〔投げ銭〕新元号「令和」に決まって

新しい元号は「令和」に決まった。

友人と新しい元号はあれでいいのと質問があったので、新元号に対しての自分なりの考えを記しておこうと思う。

従来、「元号」は中国の古典を典拠にしている。
例えば「平成」は中国の歴史書『史記(しき)』五帝本紀の「内平外成(内平かに外成る)」などを典拠としている。

しかし、今回の「令和」は、『万葉集』第5巻、815番歌から始まる梅の花の歌、32首の序文「于時、初春令月、氣淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香。〔時、初春の令月にして、氣淑(よ)く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後(はいご)の香を薫す。〕」を典拠にしており、初めて、日本の書物から元号を定められることになった。

さて、本来は中国の古典を典拠にしていた。
しかし、この『万葉集』でも漢語が使われている。
一部、テレビニュースでは、『万葉集』は、万葉仮名という漢字に音をあっていた時代の書物だから、漢文の影響があっていいのでは、というコメントがあった。
典拠となる序文の「初春令月(れいげつ)にして」が、まさに漢文の要素を含んでいる。

小学館の『日本国語大辞典』によれば、「令月」には「めでたい月・すべての物事を行うのによい月」と「陰暦2月の異称」という意味が載っている。
また、平安時代の藤原公任(きんとう)が選集した『和漢朗詠集』下巻・祝の「謝偃」の漢詩「嘉辰令月歓無極(かしんれいげつ かんむきょく)」(原典未詳)もあるように、「令月」がもともと漢語であることがわかる。


したがって、中国文学を参考にするという風習も残した上で、新元号は制定したと考えられる。

「和」はすでに「昭和」など2文字目に、今まで18回用いられている。ちなみに冒頭に用いられたのは、「和銅」の1回だけだ。


よい年になるように願いを込めている、また春の様相をしめす箇所から、新しい時代の「めぶく」、すなわち、日本国の今後の繁栄を祈念していることも感じる。


「大正」・「昭和」・「平成」と、天皇の崩御にともなう改元が続いた。

天皇の退位は江戸時代の光格天皇以来であり、200年ぶりの出来事である。

「喪」に服さなかったり、天変地異を理由にしたりする改元でないため、おめでたい意味が含まれている。

ただ、どこか浮かれすぎのような気もする。

また、「令」の字は、漢文では使役の助動詞にあたる。「和ましむ」と書き下すことができる。また、「命令」などの熟語もある。

したがって、強制させている感があることも、よくないイメージをもたせる。


考案者には、

(1)日本学士院会員

(2)文化功労者・文化勲章受章者

(3)国文学・漢文学・東洋史学の学者

という条件で選定されており、今、非公開になっている。


「令和」は『万葉集』を典拠にして決まった。

以上の条件を考えると、『万葉集』の学者として中西進氏が思いあがる。「令和」の考案者は中西進氏であることは、可能性は高いだろう。

マスコミが新元号発表の翌日に、一部の考案者や選考漏れの元号を報じている。


「平成」は、阪神淡路・東日本大震災をはじめ、各地に災害がたびたびおこあった。戦争のなかった平成につづき、災害もない「令和」になることを祈るばかりだ。

個人的には「万和」がよかったなぁ・・・

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