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名前を変えても、私は変わらない。

さよなら、ひらがなの私

思春期に、私は自分のファーストネームと距離を置いた。無理やりにでも距離を置いた。平仮名3文字の、まるまるとした、女性らしい雰囲気の名前は自分には似つかわしくない。これを私と思わないでくれ。中学生当時の私は、女性性を忌み嫌い、男性になりたいわけでもなかったが、中性ってことにしてほしかった。いや、むしろ人外の生物でも良かった。できれば、濁点が入っていて、漢字でいかつく、面白い雰囲気になりたかった。

そういうわけで、ここでもう1人の私が誕生した。その名は、戯也亭(ぎやてい)。最初、文芸同好会のペンネームとして使い始めた。京都へ修学旅行へ行った時、般若心経を読む機会があり「ぎゃーてーぎゃーてーはらそうぎゃーてー」という非常に印象的な節を発見し、これを我が名に拝借させていただいた。

大学に入ってからも、私はぎゃーてーを名乗り続けた。(漢字表記はさすがにやめた)「ぎゃーてーって呼んでください」と依頼し続けた。相手は、一瞬ぎょっとして聞き返すので、もう一度言う。「はい、ぎゃーてーです。」変なニックネームなので、かなりの確率で由来を聞かれて、答えていたが、みなさんはどんな印象をもっただろう。変な子、面白い。そう思われたのなら、私の作戦は大成功だった。

なにしろ女性でも男性でもなく中性でいたいというような具合だったので、そのくらいがちょうど良かった。なにしろ、大学で彼氏ができるまでの私は、胸を潰しながらできる限りの男装(?)をしながら通学していたのだ。

私は、会社に入ってからも、ぎゃーてーを名乗り続けた。というのも、サークル感覚の強い会社で、みんな基本的に下の名前やあだ名で呼んで距離を縮めるのが当然、みたいなノリだったので。私は当然のごとく、「ぎゃーてーって呼んでください」といつもどおり申請したのだった。

ぎゃてー。ぎゃーちゃん。ぎゃー様。みんな、いろんなアレンジ(覚え方)で呼んでくれて、嬉しかった。私の本名を知らない人も多かったと思う。

かっこいい私のはじまり

そんなわけで、会社もプライベートも全部「ぎゃーてー」に染め上げられたわけだったが、ある時もう一つのプライベートを持つようになる。それは、新宿二丁目というコミュニティだった。

複雑な性自認をしていた私だったが、いろいろと悩んだ末、ついに二丁目の女性オンリーのクラブイベントに参加してみることにした。そのイベントには、男性っぽい女性から一般的な女性まで、いろんな女性が集まっていた。友人や恋人探しの出会い目的できている人がとても多く、そこで名乗るべき名前が必要になった。何を隠そう私も出会い目的で参加していたので、積極的に交流したかった。

ここでは「ぎゃーてーって呼んで」はやめておいた。会場が非常にうるさくて聞き取れないだろうし、なんか、ちょっと変だから... ここではもうちょっとスマートな印象を持って欲しかった。つまりは、かっこつけたかった。

そこでさらにもう1人の私が生まれた。その名は色(しき)。安直だが、またもや般若心経からの抜粋である。響きがかっこいいし、どことなく中性っぽくて、私の理想イメージに合っている気がする。よしこれで行こう。

その後、今の同性パートナーと付き合いはじめ、彼女にも当然、色と呼ばれ、他の友人にもそのように呼ばれた。しきてぃー、しきたん、しきっち。いろいろアレンジもされた。やっぱりそういうのは嬉しい。ありがとう。

そのうち、会社を退職して無職になって、私はついに本名で認識される時間がなくなった。(実家にもめったに帰らないし、私を本名で呼ぶ旧友にもほぼ会わない。)そこで、Facebookの名前までも「色(しき)」に変更することにした。その後、起業したときの役員就任の名前だけは本名で登録しているが、その他では、お客さんへも、取引先へも、基本的に全て色で通してきた。つまり、もともと「色」は私のプライベートのヒミツの名前だったが、ビジネスネームに格上げされていった。

その会社も、もはやなくなった。もともとの友人と、お客様というよりも友人と言えるような人しかもういない。起業した会社について親に話していなかったので、親バレを一応避けるためという名目もあったものの、すでにそのHPも親に共有したので親バレもなにもなくなった。これでもう、私は原口色ですと言い続ける必要がなくなった気がした。

私は私に戻りたい

先日、レイキスクール(自然療法)で修了証を発行していただく際に「私の名前」が必要になった。さて、どうしよう。

私は、この修了証は、なんとなく本名でもらいたかった。霊気は私の本当の名前とつながっている気がしたから。

とはいえ、迷ったので、「本名でいいですか」とオラクルカードを引いてみた。不安だったので、「本当にそれでいいんですか!?」3回同じ質問で聞いたら、全て「ヒーリング」のカード。52枚ある中で、偶然3回も同じカードが出るのは、かなりレアだろう。肯定されているとしか思えず、私は本名で修了証をもらうことに決めた。

名前を変えて、人生をリセットしてきたつもりだった

実は、上記に書いた以外にも私はたくさん名前を発行したことがある。メールアドレスの数だけ、アカウントの数だけ、使い捨ての人間関係で、名前を使い捨ててきた。私自身も、もう全ては覚えていない。出会った人の顔も名前も覚えていない。どうにも寂しくて、そうせざるを得なかった時期が私にもあった。

私があれこれ名前を変えるのは、一体なぜなんだろう?

名前を変えるたびに、私の中で私がリセットされる感覚がある。そもそも、思春期にそれをやり始めたのも、今までの自分をまるごとリセットしたかったからだった。今年、会社をやめて個人活動に戻った時も、名前を変えたい衝動に毎日付きまとわれていた。それも、起業していた時代の私をリセットしたい。そういう意味だったんだと思う。

でも、もういいや。リセットするのももう疲れたっていうか、リセットしても、どう見ても、私は私だよ。変わらない。ジタバタしても変われない。周りから見たら、たぶん、何も変わってないよ。私が勝手に「今までのなしね」って思っているだけだし、なしにしなくても、大丈夫だよ。いくらラベルを貼り替えても、リセットされていない。私の人生は、ラベルの裏ではちゃんと積み上がっている。

そう思えるようになりました。

本名に戻します。

今までのビジネスネームも、本名に戻します。これからよっぽどのことがない限り、もう名前は変えないと思います。

あゆみという名前、今の私は結構好きです。優しい中に芯がある感じ。以前嫌で嫌で仕方がなかった女性っぽさも、年齢を重ねるにつれて自分の大事な一部分として、自分自身として認識できるようになりました。

苗字は選べるものではないけれど、両親は原っぱを歩いていくイメージで名づけてくれたようです。そういう存在でいたいなあって思います。

以前から私を知っているみなさんへ

どの名前で認識してもらっても呼んでもらっても、嬉しいです。呼び方変えなくて全く構わないです。多分私が名前について異常に自意識過剰なだけで、みんな気にしていないんじゃないかとは思っていますが、念のため。
私はどの名前でも、みなさんに呼んでもらえたらとても嬉しいです。私のことを覚えていてくれて、ありがとう😊

はじめましてのみなさん

はじめまして。原口あゆみです。noteを原口色の名前で1週間くらい前に始めたのですが、そういうわけで名前を編集しました。(URLは変わりません)note、なんだか楽しいです。書きたいことがたくさんあります。みなさんのページも徐々に知っていきたいなと思っています。機会があれば、ぜひまた遊びに来てください。よろしくお願いします😄

原口あゆみ



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