しいふう

ままならない人生ですが、書くことが好きです。現実とそうでない世界のはざまのはてしない物…

しいふう

ままならない人生ですが、書くことが好きです。現実とそうでない世界のはざまのはてしない物語。誰かの心に響くといいな。 X始めました。よかったらご覧ください(アイコンを押す)。

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日常に流れる音楽

英語が苦手で、上手くなりたいという欲求も沸かず、常日頃、 「ソーリー」「サンキュー」 の温度感と音量とそれらしい表情の組み合わせで乗り切っています。 時々「分からない人だな」という顔をされたり、頭から足のつま先まで見られながら「こいつ何言っても通じねえよ」 というのを相手同士が耳打ちするのを、こちらも棒立ちして見ています。 ここ数日、新しい試みとして英語の音楽の和訳を始めました。 英語は不得手ですが、これは何ともわくわくする作業でした。 手始めに取り掛かったのは次の音楽

    • ダン

      ダンがいつもお菓子をくれるので、私は自分で拵えたおにぎりとか、ほとんど空気みたいなふわふわの卵サンドとか、近くのスーパーで買った日本の即席麺などを渡していたが、彼がイスラム教徒で豚肉を食べれないと知ったのはしばらく後のことだった。 何度目かの日清カップヌードルとんこつ味を渡した時、これってポーク入ってるよね? と質問してもらって、打ち明けてくれたのだった。 私は平謝りして、それからはチョコのたっぷりかかったドーナツとか、チョコレートそのものとか、甘ったるいクッキーとか、外国人

      • Miss Misery

        一日中、目を逸らしている ジョニーウォーカー レッドの力を借りて ひどい考えを自分に植え付けて 毒の雨を洗い流す 半分に破れた二枚のチケット 全然やることがない 僕がいなくて寂しい? ミザリー 君が言うように 公園に男が一人 僕の手相を見て 僕が強いと言った ほとんど間違わないって 僕は言った 「おい、どういう意味だ?」 君は僕たち二人のために計画した 町の外への旅についても考えていた 君が置きっぱなしの雑誌で見たことのある場所 僕は君のそばにいないけど 穏やかに過ごして

        • Some Velvet Morning

          <Lee> 俺がまともなベルベットのような朝 君の心の扉を開けてあげよう フィードラについて話すかも 彼女がどのように俺に人生を与えたか 彼女がどのように終わらせたか 俺がまともなベルベットのような朝 <Nancy> 丘の上に花が咲いている、トンボとダファデル 私たちからたくさんのことを学んで、私たちを見て、でも触らないで フィードラは私の名前 <Lee> 俺がまともなベルベットのような朝 君の心の扉を開けてあげよう フィードラについて話すかも 彼女がどのように俺に人生を

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        日常に流れる音楽

          Something About Us

          正しい時期ではないかもしれない 私は正しい人間ではないかもしれない でも私たちについて言いたいことがある 私たちの間には何かあるから、とにかく 私は正しい人間ではないかもしれない 正しい時期ではないかもしれない でも私たちにはしなければならないことがある あなたと分かち合うだろうある種の秘密 私の人生において何よりもあなたが必要 私の人生において何よりもあなたが欲しい 私の人生において誰よりもあなたがいなくて寂しい 私の人生において誰よりもあなたを愛している

          Something About Us

          愛はドラッグ

          大したことじゃない ベルが鳴るのを待つこと 大したことじゃない ベルの音 悪くなってく、数日の余白 繁華街を荒らし回る、赤信号 跳ね上がる、沸き立つ、何が起ころうとしている? 愛はドラッグ、キメなければならない 曝け出す、見せつける、不意打ち ビートが続く場所で男と女は出会う しっかりと縫い合わさって、身動きできない 俺にとって愛はドラッグ、俺に夢中になって ああ、ああ、俺に狂って 俺は思うよ、愛はドラッグだって ああ、ああ、君は分かるかい? 俺にとって愛はドラッグ

          愛はドラッグ

          自称

          「俺ってSなんだよね」という男はSじゃないと言う話はよく聞くし、「自称Sには気を付けろ」と言っているサディストが全然Sじゃない、という話もよくあるだろう。そして 「『自称Sには気を付けろ』と言っているサディストが全然Sじゃないってこと、ざらにあるよね」 とせせら笑う自称サドが偽物ということもざらにある。 同様に「私ちょっとMかも……」とはにかみ気味に、相手を窺うように打ち明ける女が単なるエゴマゾという話も散見する。女が期待しているのは快感のみだ。相手がSだと言うから、自分にい

          絡まれ

          マルコポロリ!の「祝!結成20周年これからどうすんねんSP」という回は、スーパーマラドーナ、ギャロップ、女と男といったお笑いコンビ3組を特集した回だった。 ギャロップの林さんがこの20年を振り返って、上がりもせず下がりもせず、 低めなところをずっと維持していると言った時、東野幸治さんが 「現状維持っていうのは結果的に下がっているということです。何故なら新しい人がどんどん増えていくから。すごい冷静なこと言うんてるんですが、現状維持って下がってる」 と言った。林さんは理解しよう

