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メル友のアカネちゃん 5
長崎駅に着いたのは11時過ぎ。アカネちゃんとの約束の時間まではまだ随分ある。どこかでのんびり座って時間をつぶせるだろうと思っていたタイラの思惑は外れて、アミュプラザの中のベンチはどこも先客で埋まってしまっていた。というよりそもそも、タイラが思っていたよりもずっと、座っていられる場所が少なかった。
一階はお土産売り場。2階と3階はファッションブランドのお店がたくさん。ファッションに興味はあるけれど
メル友のアカネちゃん 4
「普通がいいんじゃない?あんまり気合い入れすぎるとひかれるやろ、逆に。普通にTシャツとハーパンでいいって。服より眉毛とか髪型の方が大事じゃ?あと靴!靴大事!」
コウキのアドバイスは的確だった。さすがは他校の彼女持ちといったところだ。悩みすぎていっそ制服で行こうかと思っていた昨日の自分が恥ずかしいとタイラは思った。
アカネちゃんとの約束は来週の日曜に決まった。もう時間がない。服や靴はあるものをな
メル友のアカネちゃん 3
アカネちゃんからのお誘いは青天の霹靂のようにタイラの六畳の子供部屋を駆け回った。というのも、先日金比羅神社の縁日にアカネちゃんを誘ったメールに、なんの返事も無かったからだ。
金比羅神社は鳴海ニュータウンのすぐ近く、鶴浦の港を見下ろす山の上にある。アカネちゃんは市街地に近い大手町に住んでいるから、ここまで来るのは遠かったのかなと、タイラは少し反省していた。
「友達のプレゼント選びたいから、付き合