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シンガポールで働きたいデザイナーへ

これは約半年間(2018年9月-2019年2月)シンガポールでUX/UIデザイナーポジションを探して転職活動をしていた記録だ。結論から言うと当地では希望するようなオファーを貰うことはできなかったけれど、デンマークに本社のあるサービスデザインファームのオスロオフィスからUXデザイナーとしてオファーを貰えた。次のキャリアとしてはこれ以上無いほど良い仕事なので受けることにした。なのでこれはシンガポールでの転職としては失敗の記録だが、ここでデザイナーとして働きたい人に役立てばいいなと思う。

私のバックグラウンド

-シンガポールでUX/UIデザイナーとしてスイス系都市開発リサーチ機関で働いている。現時点で2年半
-英国大学院でInformation Design修士号取得
-UXデザイナーとして多国籍デザインファームへの転職希望
-現在の職場はデザイナーが私1人なので複数のデザイナーと働けることが条件
-ローカル企業は避け気味
-UIデザイナー職にも場合によって応募
-ポートフォリオはData visualisation関係のアプリのデザイン多め
-現在の職場はプロジェクトベースなので雇用期間が決まっているが、延長しようと思えばできる

シンガポールのデザイン業界

-デザイナー職には金融系やスタートアップからの求人が多い
-国際的なデザインファームは全部でおそらく10社くらい
-Employment Passという私が取得できるビザの条件は給料の下限(月給約30万円)が設定されている

12社との面接

今働いている会社には大学院卒業後、東京で外資系か海外のフルタイムの仕事を探していた時に見つけて応募し、一度のスカイプ面接を経て採用された。とてもあっけなかったので転職も楽勝だと思っていたが、結局12社と面接をして内定が出たのは1社、それも希望と合わなかったので辞退することになった。残りのうち選考を辞退したのは4社。

日本でまともに職探しをしたことがないので比較は出来ないが、不採用だと応募者への連絡が無いのは当たり前で、不誠実な対応をされることもあった。

書類選考は9割近く通過した。面接では基本どの企業でもポートフォリオから一つか二つプロジェクトをプレゼンした。以下それぞれの会社とその本社所在地、応募ポジション、応募方法、選考プロセス、面接の印象(&愚痴)について。

A デザインファーム/欧州系/UX designer
公式サイトから応募
一次面接:Midweight designer
二次面接:Project manager & Midweight designer
オファーなし

かなりの少人数(5人)のため、もっと経験のある人を探していると言われる。不採用通知から週数間後、面接をしたPMから彼の転職先に応募しないかと誘われるが、勤務地がクアラルンプールだったので断った。

B 交通系ソフトウェア開発/シンガポール/UI designer
リクルーター経由
一次面接:Senior designer
最終面接:辞退

CEOとの電話面接の予定をリクルーターから知らされる。その時点で午後2時で面接は同日の午後7時。7時になり電話をとる準備をしていたがかかって来ず、15分過ぎた頃にリクルーターに連絡したものの、彼女も理由が分からないという。その後も何も連絡がなく、8時頃CEOから「社内ミーティングが長引きかけられなかった。明後日話そう」というSMSが届く。印象が悪かったので、翌日リクルーター経由で応募を取り下げ。

C 大手通信/シンガポール/UIUX designer
公式サイトから応募
一次面接:Project manager & Senior designer
オファーなし

面接の手応えは良く、面接官も「二次面接に招待する」と言っていたものの音沙汰なし。面接官の連絡先は知らされていなかったので、やり取りをしていた人事に2度返事を催促したが返信はなかった。

D 交通系巨大スタートアップ/シンガポール/Product designer
公式サイトから応募
面談(電話):人事
一次面接(ビデオ):Midweight designer 2人
オファーなし

面接中スプレッドシートを画面共有され、8つくらいの項目(User testing/UI design/UX designなど)について10段階で何点を自分につけるか聞かれた。面接中にお互い合わない感じがした。

E 金融系コンサルタント/米系/UX designer
LinkedinのEasy applyから応募
一次面接(電話):Project manager
オファーなし

なぜか音声だけで今までのプロジェクトを説明させられる。面接官は「君のポートフォリオサイトが開かなかったから見たこと無い」と言う。デザインプロセスを説明すると「なんか普通だね」と言われる。

F 交通系ソフトウェア開発/シンガポール/UIUX designer
ポートフォリオサイトに載せているメールアドレスに連絡が来る
一次(最終)面接:CEO & HR
オファーあり

