なぜ合気道の技がかからないのか
合気道をしていると必ずぶつかる壁があります。
それは
「型ではお互いに約束動作があるから技がかかるけど、抵抗された時にかからない」
ということ。
警察官時代に合気道の指導員になりたての頃はそこがボトルネックでした。
何故ならいつ現場で相手を制圧しなければならない状況になるのか分からないのに「抵抗されたら技がかからない」なんて論外だからです。
実際の現場だったら被疑者を抑えようとしても死に物狂いで抵抗するし、反撃もするでしょう。
喧嘩慣れしている人や格闘技を習得している人が襲いかかってきても合気道で対応できるのか。
非常に疑問でした。
合気道は面白いし、死ぬまで続けていきたい。
でもどうすれば現場で実践できるかわからない。
当時の私は合気道の練度が上がるまでは他の武道で補おうと、沖縄空手やシラット、クラヴマガ、ローコンバットなどを独学で学んでいました。
ではそもそも抵抗してきた相手に技がかからないのはなぜなのか。
これは当然だと思いますが
「型をそのままの形で使うことはできない」
という前提をまず持つこと。
そもそも「型」を通して私たちが学ぶことは
・攻撃をしてきた相手の「重心の崩し方」
・崩した相手を地面に「制圧する方法」
・そのために必要な「身体操法」
型とはあくまでもこの3つを学ぶための教材であり、土台を作るためのものと考えています。
問題集で言うと「例題」であり、「例題」で学んだことが「解き方の順番」だけなら応用問題で躓くのではないでしょうか。
「この例題はこれを解かせることによってどんな能力を身に付けさせたいのだろう」
という発想が必要だということ。
合気道も同じです。
型の形をなぞればいいのではなくて
「この技の最初の部分は正面からの手刀に対して肘を抑えることで重心を浮かして崩している」
「ということは剣やナイフの攻撃に対して未然に攻撃の動線を抑えて重心を崩す一例として正面からの手刀で学ぶのではないか」
ということは
・攻撃を察知する先読みの力
・攻撃の動線を予測する力
・武器の攻撃の動線を先に抑え重心を崩すこと
この3つが学べるのではないか。
そして
「これを他の攻撃で応用するならどうするのか」
を考えていきます。
型の最初の手刀を抑えるということだけでもこれだけの要素が出てきます。
一つの型の中でこれをしていくと多種多様な情報が出てきそうですよね。
これをしながら型をすることによって
重心の崩し方
制圧の仕方
それに必要な身体操法
が身についてきます。
そうしていくうちに
技の「精度」と「柔軟性」が上がることで抵抗する相手に対しても技がかかると考えています。
つまり、抵抗されると合気道の技がかからなくなる理由は
型に含まれている「意味」を掴めていないから
ではないでしょうか。
そうすると色んな抵抗をされても技がかかるようになったり、柔軟に技の選択をしたりと面白さが増します。
稽古に来ている合気道経験者の方にはこういう稽古をすると結構喜んでくれますね。
初心者の方には「技を知るための型」をしつつ、「技がかかる身体操法」をワーク形式で行っています。
「型」と「ワーク」を行き来することで「精度」が上がっていきます。
で、型の意味を知るためにオススメなのが「型」で遊んでみること。
悪ふざけのノリで相手の技に抵抗してみるとまた面白いのです。
ではでは。
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