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600字映画レビュー『THE FIRST SLAM DUNK』

『THE FIRST SLAM DUNK』(2022)
視聴方法:映画館
視聴日:2022.12.25

漫画が動くってこういうことか。

私はスラムダンクを読んだことがない。桜木花道と安西先生はかろうじて聞いたことがある。その程度。

初心者に優しい映画ではなかった。何を隠そう、この試合が地方大会なのか全国大会なのか、何回戦なのか、勝ったら優勝なのか違うのか、私にはまったくわからないままだった。

でも、それがよかった。ナレーションでまだるっこしい説明なんて入れられたら、この映画のリズムが壊れてしまう。

緩急のついた映画だった。それも、かなり激しく。
熱い試合展開に手に汗握っていたら、フッと暗転して過去のエピソードが描かれる。感情移入してじーんとなっていたら、また試合のホイッスルが鳴る。
それぞれの続きが知りたくて、もどかしくて、でも両方面白いからどんどん引き込まれる。このストーリー運びはとても漫画っぽい。

なにより、絵がうまかった。アニメの感想としてはおかしいが、そうとしか言いようがない。
アニメ塗りではない、本当に漫画の表紙のような絵が動いていた。服のシワやダボつきも、CGがすごいというより「絵がうまい」という感じ。これはいくら口で言っても伝わらないから見てみてほしい。
私も見る前は「CGはちょっと嫌かも」と思っていたが、実際に見てみるとなんの違和感もなく、むしろ普通のアニメ絵より好みだった。

三井寿役の声優、笠間淳が好きなのだが、彼が自分のラジオで「漫画が動くって感じなので」と言っていたのはこういうことか、と深く納得したのである。

原作ファンの夫の感想は、「名シーンや名台詞を容赦なくカットしてるし、リョータの過去も原作にはほとんどない。原作者にしかやれない映画」とのこと。
「リョータは原作だと地味なキャラだから(ファンの方ごめんなさい)、もっと活躍させたかったって悔いがあったんじゃないか」とも言っていた。

三井寿に憧れてシューターになった中高バスケ部の笠間さんが、どんな思いでこの仕事に臨んだのだろうと思うだけで、私は胸が熱くなってしまうのだった。
三井寿の過去を知りたいので、家に全巻揃っている原作をこれから読みます。

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