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クソジジィから愛

何年か前の10月某日。
まだ午後の授業が終わらないうちに仲の良い同僚から、
”シマへのお届けものがメールルームに来てたから車の上に置いておくよ” とメールが届いた。(*アメリカ東で教師をしています)

注文していた本か実験の道具か、それとも生徒からの手紙か、なんだろうと思いながら駐車場に向かうと、遠くからも私の車のボンネットに置かれた大きな長い箱が見えた。

開けてみると色とりどりの薔薇の花束が入っている。

♪バラの〜花束を〜敷き詰めた道を〜by 桜井さん

9年目の結婚記念日だった。
私はすっかり忘れていた・・・というよりもお祝いはしないのだ、と思っていた。
というのもその時期私と夫はあまり仲が良くなかったからだ。

お互いの仕事が忙しく、二人ともどう手を抜いていいかわからず、家に帰っても週末も別々の部屋で仕事ばかりしていた時期だった。

顔を合わせても 業務連絡 のようなことばかりで、お互いを思いやるような言葉もなく、ちょっとした言葉の選択ミスでイライラしたり口を聞かなかったりもしていた。

私は彼に聞こえないように ”クソジジィ、うるせーなー” とよく言っていた。

そんな日々が続いていたのに、それともそんな日々が続いていたからか、夫は普段はあまりしない花を贈るという行為にでた。それも自宅で直接渡すのではなく、仕事場に送って来た。
照れ隠しなのか、バツが悪いのか、ロマンチックなことをしたかったのか、よくわからないけれど、あまり彼らしくないことだった。
後にも先にも職場に花が贈られて来たことは、結婚記念日1年目とこの9年目だけだ。

中にはカードが入っていた ↓

我が家はお互いをSweetie と呼び合っています、はずかしw


短い文面の最後、Kuso Ji-Ji を見たときに駐車場で思わず大爆笑した。
聞こえないように言っていたつもりなのに、彼にはちゃんと聞こえていた(笑)

Love always と Kuso Ji-Ji の並びに、私はこの男と結婚したのだから、彼との関係や時間や会話を疎かにしてはいけないのだ、と反省した。

Kuso Ji-Ji を大切にせないかん、そう心から感じた。
そう一旦決まると、状況はするすると改善し、今ではすっかり仲良しさんの夫婦だ。
でも時々頭にくると聞こえないように ”クソジジィ” と罵っている。

シマフィー 

*昨日の記事のコメントにてyasukatuさんとあおちゃんからのリクエストがあり夫のことを書いてみよう、と思い立ったときに真っ先に浮かんだのがこの日のことでした笑。
yasukatuさん、あおちゃん、ありがとう!

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