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【アカデミー主演女優賞】個人的ランキング①【97位~91位】


今回は、アカデミー主演女優賞を受賞した作品を全部みたので、それをランキング形式で振り返っていこうと思います。
基本的には作品賞ランキングと同じ方式で進めていきます。作品賞ランキング最新記事はこちら↓

97位 『巨星ジーグフェルド』 ルイーゼ・ライナー

受賞 : 作品賞、主演女優賞、ダンス監督賞
ノミネート : 監督賞、原案賞、美術賞、編集賞

他の候補者たち
『花嫁凱旋』アイリーン・ダン
『情熱への反抗』グラディス・ジョージ
『襤褸と宝石』キャロル・ロンバード
『ロミオとジュリエット』ノーマ・シアラー

 実際に「ジーグフェルド・フォリーズ」という絢爛豪華なショーを行っていたフローレンツ・ジーグフェルド・ジュニアを主人公とした伝記映画です。
 中盤の回る巨大ウェディングケーキのセットのインパクトが凄い。ショーのシーンは素晴らしいですね。溜息が出るような豪華な衣装、セット、美しい女性たち…
 まあただそれだけかな。演出も手堅くまとめているけど絶対にこの尺は長すぎます。流石に中盤で飽きてしまいました。
 ルイーゼ・ライナーはこれ主演ですかね?一番印象に残る演技ではありますが、主演女優賞とるほどかというと…
 他の候補だと『襤褸と宝石』キャロル・ロンバードを推したいです。作品自体も彼女自体もとても面白かった!

96位 『大地』 ルイーゼ・ライナー

受賞 : 主演女優賞、撮影賞(白黒)
ノミネート :
作品賞、監督賞、編集賞

他の候補者たち
『新婚道中記』アイリーン・ダン
『椿姫』グレタ・ガルボ
『スタア誕生』ジャネット・ゲイナー
『ステラ・ダラス』バーバラ・スタンウィック

農夫の妻を演じたルイーゼ・ライナーは『巨星ジーグフェルド』に続き二年連続での主演女優賞受賞者となりました。これは『招かれざる客』『冬のライオン』でのキャサリン・ヘプバーンと史上二人しか達成していません。
中国人である主要キャストをオーストリア人のルイーゼ・ライナー、アメリカ人のポール・ムニが演じているのですが、これがもう今となっては違和感しかないですよね。キャスティングには日本人女優の田中路子や、既にスターだった中国系アメリカ人アンナ・メイ・ウォンも候補でしたが、人種差別により演じさせてもらえませんでした。映画としても製作としても問題ありまくりの作品です。
ルイーゼ・ライナーの演技はヒドいドイツ訛りだと言われているようですが、日本人としてはあまり分からないですね。役柄としてもこれは助演では?主演女優賞とれるほどの演技だとは思えなかったです。

95位 『恋におちたシェイクスピア』 グウィネス・パルトロウ

受賞 : 作品賞、主演女優賞、助演女優賞(ジュディ・デンチ)、脚本賞、音楽賞(コメディ・ミュージカル)、美術賞、衣装デザイン賞
ノミネート :
監督賞、助演男優賞(ジェフリー・ラッシュ)、撮影賞、メイクアップ賞、録音賞、編集賞

他の候補者たち
母の眠り』メリル・ストリープ
『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』エミリー・ワトソン
『エリザベス』ケイト・ブランシェット
『セントラル・ステーション』フェルナンダ・モンテネグロ

やっぱりこれアカデミー作品賞とるほどの映画じゃない。いや、おもしろいんですがね…
第71回アカデミー賞最多13ノミネート、受賞7…いやいやそんな大層な作品じゃないですよこれ。
今から考えると、どう考えても『エリザベス』ケイト・ブランシェットがとるべきだったと思います。グウィネス・パルトロウはキュートな魅力はあるが、このメンツの中で主演女優賞というのはあまり納得が出来ません。作品賞をとった流れでとっちゃった感が否めないです。

94位 『喝采』 グレース・ケリー

受賞 : 主演女優賞、脚色賞
ノミネート :
作品賞、監督賞、主演男優賞(ビング・クロスビー)、撮影賞(白黒)、美術賞(白黒)

他の候補者たち
カルメン』ドロシー・ダンドリッジ
『スタア誕生』ジュディ・ガーランド
『麗しのサブリナ』オードリー・ヘプバーン
『心のともしび』ジェーン・ワイマン

