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ポジショントークが増えた理由【その1 】

旧知のフリーランサーの友人と話したことがある。
「昔と比べると、やたら営業とか売込みとかの“ポジショントーク”が増えたよね、なんでだろう?」と言う様な話だ。
これ、身近な部分ですごく感じてる。
例えば、世の中で開催されるセミナーひとつ取っても、昔はきちんと受講料を取るような、客観的な教育・研修系のセミナーが多かったが、今は無償で公開される客寄せ・売込みのためのセミナーが殆どだ。

大企業を例に挙げると
大企業担当者は昔から自虐癖があって、うちの会社はダメですよ!大企業病なんで…そして僕はしがないサラリーマンなんで命令には従わないと……と「本来そうあるべきじゃないんだけど、会社がダメなのでそうしてる」的な話が多かった。
それが少し風向きが変わってきた気がする。
会社への不満や愚痴は相変わらずだが…部署・部門の観点になると全体最適論や顧客最適論で語る人は凄く減っていて、自分の部署・職務・職掌や自分の保有スキル範囲の立場で主張する人が増えた気がする。
昔だと、あくまで会社全体としてこんな問題があるから、うちの部署はこう動いて、あそこの部署はこう動いた方がよい。とか、この部署とくっついちゃった方がお客さんのためになるのにな……とか言う人がもう少しいた気がする。

そして、僕にとって衝撃なのが、
フリーランスや個人事業主なのにポジショントークを語る人が増えた!という事実だ。
僕自身は30歳~38歳くらいまでフリーランスを経験している。39歳以降はスタートアップや自分の立ち上げた小規模の会社の経営を担っているが、メンタリティはフリーランスの時とあまり変わっていないように思う。
フリーランスってどうしても仕事の領域が狭くなりがちなので、自分がやったことのない仕事とか得意じゃない仕事も基本は断らないというスタンスで活動していた。

僕の場合はビジネスコンサルタントだったので、特定分野の特定の会社の支援をするのだが、そのクライアント企業には少なからず競合他社がいる。
これは当たり前のマナーだと思っていた事だけど、例えばメディア取材を受けて発言するときとかに、「クライアントはべた褒めして、競合企業は落とす!」なんて発言はしなかった。
だって、次にはその競合企業が顧客になるかもしれず、そもそも今の自分のクライアント企業が常に優れてるとは限らないからだ。往々にして上手くいっていないからコンサルタントに依頼がくるわけで、それはありがたく引き受けさせていただいた。2年も支援してて相変わらずダメだったらそれは僕の責任です(笑)。

ところがところが、最近のフリーランスの人を眺めてると、自分のクライアントがやっている技術とかその派閥は持ち上げて、競合はボロボロに貶めるような発言をする人が多い気がするのだ。
特に技術系・エンジニア系の人かなぁ……例えばAmazonのAWSシンパの人はMSのアズールを貶める…Adobe派の人はセールスフォースのマーケティングクラウドをバカにする……。等である。自分の得意技術がその派閥に依存しており、そこからお金をもらったりエヴァンジェリストだったりするためだとは思うけど、世界全体の技術やサービスの健全な発展や自分スキルの向上・今後の拡がりを考えると、それってどうなの??と感じてしまう。

そもそも技術とかサービスとか商品なんて、所詮良いところも悪いところも完成度の低い未熟なところもあるものだ。様々な競合技術や競合プロダクトが切磋琢磨して市場を作り上げるのが経済社会というものである。今日のAppleがあるのはAndroidが追っかけてきたからであり、Appleだけだったらスマートフォンの市場はもっと規模の小さいものだったはずだ。プログラム言語もフレームワークも色々登場してくるから、淘汰されて良いものがより伸びるのだと思う。

フリーランスは文字通りフリーであって、どこの企業にも所属してないのだから、その辺客観的・大局的に振舞うべきだと思うわけだ。もちろんAdobeのオフィシャルエヴァンジェリストとしての立場ならば、Adobeをベタ褒めするのは業務だ。しかし、一個人の立場を今後の貫きたいならば、今の自分のポジションやスキルにしがみ付いて守るような発言をするのではなく、もっと大らかに、市場の未来を見据える発言をした方が、信頼されると思うよ!
この話は奥が深いので、その2 に続きます。