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WBCから学ぶ、チームの雰囲気づくり

WORLD BASEBALL CLASSIC 2023が開幕。日本中が熱狂しているのは、チームの魅力であり、そこにいる選手をはじめとする一人ひとりの人ではないか?
私自身、全くの素人で、正直野球はどうも政治とお金の匂いがして、近寄りがたいスポーツだと敬遠していた。勝つか負けるかの世界で、勝敗が突きつけるプレッシャーやまわりからの誹謗中傷は、決して気持ちのいいものではない。けれど、少年のように野球を楽しむ姿、夢のようなドリームチームで世界に通用するメンバーがこれだけ集まったのだから、最高じゃん!という純粋な好奇心や喜びから来るエネルギーは、観る者を魅了し離さない。ビジネスやスポーツ関係なく、生きる上で本来あるべき姿を見せてくれて、心から楽しんで巻き込まれ、ついつい全力応援してしまう理想の形だ。


共通言語や合図で作るチームカルチャー

なんと言っても突如として、おじさんから子どもまで、みんなやるようになったペッパーミルパフォーマンス。私もカフェで披露したら、女性にも好評だった。通訳で大谷選手の相棒、水原氏までベンチで胡椒をふる。誰にやれと言われたわけでもなく、みんなやりたくて仕方ない。このブームを作ったのは、大人気となったヌートバー選手であり、一番のフォロワー大谷選手をはじめチームで良い雰囲気を作っているからだろう。日本が大好き、何より野球が楽しくて仕方ない、言葉の壁を超えて誰とでも繋がれる。日本代表チームに欠かせないムードメーカーは、打っても良し、守ってもスーパープレイが飛び出し、チームに力がみなぎってくる。栗山監督は、わざわざ現地まで足を運んで、彼の人間性とチームへの影響力を見極めて大抜擢したという。

「兄弟、家族として残り6試合。昨日の試合で緊張は解けた。今日は自由にやろう」「頑張ります!さぁ、いこう!!」

日韓戦の円陣でみせたヌートバー選手の声出し

チームの雰囲気づくり

チームの雰囲気づくりは、細部にまで宿る。デッドボールが背中に当たった時、ヌートバー選手は「ちょうど肩の凝っていたところに当たって、おかげでほぐれたよ。」デッドボールを当ててしまった佐々木朗希投手は、相手の宿舎までお菓子を持ってお詫びに行った。残念ながらケガで出場できなかった鈴木誠也選手(負傷した脇腹にはテープでバツマークや変顔写真)や栗林投手のユニフォームはベンチに掲げられた。遊び心を忘れない。ダルビッシュ投手はオフに、投手陣を引き連れてラーメン屋へ。「たかが野球、楽しくやろう」とチームに一番伝えたかったのだそう。"ダルビッシュジャパン"と呼ばれる程、次世代育成のためピッチャー陣に惜しみなく教える姿はさすがだ。
そして、大谷選手のチームメイトに向ける明るさや優しさ、オーバーリアクション、まわりが一緒にいてとにかく楽しそう。彼からインタビュー中ぽろっとでた疲れたのでという言葉の裏には、世界のスーパープレイヤーとして見られる自己を認識し、成績以上に、チームの雰囲気づくりに相当気を遣っているのだろう。挙げだしたらきりがない程、どの選手も魅力的で人としてリスペクトされる行動ばかり、どこを取っても侍ジャパンらしさを感じ、ますます好きになる。

チーム一丸となって戦うとは

個人戦ではなく、チームで戦うことが意味するものは何か?あの世界の大谷選手が、準々決勝で一球一球雄叫びをあげながら全力投球する気迫から一変、まさかのバント。選手たちが自分たちの役目を果たし、フォーボールや犠牲フライ。自分の成績や見栄なんてどうでもよくて、全てはチームのために。栗山監督はひたすら信じて、何の指示も出さず、固唾をのんで見守る。
調子のいい選手もいれば悪い選手もいる。あれだけ村神様と崇められながらも、中々結果が出ず心配された村上選手。そんな彼を栗山監督は誰よりも信じ、仲間からは肩を組んでいるような雰囲気で離さない。ファンからはSNSで大丈夫だよの声やヒットを打った時の鳴りやまぬ拍手。自分の結果が思うようにいかなくても、チーム一丸となって補完し合う、勝利を掴む、それでいいんだ。
大谷選手の一挙手一投足が気になるのだが、同じようにどの選手からも目が離せない。競技、技術はもちろんのこと(長いはずの10回裏まであっという間でテレビに釘付けになり、まだまだ見ていたくなる)、そのベースにある人やチームの魅力が途轍もなく大きい。まさに、表にでてくる商品やサービスの裏側、一番下にある組織文化の威力。チームで事を成すことの面白さ、そして何より侍スピリットを体現してくれて、日本人であることがこれほど誇りに思えるなんて。幸せな時間をありがとう。これからも一緒に戦っていきたい。

●人間性:感性、愛される人間、計画性、感謝、継続力、信頼される人間、礼儀、思いやり

●運:あいさつ、ゴミ拾い、部屋そうじ、審判さんへの態度、本を読む、応援される人間になる、プラス思考、道具を大切に使う

●メンタル:はっきりとした目標、目的を持つ、一喜一憂しない、頭は冷静に心は熱く、雰囲気に流されない、仲間を思いやる心、勝利への執念、波をつくらない、ピンチに強い

高校一年の大谷選手の目標達成シート(マンダラチャート)より

◆編集後記(※資料付き)

2023年に私のnoteで読まれたTOP3の記事だったということがわかり、追記しようと思う。実は、この記事を書いたのはメキシコ戦の前。その後、侍ジャパンは見事優勝を掴みとり、日本中が大きな感動に包まれた。改めて、優勝後にまとめた資料があるので、有料で公開してみたい。
WBCから学ぶと題して、「大谷翔平:言葉の力」、「ダルビッシュ有:育てる力」、「栗山監督:信じる力」の3つの観点からまとめた。

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