ちなみに同年『裏窓』『ダイヤルMを廻せ!』というヒッチコックの傑作にも主演しているまさに全盛期です。
この年は『スタア誕生』のジュディ・ガーランドが最有力候補で、当然受賞すると思われていたがまさかの番狂わせ、オスカーを逃したことで更に精神を病んだと言われています。
正直ジュディ・ガーランドを負かしたということはさぞかしすごい演技なんでしょうね!?と期待していたんですが…
グレース・ケリーは確かにいいのですが、ジュディ・ガーランドのあの鬼気迫る演技と比べると足元にも及ばない。悪くはないけど普通では?と思わずにはいられませんでした。
そもそも作品そのものに穴が多く、全く受け付けない作品でした。

93位 『愛と追憶の日々』 シャーリー・マクレーン

受賞 : 作品賞、監督賞、脚色賞、主演女優賞、助演男優賞(ジャック・ニコルソン)
ノミネート :
主演女優賞(デブラ・ウィンガー)、助演男優賞(ジョン・リスゴー)、作曲賞、美術賞、録音賞、編集賞

他の候補者たち
テスタメント』ジェーン・アレクサンダー
『シルクウッド』メリル・ストリープ
『リタと大学教授』ジュリー・ウォルターズ
『愛と追憶の日々』デブラ・ウィンガー

母オーロラの若作り感をシャーリー・マクレーンはリアルに演じていたとは思います。キャスティングはすごくいいです。
ただ話にあまり感情移入できないんですよね。母オーロラは娘に対する愛情ゆえではあるんですが、傍からみると単に毒親なので感情移入とか無理でしょと思ってしまいます…
歪んだ母娘愛がテーマなのですが、出てくる人みんな変なのでだんだんどうでもよくなってくるという現象が起きてしまっています。
もちろんシャーリー・マクレーンは素晴らしい俳優だと思います。でもこれじゃなくて他にあるでしょ…!『アパートの鍵貸します』とか『噂の二人』とかさぁ…!

92位 『デッドマン・ウォーキング』 スーザン・サランドン

受賞 : 主演女優賞
ノミネート :
監督賞、主演男優賞(ショーン・ペン)、歌曲賞

他の候補者たち
リービング・ラスベガス』エリザベス・シュー
『いつか晴れた日に』エマ・トンプソン
『マディソン郡の橋』メリル・ストリープ
『カジノ』シャロン・ストーン

俳優ティム・ロビンスの監督2作目、実在の修道女ヘレンのノンフィクションを映画化した作品です。当時ティム・ロビンスと夫婦だったスーザン・サランドンは5度目の主演女優賞ノミネートにして初受賞を果たしました。死刑囚を演じたショーン・ペンもベルリン映画祭で男優賞を受賞しています。
ショーン・ペン、スーザン・サランドンともに繊細な演技が本当に素晴らしく、流石名優たちといった感じ。演技については文句なしにいいと思います。
ただ、これを「いい映画」と言い切ってしまうのは気が引けます。ティム・ロビンス自身が死刑制度廃止論者ということで、公平に撮ろうとはしているものの、どうしてもそのバイアスは感じてしまいます。また最後にマシューが「俺も悪いけど政府も悪い」というようなことを言うのはどうしても拒否感が出てしまいます。自分を棚に上げてそれ言う?と思ってしまいました。

91位 『恋する女たち』 グレンダ・ジャクソン

受賞 : 主演女優賞
ノミネート :
監督賞、脚色賞、撮影賞

他の候補者たち
ボクサー』ジェーン・アレクサンダー
『ある愛の詩』アリ・マッグロー
『ライアンの娘』サラ・マイルズ
『わが愛は消え去りて』キャリー・スノッドグレス

これがアカデミー主演女優賞??
いや、すごい変な映画で好きなんですが、アカデミー賞にはほど遠い気がします。ファンタ系映画祭で評価されそうな感じ。
そもそもグレンダ・ジャクソンって主演ですかね・・・?四人主演の一人で、決して役柄上目立っている訳ではないような気がします。
今何の話なんだっけ?と訳が分からない描写も多いのですが、その分強烈な演出のインパクトが上回ります。知らないうちにケン・ラッセルの造り出した波に呑まれていきます。
ものっすごい変な映画なのでDVD化されないのは分かりますが、好きな人はとことん好きだと思います。僕はけっこう好きでした。主演女優賞に値するかというと疑問ですが、作品としてはよかったです。

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