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平成の残り火

平成の残り火が、最後の輝きを放って燃えている。

みんなの平成愛がこうも高ぶっているのは、純粋な愛なのか、それとも単なるお祭り気分なのか。

今上陛下がご譲位をご決断し、改元の日が定められたときから、日本人のなかで「平成」はとても大きな存在になった。寝た子を起こしたみたいにみんな平成平成と言うようになった。まだ平成という時代を生きているのに、平成の後ろ姿を追いかけているような不思議な雰囲気。新しい時代を迎えるその瞬間まで、この名残惜しさは続くのだろう。

今日は、「平成最後の昭和の日」ということで、例のごとく思い出作りのためのイベントが各地で行われたようである。「平成最後の昭和の日に、大正駅で明治乳業のR-1(令和)を飲む」みたいなやつ。

とてもいいと思う。そうやって何でもない日常に価値を見つけて楽しむのは素晴らしいことだ。ただ、「平成」「昭和」が、お祭りムードのためのおもちゃに使われるだけだとしたら、それはちょっと寂しい気がする。

そんなことは、きっとないと思う。やっぱり、日本人のなかで、決して消えることのない火が燃えているのだ。それは長い歴史のなかで燃え続けて生きた。だからこその社会現象なのだろう。今まで隠れていた日本人の秘めた思いが、今回の改元で引っ張り出されただけのことなんだ。

やっぱり日本人は天皇が好きなのだ。普段は何も思わなくても、多くの人の心にそれはあると思う。


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