しいさ

地方在住の27歳女子。日常や生きるつらみ、恋愛、仕事のことを記録します。

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最近の記事

27歳、去年とは違う私が花火を見た

 好きだった人に告白してから3カ月が過ぎた。毎日その人のことを考えていたのに、考えない日々が続いている。さみしい日々はちょっとずつ遠ざかって、以前のひとりでも平気な私に少し戻ったみたいだ。  先々月、仲の良い会社の同僚が私の住む町にやってきた。彼は学生時代の先輩でもあり、気心の知れた相談相手だ。noteもきっとやっているだろうが、知らないことにしよう。  場所は私の通っているバーだった。彼の雰囲気が、あまりバーの落ち着いた雰囲気に合っていないので、過去2回この町に来たとき

    • 26歳女子、ひとりを食べてひとりに殺される

       ひとりの行動が好きだ。ひとりでご飯を食べて夜は飲みに行き、図書館に行き、カフェで本を読み、旅行に行き、音楽を聴いてひとりで眠る。これまでずっとそうしてきた結果、過不足がなかった。何もしないでベッドの上で休日を無駄にして自己嫌悪に陥ることはよくあったが、ひとりで過ごす状況それ自体が嫌になったことは一度もなかった。  ここにきて、急にだめになってきている。ひとりが怖くなってしまった。ひとり暮らし3年目にして、家に早い時間にひとりで帰るのが怖くなった。先週と今週は、夜に飲みに行

      • 心が割れるのを待っている(令和によせて)

         今朝のコーンスープを飲みながら、心が割れるのを待っていた。  運河を下る船から生まれた波が断続的に広がり、岸壁に当たってゆっくりと跳ね返り、遠い島の入り江に訪れた波に浅瀬の藻が柔らかく揺れている。私が見ていなくても。心とは本来そんなものか、とも思う。  マックスバリューで若い男のレジ打ちと目が合う。私の後ろは土建屋の2人組。どんな目をしてるんだろう。私の目は読み取る目、自分の目を読むことはできない。  遠い場所から言葉が降ってくる。空の向こうから。心の奥深い地下層から

        • 告白に失敗した日の朝に文章を書けること

           文字にすること。気持ちを言葉にして伝えること。  この大切さを昨日ほど実感した一日はなかった。  昨日、およそ1年間片思いしてきた相手に思いを伝えることができた。  悩みに悩んだ。自分が抱いているのが果たして恋愛感情なのか、尊敬の気持ちなのか、感謝なのか…毎日欠かすことなく、その人のことを考えてきた。  モザイクのような気持ちを、少しずつ整理してノートに書き起こした。時にフローチャートを作り、イラストを添える。気持ちをそのまま流せるように、noteやtwitterも

        27歳、去年とは違う私が花火を見た

          26歳女子、胃潰瘍になる

           2019年3月24日、吉田修一さんの小説「怒り」を読み終わった。  もともと新聞小説として連載されていたもので、職場の同僚が強く影響を受けたということで図書館で借りてきた。映画化もされているので有名だが、殺人犯の疑いをかけられる3人の男とその周辺の人々の群像劇で、「人は人を信じられるか」という重厚なテーマの作品となっている。その重みは、読み終わって1時間、私の胃や内臓に消化しきれない感覚として残っているのだった。  ー胃が重い。胃もたれする。きりきりする。日常生活に支障

          26歳女子、胃潰瘍になる

          インスタ映えとは息を吸って吐くような驚きだ

           本に囲まれて寝落ちする-。そんな触れ込みのゲストハウスに泊まった。2段ベッドの壁面が本棚になっており、ロビーのソファでくつろぎながら好きな本を読める。それだけといえばそれだけなのだが、とにもかくにも雰囲気がおしゃれだ。  不思議なことに、この宿にいる人は日本人でも外国人でもみんなおしゃれな人たちに見える。おおむね20~30代の若者で、スウェットなどくつろいだ部屋着を着ている人もいるけどそれすらもキマって見える。だらしない印象の人は誰一人として居ない。机に座ってほおづえを突

          インスタ映えとは息を吸って吐くような驚きだ

          感謝してくれるあなたが欲しいんですか?

           ゲストハウスに寝泊まりするのには、体力と、ある程度の運動能力が必要だ。  ここでいうゲストハウスというのは「簡単な仕切りのある2段ベッドなどに寝泊まりする形式の宿。外国人の宿泊客に人気」というスタイルである。私がいま宿泊しているのは日本海側のとある町の施設で、そこは下のベッドの住人の利便性あるスペースを確保するために、2段目の住人がはしごを頼りに”クライミング”する高さは2㍍近くある。  はしご(強度は申し分ないのだけれど)を上りながら片手でベッドの入り口付近にある手す

          感謝してくれるあなたが欲しいんですか?

          26歳女子、円形脱毛症になる

           2019年1月某日。2週間ぶりに行きつけのバーに行った。客は私(26)1人だった。「ちょうど、●さんのことを思い出していましたよ」。マスター(36)は笑顔でいつも私が頼むお酒をつくってくれた。私の先輩の話になった。どうやら最近「ローマの休日」を観たらしいが、オードリー・ヘップバーンと恋に落ちるのは新聞記者という設定のようだ。「観たことはないですけど、王女様との恋のお話ですよね」「そうそう。それで、彼となんとなくイメージが合っていて」。24時間だけの恋。「気まぐれなところがい

          26歳女子、円形脱毛症になる

          26歳処女が愛を探して泥の中を這う

           2018年8月31日。テレビや新聞各社では、夏休み終了後の子どもの自殺率を下げるための企画が盛んに取り上げられていた。そんな日は私(26)にとっては、尊敬する大切な先輩(29)がこの街から去っていく日だったのだが、どうすることもできず、朝ベッドから起きることもできず、ぐずぐずと午前中を家の中で過ごしてしまった。個人事業主的な仕事の性格のせいか、私の職場にはタイムカードも決まった出勤時間も特に存在しない。  結局昼ごろに出勤した後、 整理しきれない量の仕事が入ってきてしまい

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