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【雑記帳】「右脳めし」と「左脳めし」を生んだ一冊

感性を刺激する「右脳めし」。
論理的思考を鍛える「左脳めし」。
その発想のきっかけとなった、一冊の本があります。

山口周 著『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』です。

「経営における」とありますから、経営者やビジネスリーダーを目指す人が手に取るような本なのかもしれないですね。

しかし、「アート」を直感や感性を重視した考え、「サイエンス」を論理や理性を重視した考えとすると、ゲーム開発の現場でもよく話題になることです。

本書には、次のような記述がありました。

 経営における意思決定にはいくつかの対照的なアプローチがあります。ここではそれらを「論理」と「直感」、「理性」と「感性」という二つの対比軸で整理してみましょう。
 まず「論理と直感」という対比軸については、「論理」が、文字通り論理的に物事を積み上げて考え、結論に至るという思考の仕方である一方で、「直感」は、最初から論理を飛躍して結論に至るという思考として対比されます。
 次に「理性と感性」については、「理性」が「正しさ」や「合理性」を軸足に意思決定するのに対し、「感性」は「美しさ」や「楽しさ」が意思決定の基準となります。

娯楽であり、サービス業でもあるゲームの開発で「美しさ」や「楽しさ」は避けることのできない要素です。

 私たち日本人の多くは、ビジネスにおける知的生産や意思決定において、「論理的」であり「理性的」であることを、「直感的」であり「感性的」であることよりも高く評価する傾向があります。

ゲーム業界でも、「直感や感性」から生まれた企画が、「論理や理性」によってお蔵入りすることは少なくありません。
これは、開発現場に近い人ほど仕事に「直感や感性」を求められ、現場から遠くなる(管理者)ほど仕事に「論理や理性」を求められる傾向があるからです。
どちらが良いか、正しいかではなく、役割分担として。

とはいえ、上下関係が絡むこともあって、「論理や理性」による判断を「権力の行使」と捉え、反発する若手のクリエイターは昔も今も必ずいます。
イノベーションが生まれにくいのは、若い感性が「論理や理性」に押しつぶされているからだ、と捉えられることも少なくないでしょう。

 ここで注意を促しておきたいのですが、私は何も「論理や理性をないがしろにしていい」と言っているわけではありません。いくら「直感」が大事だからと言って、「非論理的」であってよい、ということではない。いま、目の前に複数の選択肢があるというときに、どう考えても論理的に不利だという選択肢を、わざわざ「直感」や「感性」を駆動させて選ぶというのは、「大胆」でも「豪快」でもなく、単なる「バカ」です。
(中略)
結果的に大きな業績の向上につながった「優れた意思決定」の多くが、直感や感性にとって主導されていたという事実によって私が伝えようとしているのは、決して「論理や理性をないがしろにしていい」ということではなく、意思決定のモードを使い分ける必要がある」ということです。

これは至極真っ当な話です。
「直感や感性」を無視して「論理や理性」だけを重視することと、
「論理や理性」を無視して「直感や感性」だけを重視することは、
同レベルの間違いです。

ただ、近年はそんな状況も変化してきました。

基本料金を無料にして、アイテム課金で収益を得るビジネスモデルが出始めてから、企画立案者にはゲームを魅力的にする「直感や感性」と共に、ビジネスモデルを成立させる「論理や理性」を求められるようになっているからです。

 本書のテーマは経営における「アート」と「サイエンス」のバランスですが、これを「論理」と「感性」のバランスと言い換えた場合、短兵急に両者のどちらが優れているのかという論点を設定してしまいがちです。しかし、そういったガサツで目の粗い思考からは、経営という複雑な営みへの示唆を抽出することはできません。
 経営の意思決定においては「論理」も「直感」も、高い次元で活用すべきモードであり、両者のうちの一方が、片方に対して劣後するという考え方は危険だという認識の上で、現在の企業運営は、その軸足が「論理」に偏りすぎているというのが、筆者の問題提起だと考えてもらえればと思います。

ここから続く、アートとサイエンスのバランスの話も、とても興味深いのですが、それは本書でお楽しみいただくとして、今回のテーマに戻ります。

「直感や感性」と「論理や理性」の偏り

それは脳力の偏りとも言えます。

「直感や感性」と「論理や理性」のどちらが大事なのではなく、どちらも大事。
どちらも身につけて、バランスよく使うことだ大事。
そのことを『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』から学びました。

「直感や感性」に偏るクリエイターは、左脳が栄養不足なのかもしれない。
「論理や理性」に偏るクリエイターは、右脳の栄養不足なもかもしれない。

栄養不足を補えるコンテンツ(栄養源)は、沢山存在しています。
見たことも聞いたこともないなら、自分がオススメできる栄養源を紹介しよう。
食わず嫌いがあるかもしれないので、どんな栄養があるのか説明しよう。

そんな考えから「右脳めし」と「左脳めし」は生まれたのでした。

これからも古今東西の優れたコンテンツを紹介していきますので、末長くお付き合い下さい。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 気に入っていただけたら「スキ」やSNSでのシェアをお願いします。