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【勉強】 OKRがなぜ今注目されているのか

最近よく耳にする言葉の一つにOKRというものがある。つい最近まで知らなかったので、勉強がてら備忘録としてのメモ。

OKRとは

OKRとは「Objectives and Key Results」の頭文字を取ったもので、KPIやMBOなどのような、目標設定・管理ツールの一つだ。Objectiveは目標、Key Resultは目標達成のための主要な成果を指している。

OKRの特徴は大きく3つ。

1. 会社の目標とチームや個人の目標がリンク・共有されているため、チームや個人が会社から求められていること、それをやる意義が明確になり、皆が統一された方向に取り組める。
2. 目標設定、レビュー、再評価の頻度が従来の管理法と比較して高い。(1ヶ月〜四半期ベース)
3. 目標達成の期待水準が60%〜70%程度であり、報酬制度とは分離されている。

まず会社全体の目標(O)がありそれを達成するための主要な成果(KR)が設定される。そしてそれに紐づくようにチームのOKR、個人のOKRが連動していく仕組みで、下の図のようなイメージだ。

OKRの設定方法

●目標(Objective)

・定性的な目標
・組織・社員全体がワクワクする、チャレンジングで高い目標
・1ヶ月〜四半期で達成できる

Oを設定する際には、「コンテンツで世の中を便利に!」といったような定性的でシンプルで覚えやすいものが良いとされている(数値はいらない)。また組織が鼓舞されるようなチャレンジングかつ四半期で達成できるような目標が好ましい。

●目標達成のための主要な成果(Key Result)

・定量的で数値で測れる
・一つのOに対して2〜5個のKRを設定する
・60%〜70%の達成率で成功とみなす
・本気で取り組んで達成率50%程度の目標である

Oを達成するための具体的な数値目標と考えればわかりやすい。まず、必ず数値で測れるという点が必須であり、「SMART(※1)」を設定手法に用いる。そして興味深いのは100%の達成を最初から期待していないということ。100%の達成が期待されるKPIやMBOと比べ、OKRでは挑戦的で野心的な目標が好ましいとされるからである。また従来の管理法は100%達成の是非が報酬とも関連するために、初めから目標を低く設定するインセンティブが働いたり、自身でコントロールできない外部環境要因を配慮できなかったりといった問題がある。一方でOKRは達成率と報酬は分離している。なぜならOKRの目的は企業・組織の高い目標を達成することにあるからである。

※1 ーSMARTー
S:Specific=具体的に
M:Measurable=測定可能な
A:Achievable=達成可能な
R:Related=経営目標に関連した
T:Time-bound=時間制約がある

OKRの導入と運用

1. 導入時、全社・チームOKRを設定する際にはトップダウンで決めるのではなく、チームや個人など意見を取り入れることが理想とされる。

2. 運用時は、週1回短いミーティングを開き、進捗確認・優先事項・達成の自信度・阻害要因・今週のKRのコミットメントを共有し合う。(このミーティングはチェックインとも呼ばれる)

3. 目標設定期間の中間では中間レビューを行い、必要に応じて目標の修正を行う。

4. 最終レビューでは、OKRの評価を行う。シンプルな目標のため評価に時間をかけすぎない。またOKRの評価であり個人の評価ではないこともポイント
→次の四半期に向けて1に戻る

OKRがなぜ今注目されているのか

GoogleやFacebook、メルカリなどが導入しているOKRだが、なぜ今OKRが注目されているのだろうか。私が考えた理由は3つある。

●VUCAの時代、柔軟にスピーディーに対応できる組織体制が必要だから

OKRでは1ヶ月から4半期ベースでの目標設定が想定されており、スピードを持った組織を作ることができる。KPIやMBOなど、一度目標を設定したら基本的には1年間はそれに向かってひたすら頑張るしかないのだが、VUCAの時代では1年後には環境が大きく変化してしまい1年前の目標はもはや意味のないものになってる可能性もある。十分に柔軟性を持った目標設定と達成に向けた組織づくりが必要なのではないか。

●イノベーティブな発想が生まれやすい仕組みであるから

しきりに叫ばれているイノベーションという言葉。イノベーションを意図的に起こすことは結構難しいが、それが起きやすい土壌としていくつかの要素を上げることはできる。例えば、それぞれが主体的な発想を働かせることができる環境であるということ。そして企業内で「共有」が十分に行われていること。KPIもMBOも目標共有の範囲がチーム内や上司との間だけなどクローズになりがちである。しかしOKRでは全社にや他者に連動した目標設定がされるために共有範囲が全社である。すると、単に個々の目標が共有されるだけではなく、誰が何を知っているかを知ってる状態(Who knows What)を作ることができると考えられる。またOKRは目標設定や評価の際にインタラクティブに話し合うことが想定されている。こうした組織文化はイノベーションを必要な企業に効果的に働く可能性が高い。

個人の働き方、やりがいの重要度が高まっているから

組織の目標と個人の目標がリンクしたOKRを設定することで、個人が会社の成長に貢献している実感を持ち、納得感を持って仕事をすることができる。従来の管理手法は特に日本では人事評価制度や給与査定基準として機能していた面が大きかったため、必ずしも全社の目標と一致しておらず、モチベーションが高まるようなチャレンジングな目標ではなかった。OKRはあくまで企業の目標達成のための生産性の向上を目的としているため、自分よがりな目標達成モチベーションではなく、チームの一員としての責任感が強まり満足度の向上を期待できる。

おわりに

OKRは単なる従業員の管理手法ではなく、経営者がヒトという資源をいかに活用し企業の目標達成につなげていくかの経営手法とも言えるだろう。スピードとイノベーションが求められる企業側にとっても、自らのやりがいや働き方を重視する働く側にとっても効果が高い手法だと思われる。一方で、単に導入するだけではなくきちんと運用することが肝要である。また従来のKPIやMBOがダメだというわけではなく、それぞれのメリットデメリットを見て使い分けることが大事だ。


参考:https://www.kaonavi.jp/dictionary/okr/
   https://www.fastgrow.jp/articles/okr-maeda

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