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鳥取県在住の水産系YouTuberで、MELアンバサダーのさかひこさんにインタビュー

 「少年写真ニュース」2024年1月8号にて、水産系Youtuberのさかひこさんにインタビューをさせていただきました。

少年写真ニュース1月8日号特集は豊洲市場で仲卸業を営む、山治の山﨑社長です

 ただ、紙面のコーナーがあまりにも小さすぎて、全文どころか、ほんの気持ちのコメントしか掲載できませんでした。本当に申し訳ありません!

さかひこさんの動画、ぜひ見てください!

 またとない貴重な機会でしたので、noteにて、インタビューをどどんと掲載させていただきます!

──現在のお仕事について教えてください。

「僕は鳥取県内にある水産会社に勤めていて、YouTubeは仕事をしながらやっています。会社では、魚を海で育てる部署にいます。サーモンの養殖ですね」

──具体的にはどんなことをしているのですか?
「だいたい12月くらいから、”沖出し”といって、山で育てた稚魚を海の中に入れて、少しずつ慣らしてから、沖の生け簀(いけす)に持っていくんです。
 境港の陸から3kmくらいのところに漁場があって、そこにだいたい12月に入れたら、3月の終わりから5月まで水揚げをするという感じですね。
 その間に2kg〜2.5kgもないくらいになります。だいたい当社は重さで出していて、220g~225gあるかどうかなんですけれども、20cmくらいの魚を4ヶ月くらいかけて育てると、40~50cmくらいになって。それを水揚げします。
 会社に工場が併設されているので、食品部に加工してもらったり、丸魚でそのまま出荷したりしています」

──今のお仕事に就いた理由について教えてください。
「小さな頃から魚が好きで、大学では魚、養殖業、陸上養殖を学びました。
 出身は岡山県なんですけれども、岡山県で養殖業を大々的にやっているところはあまりなくて。で、『どうしよう』ってなった時に、いちばん近かった場所が鳥取県だったっていう。今の会社ですね。サーモンの養殖については、”たまたま”という部分と、どちらかといえば東北のイメージがあるので、『こんな南でやるのもおもしろいなあ』というのがあって」

──子どもの頃から魚が好きだったんですか?
「魚に興味を持ったのは、テレビで『どうぶつ奇想天外!』(2009年まで放送/TBS系列局)って番組があったのですが、それを見てからですね。
 魚を初めてさばいたのは、それこそ幼稚園か小学校低学年の頃です。ウルメイワシを手開きでさばいたのを覚えています。親といっしょにやって。
 そこからさらに本格的に好きになったのは、うちの大学(岡山理科大学)の先生をテレビで見た時です。テレビで見たのが、金魚と鯛がいっしょの水槽にいるっていう。『好適環境水』というんですけれども。
 海水って60種類くらい成分があるんですよ。ただ魚にとって必要な成分というのは5~6種類しかないんですね。それ以外全部必要ないんです。ゴミだったり、毒だったりっていう。なので、必要な成分を厳選して、調合したものを『好適環境水』というんですけれども、それって淡水にも海水にも共通で必要な成分なんです。先生がその研究をされていたので、それを見て『魚っておもしろいな』って思って、のめりこんでいった感じです。
 岡山理科大学に入学して、僕は工学部で水産をやっていました。山の中で海水を使わずに、特殊な水を使ってマグロを養殖するという研究をしていました」

──いつごろから水産系Youtuberになったのですか?
「もともとYouTubeは中学の時に友だちが見ていて、その時におもしろい人がおって、『ああ、おもしろそうだな』って思って、僕もハマっていったんですね。それでいろいろ見ていったら、編集がすごく上手な人がいたんですよ。
 で、『自分もやってみたいな』って思って、高校の頃に放送部に入って、動画の編集を学びました。大学の頃から、YouTubeでの発信をやりたいなと思っていたんですけれども、岡山って結構魚種が少なくて。あと市場が遠かったので、ネタにするのは難しいなって思いました。
 就職してこっち(鳥取県)に来て、図鑑でしか見たことがない魚だったりとか、岡山とは明らかにいる魚種が違うんですよ。値段も結構安くて、『こんな値段で買えるんだ』っていうのもいっぱいあったので、『じゃあ、やってみようかな』って。それで水産業の魅力を伝えようと」

──現在ではチャンネル登録されている方もたくさんいらっしゃいますが、きっかけはあったのですか?
「『サラメシ』(NHK)という番組がきっかけで見てくれる人が増えました。
もともと、僕が当時番組を見ていた時、『サラメシ』って、鳥取県が出ていなかったんですよ。だったら俺が最初に出てやろうかなって思って。
 それが2021年のことで、『サラメシ』にどうやったら出れるんだっていうのを調べたら、自分で応募するっていう選択肢があったのですが、当時はコロナ禍だったので、会社からも「だめ」って言われて。
 なのに、その年に『鳥取県スペシャル』を『サラメシ』がやってしまったんです。
 一応『サラメシ』のスタッフに、自分で連絡をしたんですね。上司に『応募していいですか』って聞いて、応募して、そうしたら採用してもらってというような。翌年の2022年に出れたっていう。
 そこからYouTubeの登録者も36人だったのが、一気に4000人近くになって。今はやりがいもありますね。コメントも少しですが毎回いただきますし、それはきちんと読んでいます。
 農林水産省の「#食べるぜニッポン!」キャンペーンに合わせて作成した動画は、再生回数にも結構直結しましたね」

──今年はマリン・エコラベル・ジャパン(MEL)の公式アンバサダーに就任されました。どのような経緯で就任されたのですか?

マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)の公式アンバサダー就任のきっかけは、今年(2023年)の6月の頭に『サラメシ』の再放送がありまして、それをMELの会長さん(垣添直也会長)がたまたまテレビで見ていらっしゃったそうで。垣添会長がもともと僕の上司(部長)がいた会社の方で、うちの社長も知っていて。それで部長に連絡が行って。で、部長から『大変なことになったぞ!』って言われて、『MELのアンバサダーをやってみないかって言われたけれど、どうする?』って聞かれたので、『じゃあやります!』って。せっかくご依頼をいただいたのに『嫌です』っていうのはもったいないなと思って。自分の会社もMEL認証を取得していたので、『まさか自分に声がかかるなんて!』という感じでした。
 垣添会長とは8月に東京で開催されたジャパン・インターナショナル・シーフードショーでお会いしました。部長から話は聞いていたのですが、実際にお会いして、ただならぬ人だという雰囲気……覇気みたいなものを感じました。
 僕が『MELアンバサダーになった』という動画を出したら、垣添会長が大爆笑して見てくれていたという話をMELの広報さんから聞いたんですけれど」

垣添会長が掲載された「少年写真ニュース」とモニターに流れているさかひこさん

──MELについてはどのようなことを動画で視聴者の方に伝えていますか?
「MELマークがついている商品を西日本で探してみたんですけれど、なかなかないんですよね。九州だと宮崎県の『黒瀬ぶり』、四国なら香川県だと『オリーブハマチ』とかも入っているんですけれど、もうちょっとメジャーになってもいいんじゃないかなって思いはあります。もっと、本当どこで見ても『あ!MELやん!』ってなるような。
 MELの説明を、僕が最初の動画で『変な方法で魚を釣ってませんよっていう証明です』って言ったんです、ものすごく噛み砕いて。
 その後に『ぶっちゃけMELって何なの?』っていう動画を出して、もうちょっと詳しくやりました。
 いろんなことが言いたいんですけれど、わかりやすく3つとかに要点をまとめて伝えていますので、ぜひ動画を見てください!」

──確かにさかひこさんの動画は、わかりやすいですし、親しみが持てますね!
「正直、「水産業」って言われても、わからない人が多いなって思っているんです。『何しているんだろう?』とか。
 実際に僕の会社でも新入社員で入社する人が少ないんですよ。僕が入った時が多かったんですけれど、そこをピークにどんどん減っていっているんで。
 だから水産業ってなんだかわからない人が多いのかなって思いました。『水産ってなんだろう?』って思う人が多いのかなって思って。
 今度、動画のために取材に行くんですけれども、一般の人は、普段水産業界の現場って、そんなに簡単には入れないじゃないですか。実際に行って、僕が見せてあげたいなって思っていて。
 案外いちばんYouTubeで受けるのは、普段は入れない場所に入るっていう動画なんですよね。実際に漁師さんのYouTuberっているんですけれども、漁をしている様子は結構受けているんじゃないかと思います。
 視聴者が自分が体験できないことを見せてあげるのが良いのかなって思っています」

──水産業をより多くの人に知ってもらうために、特に力を入れていらっしゃるテーマはありますか?
「日本の水産業というのは、日本の食文化を支えているんじゃないかなと思います。やはり生食文化というところですね。刺身や寿司の「生食」の文化があるからこそじゃないのかなと思います。
 だからまず、みなさんには、魚の食べ方を知って欲しいというのがあります。 
 ある時、スーパーに行ったら、ハタハタを売っていたんですね。そこにいた店員の女性の方に『これってどう食べたらおいしいですか?』って聞いたんです。でも、その店員さんは答えられなかったんですよ。バイトさんだったのかなって思ったんですけれど。お客さんだって、答えられなかったから、買わなかったりとかするんじゃないかなって。
 ホタテによく似たツキヒガイって貝があるんですけれど、市場で、僕の隣にいた人が『なんだろうこれ? どうやって食べたらいいんだ?』って聞いてきたので、僕が説明したら買ってくれたんですよね。
 『バター焼きにしてもおいしいし、ホタテと同じように刺身にもできますよ』って教えたら、『じゃあ食べてみようかな』って買ってくれて。
 そうなった時に、ちゃんと伝えれば『食べよう』っていう気になるんだなって思って。だったら、そういうことをちゃんと伝えられるようになりたいなって思って。
 うちの会社のサーモン売り出すにしても、『こう食べたらおいしいよ、こうさばいてみると食べれるよ』っていうのを、僕が説明したいなとか、やりたいなって思っています。
 コメントでも『さばき方を教えて欲しいんです』みたいなのがあるんですよね。『どうさばいたらいいの?』とか、『どう食べたらいいの?』とか、あとは、保存方法についての質問も多少あるんで、『ここをこうしたら2~3日はもつよ』とか、それも教えたり、伝えることができたらとか。
 動画では失敗するところもあえて見せているんです。『あ、失敗したや、まあいいや』っていうのを。そうしたら『親近感が持てる』っていうコメントもありました。飾らないことも大切だなって」

──これからの夢や目標について教えてください。
「いずれ、生産者と消費者をつなげるような人になりたいなって思います。僕は仲のいい漁師さんもいるんですけれど、魚が売れなくて、自分で販売しているそうなんですが、それでも売れないっていうし。一方で、料理もするけれど、レパートリーがないっていう人もいるんで。僕はその間をガチャっとつなげるようなことができたらなあって思っています。
 ゆくゆくは、というか、今はMELの公式アンバサダーをやらせていただいているので、MELで何かできたらなあって。ほかの人も巻き込んでやりたいなあっていうのはありますね。MELの公式アンバサダーの任務は3月末までと言われているんで、そのあとはわからんのですけれども、続けられたらいいなと思っております」

(取材日:2023年10月4日/聞き手・編集:少年写真ニュース編集部)


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