見出し画像

新食感 !!! サックサクのホロッホロ。とってもエアリーで、とってもバニラ。当店の〈サーブル〉は〈サブレ〉にあらず。


洒落た感じに積み重ねてみたサーブル(笑)


シェフの進藤です。
今日ご紹介するのは、当店クッキー部門の〈スペシャリテ〉

その名も〈サーブル〉!!!

私がこれまでに獲得してきたフランス菓子の〈知識・経験・技術〉をフルに使って、フランス菓子の定番クッキー〈サブレ〉のレシピを再構築した商品になります。

大して宣伝した訳でもないこのクッキー。実食?口コミ?のおかげで、ようやく当店にしかない〈スペシャル & ユニーク〉な商品だと分かってくれる方がずいぶん増えてきました。本当に嬉しいです。
営業を開始した当初、将来こうなったらいいな~って思っていた事の1つに〈サーブルの製造に追われる!〉というのがあり、ここ最近の売れ行きに合わせて〈サーブル〉を作りに作っているこの状況はまさしく…

〈サーブルの製造に追われている !!!〉

なので、ようやく10年目にしてその目標は叶った事に(笑)。
日頃から御贔屓にして頂いているお客様方、本当にありがとうございます。

この〈サーブル〉は、当店のコンセプト

〈美味しい+ビックリ=感動〉

を如実に、そして端的に表した商品なんです。

只のクッキーと思うなかれ!

このクッキーの食感は何処にも無い自信があります。まだ試した事のない方は、騙されたと思って1度食べてみて下さい。

「オオッ!」

ってなります。
これまで、何度も何度も私がこんな感じで〈サーブル推しの文章〉を書いているにも関わらず、「想像を越えてきた!」とおっしゃって頂ける商品ですから(笑)。
あ、でも先日お客様が興味深い事をおっしゃっていて、「これだけ素晴らしいクッキーなのに、プレゼントしても感動しない人が極稀にいるんです。その人にはもう絶対にあげません」と…。残念ですが、勿論そういう方もおられますので…(笑)。

少し話が逸れますが、実は、当店のほぼ全ての商品は(このサーブルも含め)私が自分で1から作ったレシピでできています。

そんなの当たり前では? 

いえいえ。
多くのパティシエは、以前に働いたお店で貰ったレシピや、師匠から教わったレシピをそのまま使う事がほとんど。もし変更したとしても、分量を少し加減するくらい。あとは、スターシェフの講習会等に参加してレシピを手に入れたり、本やインターネットに載っているレシピ等を参考に、それをそのまま商品にしています。
私はそういった、自分でレシピを作り出せない人達を〈レシピコレクター〉と呼んでいます。修業先を変え、本を買い漁り、常にアンテナを張り巡らせて、いいレシピを探し歩く〈レシピコレクター〉。別にバカにしている訳ではありません。実際に私もそうでしたから(笑)。フランスに修業に向かう時でさえ〈フランスで良いレシピに巡り会えますように!〉と思っていました…。

では、なぜ今の私は違うのか?

私はこれまで20年以上の様々な経験を経て、自分のイメージを形に、レシピにするスベを身に付けました。
なので今では私は〈レシピクリエイター〉です(笑)。そっち側の人間になれたキッカケは、色々な経験を重ねた上で、製菓教員と企業の洋菓子商品開発者に従事した事が転機かと。0からオリジナルレシピを生み出す方法を〈知る・教わる〉良い機会でした。当時にお世話になった方々には感謝してもしきれません。
これ以上この話をすると長くなり過ぎるので、私のこれまでの〈歩み〉は下記の過去記事をご参照下さい。

では、ようやく〈サーブル〉の詳しい説明に(笑)。


冒頭に書いたフランス語の〈スペシャリテ〉。私がぴったりだと思う日本語訳は《特製品》。そのお店・その人特製の1品。心から誇れる、特別な商品って事でいいのでは。なので、この〈サーブル〉という商品は私にとっての〈スペシャリテ〉であり、特別な一品なのです。なぜなら、

《この商品が“進藤オリジナルレシピ”の第一号だから》

製菓専門学校教員時代に遡りますが、当時私は製菓実習と共に〈製菓理論〉という座学を担当していました。他の製菓教員を見渡しても、実習+一般教科の座学を担当するパティシエなんて、なかなか珍しいんですが…。

