、商談が始まる。

 西村さんは「前掛け」を「MEKAKE」として
 世界に問うため、今年9月に2度目のメゾン・エ・オブジェへ出展。

 コロナにへこたれず、前へ前へと挑戦を続ける様子が
 本書に書かれていて、清々しくも勇気と元気をもらいました。

 本書にある西村語録を紹介しましょう。

『決断』は二つ大事なことがあり、
『決める』ことと『断つ』ことを同時にやらないと、
決断にはならない(アーティストWataruさんに教わった言葉として)。

「事業承継、若手の人材育成を考えるときに最も大事なのは、
 新しい需要の創造、マーケットの創造です」

『時代が変わってきている』。量より質、出展者や来場者が
多ければいいわけではなく、共感できたものがマッチング、
成約しやすい時代と環境になっている
(2021年2月、緊急事態宣言下での東京ギフトショーで同社
 過去最高の反響・受注を得た分析として)。

僕が帰国後によくまわりから聞かれて一番困る質問が
「やはり海外では日本のものは売れますか?」
「前掛けは海外でも人気あるんですか?」これが答えに困る。
(中略)
豊橋駅前のスターバックスに
「コーヒーは豊橋で人気がありますよね?」と聞くことと同じで、
コーヒーを出しているから人気が集まっているわけではなく、
スターバックスだから流行っている。

僕は『やる、やらない』=『やりたいこと、やりたくないこと』
(やるべきこと、やるべきでないこと、と言った方がいいか)を
はっきり決めているので、
よく「ごめんなさい、それは出来ませんね」とすぐ断る。

『出会って、意気投合』=『縁』を『やりながら修正していく』
=『Ing』
変化しながら動き続ける。

 西村さんと知り合ってかれこれ20年ほどになりますが、
 彼を傍から見ていると「この人、持ってるなぁ」という局面が
 とにかく多い。

 それは、彼が引き寄せる体質というより、
 上記のように『やりながら修正していく』現在進行形のマインド
 の持ち主だからこそ、数々のセレンディピティが発生するのだ
 と感じています。

 本書は
 フランスから帰国後、3日間のホテルで強制隔離の間に
 一気に書き上げたという“出来立てほやほや”の
 熱量が行間にあふれています。

「ブランディング」の仕方を学ぶ書としても
 実に勉強になる内容です。

西村和弘 著「MAEKAKEを世界へ ~コロナ下でのパリ・メゾン挑戦」

メールマガジン 2021年11月12日 VOL.3911 配信  あとがきより)

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