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ハツのラツ

人との距離感が分からずすぐに人の懐に入り込み、当たり前のようにお菓子やフルーツをせがみ、公園に大きな犬がいれば触るはもとより、手綱を引っ張って犬の顔を自分に向けようとする人がいる。そんな人間に出会うと日本人たちはすぐに違和感を感じて遠ざけようとする。不寛容さは否めない。その光景に私は傷付く。今ここでのびのび生きられても、日本に帰って本人が生きづらさを感じれば障害だ。私はソーシャルスキルをトレーニングしなければならない。社会性を身に付けることはその人の個性を押し殺すことではない。人格の否定はしていない。その違いが分かるだろうか、私は自分の生きてきた道筋を振り返ってみて、まるで気付いていなかった。

マイノリティが窮屈な世の中なんてつまらない。マイノリティが日常を、芸術や文化を、世界を変えることがある。あなたはそのままでいい。あなたらしく生きればいい。
だけどある文化圏で生きていくならそこに住むマジョリティを知っておいた方がいい。他人は自分と違う。他人の普通を認識するとこであなたは生きやすくなる。だから多少の術を教えている。それでもあなたはこれから、躓くことで気付くことがあるだろう。生きづらさを知ることが、あなたを強くするだろう。私が教えられることはとても少ない。だって私は、本当は何も分かっていないのだから。

あなたはいつか、私の言っていることが分かるだろうか。私とあなたは他人で、私が自分を否定してきた道筋を同じように歩く道理はないのだから。どうか健やかに。

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