見出し画像

睡眠の質を上げる「90分の黄金法則」

前回の記事に引き続き、睡眠の質を上げる方法に関する内容です。
 

今回の記事は、『スタンフォード式 最高の睡眠』(西野精治)という本を参考に私も実践している方法を書かせていただきます。
 
1日の睡眠時間は7~8時間が適切と言われています。
しかしながら、寝床に入ってもそれだけの時間ぐっすりと眠れるとは限りません。
 
「量」もさることながら「質」も大変重要になります。
 
そこで良質な睡眠のために重要なことをお話します。




良質な睡眠のための鍵となるのが、『スタンフォード式 最高の睡眠』に書かかれている、「90分の黄金法則」です。
 
眠りはじめの90分で睡眠の質が決まるというものです。
 
人は眠りに落ちてから目覚めるまで、ずっと同じように眠っているわけではありません。
 
レム睡眠と呼ばれる脳は起きていて体は眠っている状態とノンレム睡眠と呼ばれる脳も体も眠っている状態の2種類があってそれを交互に繰り返しながら眠っています。
 
ノンレム睡眠は、深い眠りで明け方に近づくと浅く短くなります。
レム睡眠は、浅い眠りで明け方に近づくと長くなります。
 
寝ついあと、すぐに訪れるのがノンレム睡眠です。
とりわけ最初のノンレム睡眠は、睡眠全体の中で最も深い眠りです。
 
この最初のノンレム睡眠は個人差がありますがおよそ90分と言われています。
「最初の90分」をしっかり深く眠ることができれば、脳も体も精神も回復し、最高の睡眠がとれる、という話です。
 
 
それでは、眠りはじめの90分をしっかり深く眠るためにはどうしたらよいのか。
 
一番良い具体的な方法をお伝えします。
 
それはずばり、就寝90分前に入浴を済ませる、です。
いつも寝る時間の90分前にお風呂から上がるようにします。
 
シャワーで済ませるのではなく、湯船につかって体を温めるのです。
 
 
原理を説明します。
 
人には体の内部の温度である「深部体温」と体の表面の温度である「皮膚温度」という2つがあります。
 
深部体温は起きている覚醒時に高く睡眠時に低くなります。
逆に皮膚温度は昼の覚醒時に低くて夜の睡眠時に高くなる性質があります。
 
夜の寝る時間に近づくにつれて二つの温度の差が小さくなりますが、この差が小さくなることで眠気が強まります。
 
でもお風呂に入ると逆に深部体温が上がってしまうじゃないかと思うかもしれません。
しかし、人間にはホメオスタシスの機能があり、体温の変化を戻そうとする力が働きます。
 
そうすると、入浴で一旦上がった深部体温が急速に元の体温よりも下がっていき、皮膚温度との差が小さくなります。
 
この入浴によって上がった深部体温が下がって眠くなるまでに要する時間が90分です。
このタイミングで寝つくように逆算して入浴するのがよいというわけです。
 
最高に質の高い睡眠のためには入眠後の90分と入眠前の90分がとても重要ということになります。
 
 
ちなみに深部体温がどのように下がっていくかというと、体の末端の手足から熱が放散されることで下がります。
寝るときに手足が温かくなるのは、深部体温の熱が外に出て行っている証です。
 
寝るときに靴下を履いたまま寝る人がいると思います。
これは足からの熱放散を妨げて結果的に深部体温が下がるのを妨げて寝つきを悪くします。
 
冷え性の方は足が冷えると寝つきが悪くなりますが、冷え性でなければ寝るときは靴下を脱いだほうが良さそうです。
 
 
最後に黄金の90分をなぜしっかり眠ることが重要なのか、理由を3つ説明します。
 
 
①    寝ているだけで「自律神経」が整う
 
活動時には交感神経が優位になり、休息時には副交感神経が優位になるのが自然です。
自律神経は呼吸、体温、心臓や胃腸の働きなど、生命の維持にかかせないもので、自律神経が不調になると体ばかりか心の病気の原因にもなります。
 
 
②    成長ホルモンが分泌する
 
成長ホルモンは寝ているときに分泌されますが、最初のノンレム睡眠、つまり黄金の90分に大部分の70~80%が分泌されます。
成長ホルモンは子どもや若者の成長のためだけではなく、成人でも分泌されますから、老化を防止するアンチエイジングの役割も果たします。
 
 
③    「脳のコンディション」が良くなる
 
うつ病や統合失調症などの精神疾患の方は、最初のノンレム睡眠が十分ではなく、早くレム睡眠が出現するそうです。
このことからも、脳のコンディションを整えるうえで最初の90分が大きな役割を果たすと言えそうです。
 
 
 
まとめです。
 
・良好な睡眠のためには量もさることながら質が大事。
・寝始めの90分をしっかり深く眠ることで自律神経、成長ホルモン、脳のコンディションを良くする。
・深部体温と皮膚温度の差を小さくするために入眠90分前に入浴を済ませる。
 
以上です。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
【参考文献】
『スタンフォード式 最高の睡眠』(西野精治 サンマーク出版)


【お問い合わせ・カウンセリング】

■小林へのお問い合わせは⁠こちら
小林へのお問い合わせやお仕事依頼など。

■カウンセリングのお申し込みはこちら
カウンセリングについてのお問い合わせやお申し込み。

小林いさむ|公認心理師

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?