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【第7回】試し読み連載!アメリカが恐れる中国発のAI技術とは?この1冊で、徹底解剖。


クリス・ストークル・ウォーカー著のビジネス書「最強AI TikTokが世界を呑み込む」の試し読み連載、第7回!
この連載では、本文から厳選したハイライトを、全10回でご紹介しています。
今回は第4章『バイトダンスの裏側』~20. スピーディ、オープン、ハードワーク~より。「立地」「給与」「企業風土」という3つのポイントから、バイトダンスが成功した秘訣に迫ります。


1. 『会社の立地条件』

バイトダンスはその創業者に似て、オープンで、自立し、やる気に満ちた企業である。その野心は、会社の立地条件、つまり北京市内にあるということからも明らかだ。

市の中心部に近ければ近いほど、通勤網は充実していてありがたい。そしてバイトダンスの北京本社は中国首都の中心部にかなり近い。北京市の中心から放射状に延びていく第三と第四環状道路の間にある。もちろん、市の中心部への通勤時間を短縮することはお金が解決してくれる。

それが、なぜバイトダンスの給料が中国のほかのコンピューター関連会社よりはるかに高いのかの理由であり、移動を容易にしてくれる。つまり、今より市の中心部に近いところに住める余裕が出てくるわけだ。

2. 『中国のコンピューター部門で最高額の給与』

バイトダンスは、中国のコンピューター部門で最高額の給与を払っていることで知られている。ほとんどのコンピューター関連会社は前の職場でもらっていた給与より少しだけ高い額を提示するが、バイトダンスは現在の市場ダイナミクスを見て、それに応じた額を払おうとする。その結果、給与は大幅に膨らむという結果になる(高い成果を上げるとボーナスをもらえて、8倍の年収を稼ぐチャンスもある)。

ちょうど西側諸国でのように、競合的な額を提示して、バイトダンスはテンセントやバイドゥといった既存のIT巨人たちから多くの従業員を勧誘してきた。多くの従業員にアプローチし、給与を上げ、リーダーとして部署を監督するチャンスを提供した。2017年には、ストックオプションが提供されたりした。それはあっという間に会社が成功することに賭けようと思う人たちにとって魅惑的な儲け話であった(今日、ストックオプションの提供は上級社員に戻されている)。

グーグルやフェイスブック、その他シリコンバレーの企業のように、バイトダンスの従業員には1日に3回きちんとした食事が出され、いつでも欲しいときにおやつを食べてもいいことになっている。食べ物はおいしいらしい。

3. 『誰もがほぼ対等という企業風土』

その寛大さは全従業員に浸み込んでいる「バイトスタイル主義」とも言える、会社のDNAだ。従業員も管理者も、誰もが関与するよう促され、自分自身に挑むような意見を探し出すよう求められる。自らの視野を広げることによって、最善の解決法を見出すことが要求される。「オーナーシップをとり、リスクを推定し、カビを取り払い」、問題にはその全体像をイメージして取り組もう、というのだ。また正直な意見を共有し、上司へのおもねりは避けるように求められる。

中国のビジネスはひどく堅苦しく、従業員同士も相手が大学で何かを学んでいると、お互いに「先生」のような称号をつけて呼び合っているが、イーミンは下の名前で呼んでほしいというだろう。姓ではないのだ。彼は「イーミン」が好きなのだ。階級と組織に支配されているビジネスの世界にあっても、イーミンはバイトダンスを誰もがほぼ対等という企業風土をつくり上げたのである。

【次回予告】
第8回は、8月2日公開の予定です。お楽しみに。