私のポートフォリオをWantedly経由で見つけたらしく、直接連絡が来る。軽い気持ちで話しに行くとぜひ入社して欲しいと言われる。デザイナーが他にいないこと、また年俸が下がることを考えオファー辞退。

G デザインファーム/欧州系/Interaction designer
公式サイトから応募
一次(最終)面接:CEO of Singapore
オファーなし

Interaction designerとしてUIデザインと共にフロントエンド開発もできることが条件だったがダメ元で応募。面接に呼ばれ、その枠は埋まってしまったがUX designerとして近い将来(半年くらいのスパン)採用したいと言われる。その時点で現在の職場のプロジェクトが年末で終わりだったので、2019年から働きたいと交渉すると2ヶ月後までに返事をすると言われる。2ヶ月後、採用できる可能性がまあまあ高いけどもう2週間待ってと言われる。その後音沙汰なし。

H デザインエージェンシー/米系/Visual designer
リクルーター経由
オファーなし
一次面接(ビデオ):Exective creative director
二次面接:Senior designer

一次の感触は良かったが、二次面接ではあまりその会社のプロジェクトに必要な経験が無いと言われ、リクルーター経由で不採用に。フィードバックとしては以上のことと、アカデミック勤めなので仕事のスピードが遅そうと言われる。

I テック系コンサルタント/米系/UIデザイナー
Linkedinに人事から応募の誘いが来る
一次面接:Design director
選考辞退

Data visualisation関係のプロジェクトからはUIの実力がわからないというようなコメントをされ、次に進む前にデザインチャレンジをして欲しいと言われる。一度は引き受けたが当時体調が良くなく、またモチベーションもなかったので辞退。

J 旅行系スタートアップ/シンガポール/UIUXデザイナー
G社の代表から紹介されたとメールが届く
一次面接:CEO
二次面接:Lead developer
オファーなし

音信不通だったG社の代表から紹介されたと連絡が来て面接をセットアップされる。立ち上げたばかりで20人規模のスタートアップだったのであまり乗り気ではなかった(潰れるリスクが高いので)。

K 金融系コンサルタント/欧州系/UI designer
Linkedinで知り公式サイトから応募
一次面接:Senior UX designer
二次面接(ビデオ):Design Lead
最終面接:Director & HR
選考辞退

感触は良かったがオスロでの仕事が決まったので結果が来る前に辞退。二次面接では修士論文の内容を聞かれてうろたえた。

L デザインエージェンシー/米系/UXデザイナー
リクルーター経由
一次面接:Senior UX designer
選考辞退

オスロでの仕事が決まったので辞退。印象は良かった。

いろんな会社を垣間見れた

はじめの頃はそれぞれの会社に対してモチベーションもあり緊張することもあったが、これだけ色々面接を受けていると英語でもだんだん口からでまかせが出るようになった。

なかなかオファーが出ず、更にG社との面接の数日後体調を崩し、その後1週間入院することになってしまいビザの期限も相まって数ヶ月間不安定な日々を過ごした。

一時期はストレスフルだったけれど色んな会社を覗くことができて良かった。性格的にスタートアップ系は合わなそうだと感じた。ただ好んで受けていたエージェンシー系も、シニアやディレクターポジションにいるのが軒並み白人男性だったのは結構思うところがある。

シンガポールで働くのはおすすめか

テックスタートアップや金融系、銀行等でデザイナーの求人は多い。まだ若手で経験を積むのには良いと思う。エージェンシーが希望なら狭き門かもしれない。ローカル企業でなければ色んな国籍、バックグラウンドの人と働くチャンスがある。

仕事以外では、何より週末に東南アジアの他の国にさっと旅行にいけるのが楽しい。私も2年半で30か国・地域以上行った気がする。

ただ外国人としての権利は限られていて、永住権を持っていない限りフリーランスは違法、不動産も買えない。そして永住権を取るのは年々難しくなっている(シンガポール人と結婚していない限りほぼ不可能)。

シンガポールは人の出入りが激しく、expatは1−3年シンガポールで過ごすと帰国か私のように他国に引っ越してしまうことが本当に多い。Expatの友人が多い場合、親しい友人が居なくなってしまうと虚無を感じる。友人や同僚とよくシンガポールはcome and go placeだねと話していて、やっぱり通過点的に認識している人が多い。

英語がビジネスレベルで出来、数年の経験があり、国際的な環境で働いてみたい人には良い環境だと思う。時間はかかるかも知れないけどトライするだけの価値はあるので興味ある人はがんばってほしい。Good luck with your job hunting :)


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