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Netflix original『Okja / オクジャ』

私は動物らのことを好きとも可愛いとも思ってません。嫌いでもありません。
距離を置いて接し、困ってる様だったら人に対してと同じように親切にはします。
もし、彼らが喋れるのなら敬語で応対しますし、名前が分かれば、トミーさん、ベッツィおばさん、おはようございます、と挨拶したい気持ちを持っています。

Okja

Netflixオリジナル韓国映画の記念すべき第一作目。
厳密には、韓国・アメリカの合作。
制作費は日本の大作映画約5本分。

普段あまり強く人にお勧めしない気弱な私が、自信を持ってご紹介。
2年前の作品だけど。

Netflix original   /    Dolby Vision    /   121m   /   R15+

↓ Netflix official Trailer

↓国内向け字幕付 予告編(すぐ鬼才て付けたがる)

監督・脚本
ポン・ジュノ

出演
アン・ソヒョン
ティルダ・スウィントン
ポール・ダノ
ジェイク・ギレンホール
スティーブン・ユアン

[ ポン・ジュノ 代表作]

実際に起こった未解決連続殺人事件を独自の解釈で見事に終結?させた『殺人の追憶』(2003年)、
汚染により漢江から誕生した怪物と河原で売店を営む家族との対決が当時の観客動員記録を塗り替えた『グエムル』(2006年)、
殺人容疑をかけられた知的障害のある息子と、子供を信じる母の本能の姿を限界まで表現した『母なる証明』(2009年)、
次々に大話題作を生み出し、2013年には氷河期を迎えた地上を走り続ける自給自足列車内での熾烈な格差社会をノンストップで描く『スノーピアサー』はアメリカで制作。

今回の『Okja』は、監督したの全部代表作ポン・ジュノと、韓国コンテンツを世界に売り出すべく予算大量投下するNetflixが手を組み、カンヌ映画祭ではパルムドール(最優秀作品賞)を争うほどの芸術性、メッセージ性の高い映画となった。

当時、劇場公開されない配信映画は映画関係者から嫌われていたこともありパルムドールを逃したとも云われる。

ミジャ (アン・ソヒョン)

物語の主役である。

配信当初から話題になっていた『オクジャ』をしばらく放置し後回しにしていた理由はこの、なんじゃこの顔は、の主役子供のせいだった。
だが安心しなさい、主役はこの子以外考えられないな、と登場して5分で信頼関係を築ける。

この田舎っぺ顔がどの角度から見ても変わることなく、どこで見付けてきたんだと、この少女を発見した時点で面白さは半分保証されていた、と大袈裟ではなく感じ視聴が遅れたことを後悔した。

韓国の山奥で祖父と二人暮らしの女の子(ミジャ)には家畜であり家族であり友達である巨大豚(オクジャ)がいつも側に。

このオクジャが良くも悪くも絶妙の賢さ。やや漫画っぽい表情や仕草も物語全体の雰囲気に合っていて私は冒頭の15分ほどで巨大豚オクジャの全てを受け入れた。糞を撒き散らす動物的行動もそつなくこなし、リアルさもきちんと兼ね備えた良い演技をしている。じっと見ていると臭いまでも何となく伝わってくる。

何故この様な巨大な豚の様な生き物がこの少女と一緒に暮らしているのかも手抜きなしに科学的説明をされ、現代社会の闇を薄々感じながらミジャとオクジャの行く末を見守ることになる。

ジョニー・ウィルコックス博士(ジェイク・ギレンホール)

テレビで大人気らしい動物博士の登場から話は急展開していく。
この博士の風貌からドタバタ展開が予想されるも、意外に現実的段階を踏みながら、舞台は山奥から都会の街へと移行する。

ジェイ (ポール・ダノ)

過激動物愛護団体ALFのリーダー。オクジャの誕生と運命を知る重要人物。

この男の登場により、現代社会の科学倫理と動物愛護主義と企業・人々の欲望という物語に皆が巻き込まれて行く。

韓国人少女ミジャと韓国語分からないジェイとの会話が全然噛み合わない。『グエムル』で見せたポン・ジュノの喜劇センスもこの辺りでチラホラ垣間見ることができる。

ケイ (スティーブン・ユアン)

言葉が通じないミジャとジェイとの間で通訳をする羽目になった、ALFのメンバー。『ウォーキング・デッド』のグレンでお馴染みの俳優さん。この人が画面に映っているだけで安定感が増し、物語にどう関わってくるのか楽しみも増えてくる。

ルーシー・ミランド (ティルダ・スウィントン)

大企業ミランド社のCEOでこの物語の悪役である。
と言っても現実社会じゃ決して悪とは言い難い厄介な女性。見た目から喋り方、衣装まで全てが厄介で彩られる、ある意味我らのCEO。

あんまりこういう発言はしたくないが、動物が好きでも嫌いでもない私はラストで泣いてしまった。
好きでも嫌いでもないから泣いたのかもしれないし、決して感動のいい涙ではない。歳とって緩んだわけでもない。その辺は観ればわかる。

平成狸合戦ぽんぽこ以来だから、かれこれ25年ぶりかな、映画で泣いたのは。悔いはないけどね。

世界中の大人に是非見てほしい映画でございました。

#Netflix

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