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経営と現場を、対話で繋ぐオンナ

傍から見ると、お互い同じことを言っているはずなのに、対立構造が生まれてしまうのはなぜだろう?1年半程お手伝いしている小さな会社で、立て続けにメンバーが辞め、なんとなくみんな不安になり、現場から経営に対する不満が募り、不穏な空気が流れていた。


経営と現場の乖離

現場からは、トップがちゃんと方針を出さないから、自分たちはこんなに数字を追ってお客さんと向き合っているのにという声。経営側からは、メンバーが主体的に考えて動かないから、好き勝手言わせないで締める時はしめなきゃ。他責の発言が見られ、誰かのせいにして、気づいたら対立関係になっていることはよくある。ひとりのネガティブな姿勢やエネルギーから、悪い雰囲気はあっという間に広がり、悪者を作り上げ洗脳されていく。
おー、来たキタ、私の出番。というわけで、早速組織文化プロジェクトの壮大な提案書を作り上げ、大風呂敷を広げたのだが、それぞれ現場をまわすことに精一杯でいきなり全部できるはずもなく。じゃあとりあえず、コアメンバーの話を私がフラットに聞いてみましょうかと、その場で決まり即実行。提案と実行を同時に、実費だけのほぼ無報酬で今思えばなぜそこまでするのか無謀なチャレンジ。
特に役職も役割もないため、自分の立ち位置と目的、チームの要となるコアメンバーを設定し、1on1の面談がスタート。意識したのは、私は中立的な立場であり、誰の肩を持つこともなく、またこうしたらうまくいく成功法もなければ、こうしたいとゴールから逆算するような導きや期待もない。至ってフラットであること。

経営と現場の橋渡し

実はちょうど、古株のメンバーがこの事態にこのままではよくないと初めて声を挙げ、経営側に物申した。伝えたいことは伝えられたと大きな一歩を踏み出したことは勇気のあることだしよかったのだが、相手に伝わったかは別。案の定、経営側から相談され、じゃあこれからどうしていったらいいか光を見いだせていない様子だった。しかも、結局何が論点だったのか目線合わせができておらず伝わっていない。やっぱり私しかいないよね、呼ばれてる!?重い腰をよっこらしょというわけ。

1on1で現場の意見をすいあげる

さて、まずは小さくスタート!みんな初めて受けるであろう1on1に、最初は緊張、疑心暗鬼、何をしてくれるの、てかあんた何様と思っただろう。いざ話し始めると喋る、喋る。普段あまり出てこない熱い思いに、なんだこんなに色々考えているのに、それぞれの強みや個性が活かされていないのはもったいない。ちゃんと話を聞いていくと、みんなせっかく人生の貴重な時間を使って働くなら、よりよくしていきたい気持ちは一緒。集まったメンバーに前向きなエネルギーが宿っている、いい予感。これまでのやり方の踏襲、チームとしての役割分担もない。常に人手不足で、事あるごとに自分たちを振り返り、次の改善に繋げられていない、その場対応にはもううんざり。変化の激しい時代、自分たちは誰にどんな価値を提供していくのか、シンプルに誰を笑顔にしたいのか、現場の課題感はよくわかるし共感できる。
結局何が言いたいのか要点をまとめ、経営チームに壁打ち、経営側の思いを改めて聞く。こちらもとてもリアルで理解でき、大共感。SDGsや目に見えない価値、これまでの固定概念を壊し、新時代を築いていくのは並大抵のことではない。メッセージを直接的に伝えるよりも、場を作って、そこに人が集まると自ずと問われ、体や心で感じとれるような仕掛けが必要で、私自身も日々あれこれ頭を悩ませている。
両者が真逆のことを言っていることもあれば、大枠同じ部分もある。あれ、そこまで違う方向向いてるわけじゃないのでは!?会社の理念や世界観を、事業や現場の仕事、顧客対応に落とし込めておらず、点々バラバラと繋がっていないように見えるだけで、ちゃんと話し合いの場を作ってチームになれば前を向いて進んでいけそう。

MTGの場づくり

双方のヒアリングを踏まえて、MTGの場を設定、ファシリテーターとして話し合いを実施。みんなで創りあげていることを大切に、誰も置いてけぼりにならないよう一歩ずつ確認しながら慎重に進める。みんなちゃんと話せたと満足感があったようで、ブレストすること、一旦決定してトライアルで動かしてみることが明確になり、いよいよ動き出した。嫌な雰囲気を放っておかずに、今自分たちはどんな状態か、言語化して言葉として共有することは、必要な第一歩だ。我ながら、色んな意見があっていいよね、とりあえずやってみようよの博愛とスピード感や行動力が奏功し、とてもいい議論ができたのではないだろうか。
まだ走り始めたばかりだし、こうなって欲しいと何かが変わることを期待せず、それぞれのペースで楽しく歩んでいけたらいい。さぁ、これからどんな化学反応が起こっていくか!?

吉崎さんがいてくれて大変助かってます。
僕には理想論しか言えなくて方向性をぼんやりと示すくらいしかできないかもしれませんが、 実際に見える化、言語化など、わかりやすくしていく事を助けてもらっています。

コミュニケーションするうえで大事にしていること

最後に、コミュニケーションの話を。こうじゃないといけないと押し付けるのは、お互いにとってよくないんじゃないか。こういうのもあって、これもある、選択肢が色々あって、わからないけど色んな球を投げかけてみて、これもあるよね、これは違ったね、と「これじゃないんだよね」と言えることを大事にしたい。じゃない方って実は、余白であり、考えるスペースを与える。自分はこういうのが好き、でもあなたは好きでも嫌いでもどちらでもいいよ。もしそれおかしくない?と言われても、そう?私はいいと思うんだけど、あなたはそう思わなくてもいいよ。このキャッチボールを楽しみたいし、どんな時もフラットなスタンスでいたい。

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