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隈研吾「建築家、走る」レビュー

建築家は本当によく働くなあ、というのが率直な感想です。

本書で最も印象に残ったのは、著者が右手を大怪我して不自由になったが、それがかえってよかったという話。

それまで、右手がスラスラ勝手に動いて、たいして頭を使わなくても見事な図面が出来上がった。しかし、大怪我をして、そんなことができなくなったおかげで、建築の本質に骨太に向き合えるようになった、というのです。

何かを得るためには、何かを失わなけばならない。逆説的ですが、おそらくこれは真実。著者の主張は、強がりでも何でもなく本当のことなのだろうと、スッと腑に落ちました。

しかし建築は、奥深くで幅広くて、本当に面白い。この家は、このビルは、どのような思想に基づいて建築されたのだろう?と街を観察する楽しみがまたひとつ増えました。

興味をもたれた方は、ぜひ。

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