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目指す農業像 #18

いよいよ来月4月に迫った独立就農。それに向けて現在は、お借りする予定の農地の契約申請手続きを行ったり、なめこ栽培用のホダ木の伐倒を行ったりと準備作業に追われています。

これまで、このnoteで私がどうして農業を始めようと思ったのか、そしてこの農業研修の2年間で何を感じどのように考えたのかを書き綴ってきました。そして、今回はそれらを踏まえて私がこの4月からどのような農業を始めようと思っているのかをお伝えできればと思います。

栽培する作物は3種類。まずは、春先から夏にかけて収穫できるアスパラガス。蔵王山系の水で育った、太くて瑞々しくジューシーな食べごたえを目指します。そして、秋に収穫となる地元で古くから栽培されてきた伝統野菜の蔵王かぼちゃ。さらに、畑が山間部にあるという地理的メリットを活かした原木なめこの栽培を行いたいと思っています。

販売に関しては、まずは地元にある直売所や市場に出荷しつつ、飲食店や加工業者の方々にも使っていただけるよう販路を検討していきたいと考えています。

おそらく研修先の農園のスタイルと全く違うではないか、と疑問視する方もいらっしゃるかもしれません。ただここには、2年間研修した末に感じた私なりの考えと想いがあります。

研修先のお日さま農園では年間100品目の野菜を栽培し、県内約120軒におよぶご家庭向け定期野菜セットの宅配を行っています。私も最初はこの方法に憧れ、独立後は自分もこのスタイルで営農できないものかと考えていました。

お日さま農園で栽培しているレタス

しかし、この2年間の研修を通してそのハードルの高さを思い知りました。特徴が異なる多くの作物を栽培してゆくためには膨大な知識と経験が必要となり、今の私の知識と技術では到底真似できることではないという事を身をもって理解しました。

そこで、まずは栽培品目を絞った営農し、少しずつ栽培できる品目を増やしてゆこうと思っています。そのため、上記の3品目の他に空いてる場所を使って少量ずつにはなりますが、夏にはトマトやナス、ピーマン、きゅうり等。秋には白菜や大根、キャベツ、ほうれん草などを試験的に栽培していく予定です。

販売の方法は異なりますが、栽培方法に関してお日さま農園で学んだことをしっかりと実践し、化学肥料や農薬を使わず野菜を栽培してゆきたいと思います。

ちなみに、有機農家とかオーガニック野菜などに使われている”有機”や”オーガニック”という敬称は、国が定める有機JASという規格を満たしていないと使用することができません。これには試験官による厳正な審査があり、試験料を支払うのはもちろんですが、晴れて検査をパスしたとしても毎年数万円の支払いを続けていかなければならないという現実もあります。

つまり、この認証を取らない限り”有機野菜”とか”オーガニック農家”とは名乗れないのです。この場で有機JAS認証の是非は問うつもりはありません。私は化学肥料や農薬は使わず野菜を栽培してゆきますが、当面この有機JAS認証を取得する予定はないので、”有機農家”でも”オーガニックファーマー”でもなく、ただの『農家」としてやっていきたいと思います。

肩書には頼らず、自分の想いに従って美味しい野菜をより多くの方に食べてもらいたい。特に、これからの社会を担っていく子供たちや若い世代に。幼いうちから美味しい野菜をモリモリ食べてほしい。そして、食べることで強いこころとからだを養い、しなやかに人生を生き抜き、明るい未来を築いていってもらいたいと願います。

子供たちと一緒に長いも収穫

昨今の異常気象や自然災害をはじめとする気候変動も、政治や経済、戦争などの人的な問題も考え続け、対応できるのは人間しかいません。私には世界を変えることはできませんが、一人でも多くの子供たちが美味しい野菜を食べることで豊かなこころとからだを持ち、少しでもよりよい世界を導いてくれることを切に願います。

そのために、私は自然にも人にも優しい方法で、私にできること愚直にやり続けたいと思います。50年後100年後の未来が、少しでもよりよくなるように。

いまの私は両親や祖父母、そのさらに前の代の先祖たちが、汗水たらして頑張ってくれたおかげで存在できていると思います。だから私も、子供の世代やそのまた次の世代のために、いま頑張らなければならないのだと感じています。なにを引き継ぎ、なにを残してゆけるのか。その答えはわかりませんが、野菜をつくりながらずっと考え続けていくつもりです。

そんな想いから、農園名は『にのと農園』にすることに決めました。私の名字である二ノ戸(にのと)からとっています。私の先祖たちの名前を引き継ぎ、次の世代に残してゆきたいという想いを込めて。

よりより社会を目指して、たねを蒔いて未来を育んでいこうと思います。


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