          発砲美人

          「おい、西村賢太の新刊が出たぜ」とIさんは本の表紙を見せながら私に言った。『二度はゆけぬ町の地図』と書かれてあった。 「これはどういう意味なの?」 「そのまんまの意味だよ。どうだ、あんたにも覚えがあるだろう」 と底意地の悪い目を細めてにやにやしていた。私の不遇を笑っていたが、そこから紡がれる物語に心を弾ませてくれる一人だった。 私は怒るでも笑うでもなく「ああ」と答えた。 当時も意味は分かったし、あれから行けない町も増えた。これからも増えるだろう。 バスの中でバイオレンスドラ

          伝わる文章

          noteの性質上、伝わる文章、読まれる文章を書くことに多くの人が注目しているみたい。 この前、フォロアー500人いきました! みたいな方が、惜しげもなく、500人ゲットするための書き方のノウハウを公開されていて、あらゆるポイントが私の信ずるところの真逆であった。読まれるためには逆をすればいい。 私が文章、文章とうるさいからなのかもしれないが、このサイトからおすすめされる記事も、読みやすい文章を書くためのコツというのがよく出てくる。金儲けとか、何か情報を発信したいとかという

          伝わる文章

          屋台

          ああ、人付き合いが苦手だ。誘われると一瞬どうしようと本当は思う。相手に気付かれないように「いいですね」と大人のフリをして話に乗る。 どれくらいの距離感でどんな会話をして、どんな風に食べたり飲んだりして、どういうお金の使い方をすればいいのか分からない。 とても良くしてくれる人もいる。厚意に甘えてばかりいるのも気が引ける。そのお返しをどうしていいのか分からない。相手は優しいのだな、と思う。優しさが分からない。損得勘定だけの人間だと思えたら、付き合うのをやめればいいだけの話なのに

          無風

          先日書いた『ベルデン8428』は自分にとって若干新しい風が吹いたが、世間的には殆ど無風だった。 自分がニッチであることは承知の上だが、まさかここまでニッチ過ぎるとは……。 昔、自分がよく書いていた頃、ときめいてくれていた人たちがいた。私を育てようとしてくれた人さえいた。 無知で人の書いた本を読まない私が、本多劇場に連れられて、開演まで並んでいる時、乙一さんを知らなくて、「これ、何て読むの、おつはじめ?」と言うと、育てようとした人にすごい剣幕で「おい! ここは下北沢だぜ?!

          反骨

          父親に反抗的な小さな男の子は朝食のパンか飲み物か、別のことが気に食わないのか、怒った様子で何かを訴えている。怒ったことを怒られて、怒られたことが気に入らないとさらに怒りを強めて、気持ちを収めることが難しい。 父親も息子に怒りをぶつけられて子供じみた感情的な態度で、パンの上にチーズを乗せて焼く時に、加熱したオーブントースターのトレイに当たって火傷したと騒ぎ始めた。誰かにだいじょうぶと声をかけてもらえれば少しは気持ちが鎮まるだろう。 母親は、休みの日に子供のためにパンを焼いて

          春の風

          先日、ある女医と話していると「育児書は全部捨てた方がいい。育児書なんて書いた人の育てた方法がただ載っているだけだから」と言っていた。たしかに誰かの言葉に翻弄されて盲信する親御さんはいるだろうし、疲弊してしまう人もいるだろう。本質的なことは誰かに教わるというより、自分なりのやり方を模索しながら体得していくのが良いだろう。文章の書き方についてはどうだろうか。文章教室みたいなものがある。 自転車で都内にある図書館の前を通りかかった時、「文章教室開催のお知らせ」という掲示があった。

          僕は小説家 鉛筆片手に

          昨日、どなたかのnoteで「私は作家だ」という記事を読んだ気がする。「作家かどうかなんかはどうでもいい」みたいな話だったかもしれない。要は、大切なのは肩書じゃなくて、自分の作品や記事を読んでもらうことが大事なんだみたいな話、だったかもしれない……。 私は「文学」「文学」とばかり言って、自分の書いたすべてのコンテンツに「文学」とハッシュタグを付けて、煩い、気持ち悪いと思う人がいるかもしれない(見ている人がそんなにいないかもしれない……)。 おもしろければエッセイでも、大衆小説

          僕は小説家 鉛筆片手に

          僕の愛を聞いてくれ

          松本人志さんのことが好きで仕方ないある友人が、一連の報道に心を痛めて、やり場のない思いを時々私に伝えてくれることがある。 「性加害があったかどうかは置いといて、男尊女卑的な価値観や、芸人がダウンタウンをを特別視することが、こういう性加害をしても大丈夫って、空気を作ったと思うんだよね。それって、お笑いファンも見過ごしてたという責任があると思うのよ。そういうことを踏まえながら、90年代からダウンタウンが好きだった気持ちや、ちょっと苦手だったことを、誰かと話し合いたい気持ちがずっ

          僕の愛を聞いてくれ