ある日、その日の主題〈小麦粉〉について話す授業の中で、その中に含まれる主成分〈グルテン〉について話した講義の後、

《限り無くグルテンの形成を抑え、食べた瞬間にホロホロと崩れるクッキー》の構想

が突然ふと頭に降りてきました。
〈グルテン〉とは小麦粉の中のタンパク質〈グルテニン・グリアジン〉に水分を加え、練る・混ぜる行為を経て出来る物質。風船のゴムの様な役割で、パン作りには欠かせないものです。ですが、製菓においてはちょっと微妙な存在なんです。
何故なら、クッキー生地をまとめてくれる存在でありながら、同時に、形成が多くなるとクッキーの食感を固くしてしまうからです。
思いついたら居ても立ってもいられず、試作に取り掛かりました。
手元にあった〈サブレ〉のレシピをベースにし、グルテン形成を阻害する目的でバター(油脂)を大幅に増やし、同じくグルテン形成に必要な水分(バターにも含まれますが、この場合は特に卵)を極力減らす為に全卵をギリギリまで減らした上で、最終的に全量を卵黄に置換。
焼成後、クッキーの内部に隙間を沢山作る(より崩れる食感を作り出す)為に、限界までバターに空気を含ませる事や、小麦粉投入後に必要最低限しか混ぜない事〈グルテンの形成抑制〉を徹底。卵ボーロのレシピを参考に小麦粉の一部をコーンスターチに置換etc…。
〈焼き〉に至っても、一番下にある写真の通り〈シルパン〉にて、下からの〈熱の当たりや水分抜き〉も徹底。思い付く限りの知識を投入し、数十回の試作を経てついにレシピが完成しました。自分で言うのもなんですが、自分らしい素晴らしいレシピです。
実は、こんにちまでにマイナーチェンジを繰り返してはいますが、大枠はその時に作った物とそれ程変わっていません。

かなり厚みのあるクッキーでありながら、かじった途端口の中で砂の様にサラサラと崩れるクッキー。

《この食感はどこにも無い自信があります》

もちろん、食感だけではなく〈味〉も保証します。100%バターの豊潤な味わいに、特別な破砕方法で挽かれたアーモンドの香り。そしてバニラのアロマが加わって素晴らしいハーモニーになっています。

もう1つの大切にしているのが〈バター〉へのこだわり。
これだけ原材料が高騰している昨今なので、原価を下げる為に高価な〈バター〉から、安価な〈マーガリン〉や〈ショートニング〉へ切り替えるお店が増えてきました。ですが当店は〈100%バター使用〉のこだわりを変えません。
以前企業の商品開発者だった頃、開発商品に高価な〈バター〉は殆ど使えず、代わりにバターの代用品である安価な〈マーガリン〉や〈ショートニング〉を多用していた事から、日々の試食で体調を崩してしまいました。全てがその〈マーガリン〉や〈ショートニング〉のせいであるとは言いません。〈マーガリン〉や〈ショートニング〉のトランス脂肪酸含有率も以前に比べて下がっているデータもあります。ですが、やはり〈ナチュラルな物を〉という事であれば、高価でも〈バター〉を使いたいと思います。なので、進藤洋菓子店の菓子はこれからもバター“オンリー”ですので、その点を気にかけている方には安心してお買い上げ頂けると思います。

このクッキーの名前〈サーブル〉は、元々〈サブレ〉(砂のような・砂で覆われた、という意の形容詞が名詞化した言葉)のレシピから、更に〈緩く固めた砂〉の様にレシピ調整した菓子なので、あえて『サーブル(sable)=砂』と名付けました(笑)。
たまにフェンシングの『サーベル(sabre)』と混同される方がいますが、フランス語のLとRは発音が全然ちがうのでご注意を(笑)。

何度も言いますが、まず、食べないと分からない商品です。1月下旬頃に〈サーブルお試し期間〉として、一時的にですが〈サーブル〉のみベイスでの販売再開を予定しているので、遠方にお住まいで気になる方はその機会を是非ご利用下さい。それまで、当店のインスタを随時チェック頂ければと思います。

最後に、こちらの商品も勿論〈違いの分かる大人向き〉。ではいつも通り、論より証拠。ご来店をお待ちしております。

追伸
ご購入後、乱暴に扱うと〈割れ・欠け〉の原因になります。手荒に扱わないようお願い致します。


この記事が参加している募集

至福のスイーツ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?