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自信なんか、持てなくてもいいんだ

僕は、昔からとにかく自分に自信がありません。
もちろん大人になると、いろいろ経験して自分にできることもわかってくるし、あまりにも卑屈な感じでは信頼もされないので、10代のころほどネガディブではなくなりました。それでも、自信に溢れている人を見ると羨ましくて、自分に自信を持つ!ということは僕の人生の目標の1つでした。

しかし、ここ1年くらいの間に、じわじわと、すごく大事なことに気づきました。それは、そもそも自分に自信なんか持てなくたって、それはそれでいいんじゃないか、ということなのです。

自信がないと、尊敬できる

「尊敬している人の名前を挙げよ」と言われたら、僕は自分より年下の知り合いの名前を結構言います。そして、それを本人に直接言うこともありますが、たいてい「年上の人に尊敬されたのは初めてです」と言われます。

そういうものか、と思っていましたが、実はこれは自分のすごく重要な特性なのではと気づきました。たぶん、自分に自信がないから、年齢とか関係なくいろんな人を見てすごいなあ、自分もこんな風になりたいなあと、素直に思えるのだと。
言われてみれば、「尊敬する人」は自分より人生経験が多い年上であることが普通です。尊敬までいかず敬意をもつ、くらいだとしても、「年下上司はムリ!」という人は結構いるし、ムリ!とまでいかなくてもモヤモヤくらいはある人の方が多そうです。

振り返ってみると、僕は昔から年下に対するリスペクトがありました。
会社員時代、僕には尊敬する部下が何人もいました。そして、自分が彼らより上の立場にいるのはただ経験年数が長いからであり、能力は負けているしポジションもすぐに追い越されるだろうと思っていました。実際「自分には下っ端が向いているから、○○に昇進してもらって自分は降格したい」という話をよく公言していました。もっとも、上長たちには冗談だと思われて、実現したことはありませんが。

自信がないと、いい仕事ができる

このような価値観で生きていると、チームの動かし方が普通と違った感じになります。
一般的には「立場の上の人が考えて、下の人が手を動かす」ですが、僕は逆で、「下の人が考えて、上の人(自分)が手を動かす」働き方をします。

僕は、ただ手を動かせばよい雑用系の仕事を自分がやり、クリエイティブに考える仕事を部下にお願いする傾向にあります。
もちろん、会社員時代には厳しい期限の中で自分が考えて決めちゃうことも多かったですが、社長となった今は雑用が自分、クリエイティブな仕事はスタッフのみんな、と決めています。だって、自分より優秀なみんなが、僕の言った通り手を動かすだけなんてもったいないじゃないですか。

もちろん、「部下に任せる」というのはもともとマネージャーとして必須のテクニックですが、僕のやり方は、任せるとはちょっと違う。責任や作業を上が引き受けつつ、考える仕事だけ下に移管する働き方は珍しいのではないかな。もちろんこれは良い面と悪い面があるのですが、少なくとも普通のチームでは生み出せないアイデアを引き出すのには役に立っていると思います。

自分よりも周りの人が輝いて見えると、人とは違う働き方を実践できるのです。

自信がないと、採用の幅が広がる

弊社では、高校生や大学生を積極採用しています。名目上はわかりやすさのために「インターン」と呼んでいますが、仕事の内容としては新規事業を0から企画して開発までやってもらうとか、既存のサービスを運用してもらうとか、普通に正社員がやる仕事です。(良い呼び方をずっと考えている)
大人相手にこの話をすると、ほぼ全員に不思議がられます。「高校生に何ができるの?」「えっ給料払ってるの?」「なんで?」。そして、即戦力採用を謳っている人材プラットフォームにでも登録してみたらどうかと言われます。

そんなに不思議なことなのか?というか、なぜ大人のみんなは、高校生より自分の方が優秀だと思っているのか?
確かに、学生には働いた実績がない。でも高校生のうちから社会で働く経験を積もうなんて考えている人は僕なんかよりずっと優秀に決まっているし、ちょっとした経験の差くらいならChatGPTですぐに埋めることができます。そして、実際にみんな優秀です。
つまりこれは、青田買いなのです。ビジネス的に考えても、実績ある即戦力人材を他社と取り合うより、実績はないけれどポテンシャルのある学生を採用して育成した方が、よっぽど効率がいい。

自己評価が低くて「自分より仕事ができる学生なんて山ほどいる」と考えてしまうことは、実は人材登用に活きるのです。

自信がないと、フラットな関係になる

弊社で行われている学生とのミーティングは本当にフラットで、みんな僕に対して、営業の仕方がなってないとか、資料構成がダメだとか、言いたい放題言ってきます。まあ、コンサル業界で10年パワポ職人やってきた僕に資料構成の指導をはじめる学生はさすがにどうかと思うが、とにかく弊社では、大人の僕が学生に教える、という雰囲気はありません。そして学生たちにも「勉強させてもらおう」という気持ちはたぶんなく、純粋に「働く」という経験をしてもらえていると思います。

どうも世の中を見ていると、学生<大人という無意識バイアスがあるようです。大人と学生が交流して学び合う系のサービスはどれもこれも「大人が子どもに教えてやる」「大人から学びましょう」というスタンスだし、世代を超えて対等につながろう、というコンセプトのサービスは、だいたい学生が同世代やちょっと下の後輩のためにやっている。
たまに学生起業家や学生団体の代表と話すと、皆とてもすごい方々なのに、「そうなのですね!」「勉強になります!」と、大人に対する腰の低さにびっくりします。たぶん、そうすることで大人に気に入ってもらえるということなのでしょう。一体彼らはどんな大人たちと付き合ってきたのだ…と、少し悲しい気持ちになります。

僕はそうではなく、大人も学生も、年齢なんて関係なく、互いの強みを認め合って、対等な協力関係を築けるようになりたい。この考え方は、学生<大人というバイアスを持たない自分だからできることなんじゃないかなと思っています。

自信がなくてもいいじゃないか

つまり何が言いたいかというと、自分に自信がないからこそ、他者を素直にリスペクトできるということです。
世の中、自信を持とう!とか、自己肯定感を高めよう!という声が大きいですよね。僕もこれまで、そうではないことが悩みで、そうありたいと思っていましたが、別に自信がなくても、自己肯定感が低くても、それを強みにできることもあるじゃないか、と考えはじめたら、人生がだいぶ楽になったと感じます。

もちろん自分の感性はマイノリティだと自覚はしていて、全く違うぞ!という意見はたくさんあるでしょう。しかし、この発見が同じような悩みを抱えている方の参考になればいいなと思いました。

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