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出産したら自然に「母乳が出る」と思っていた

コロナ禍の2021年10月。
総合病院だったので夫の立ち会いも叶わず、一人で出産した。

妊娠中

母親学級は中止になったりしていたが、
タイミングが合って前期も後期も参加できた。
そこでさらっと母乳の話はされていた。
多分。
それくらいの印象。

産院によっては絶対母乳!のところもあると聞いていたので
妊娠後期の助産師面談で
「ここの病院は母乳を推奨していますか?」と確認した。
助産師さんは「そんなことないです!ママの希望が一番です!」と答えてくれた。

妊娠中のわたしは「母乳が出たら母乳で育てたいな」くらいの感情だった。
「姉も母も祖母もみんな完母(母乳のみで育てること)だったから
きっとわたしもできるんだろうな」と軽く思っていた。

そして迎えた妊娠後期

里帰りのため、実家で過ごしていた。
夜な夜な、助産師さんに勧められた乳頭マッサージをやった。
ここからちゃんと母乳が出てくるのか…?
飲みやすい乳首になるために、引っ張っていた。

大きなお腹で、暑い夏の夜。
虚しさしかなかった。


予定日翌日に出産

予定日朝からの陣痛を感じ、翌日の夜に出産した。
話すと長くなるため、詳しい出産の話は別記事で。

夜22時に出産。
直後にカンガルーケアをしてもらい、
その時に初めておっぱいを赤ちゃんに吸ってもらった。
なんだか不思議な気持ちだった。

夜の出産ため、その日は新生児室で預かってもらった。
翌朝の10:00頃から赤ちゃんとの同室生活が始まった。

お腹を空いている、おっぱい初心者の赤ちゃんと
おっぱいの出ない新米ママと。
二人とも初めてで、とにかく戸惑いと不安しかなかった。

出産したら母乳って勝手に出てくるもんじゃないの?
わたしはそう思っていた。

でも、違った。
赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうことでホルモンが刺激され、
母乳が出るようになる。
つまり吸ってもらわないといけない。

産後直後のズタボロの身体で。
悪露も出ているし、お股の傷も痛いし、痔にもなった。
ドーナッツクッションがないとやっていけないのに、
そんな中授乳の練習をしていた。

吸うのも、吸われるのも初めて同士。
お腹が空いたと泣く我が子。
助産師さん指導のもと、出ないおっぱいを無理やり咥えさせる母。

泣いてるの。
大切な我が子が泣いてるの。
お腹が空いたって。これじゃないって。

でも吸われないとおっぱい出ない。
頭ではわかっているけど、それをするのを辞めたかった。

メンタルが崩壊していく感じだった。

わたし、そんなに母乳育児がしたいわけじゃないーーーー

出産3日目

おっぱいがパンパンに張って
パジャマが母乳でびしゃびしゃになった。
おっぱいも痛いし、
乳首も吸われて痛い。

夜な夜な助産師さんに母乳マッサージをしてもらった。
わたしにとってはとても大切な時間だった。
その時に今後の不安なことも相談できた。

その助産師さんはわたしのことをとても気にかけてくれていて、
まるで親戚のおばちゃんみたいなような感覚だった。
わたしの入院は本当に助産師さんたちに恵まれていて
生涯の中で満たされた とてもとても大切な5日間だった。
(産後メンタルで退院後「病院に帰りたいいいい」と泣いていたし、
病院でもらったオムツとかがなくなると「病院に戻りたいいいい」と泣いていた)


退院後

退院後は里帰り先の実家にいた。
夫の仕事も落ち着いていたが、出産を機に引っ越しをしていたために
引っ越しの片付けに追われていた。
そんな中、ちょこちょこ顔を出してくれていた。
(新居と実家は車で片道20分ほど)

一方わたしは。
産後、わたしのメンタルは崩壊していた。
ホルモンバランスが崩れる、と知識で知っていたものの
なにかあったわけではないのに涙が出る。とにかく泣いていた。

何気ない家族の一言が、大きな刃となってわたしを傷つけていた。
心の波紋がとても大きく感じていたが、
それをどうこうできるような状態ではなかった。

わたしの母乳育児は軌道に乗っていなかった。
出産したら自然に「母乳が出る」と思っていた。

まだまだ授乳の練習は続いていた。
左10分(あまり出ない)、右10分咥えさせて
お腹が満たされず泣くのでミルクを足していた。

「ミルク作って」
わたしは家族に頼んでいた。

「おっぱいは?」
そう、言われるのがとても苦痛だった。

おっぱいだけじゃ足りないんだ。
わたしは出ないんだと、言えなかった。


これでいいのか?
このままでいいのか?
どうしたら少しでも楽になるのか?

今諦めたら絶対にあとから後悔する。
もう少し頑張りたい。


悩んだ末に

桶谷式にいってみることにした。

桶谷式とは、助産師・桶谷そとみさんが戦時中に考案した
乳房マッサージと母乳育児方法をサポートする助産院。
つまり、おっぱいのスペシャリスト。
母乳育児に特化している助産院。

幸いにも実家の近くにある桶谷式の評判が良かった。
(Googleマップのクチコミは信じる派)

ホームページにも助産師さんの写真が載っておらず、
どんな方がやっているのかドキドキしながら
我が子を抱えて訪問した。

優しいおばあちゃんだった。

手技(母乳マッサージ)のあとで授乳をするので
お腹は空かせてきてくださいね
と言われいてたのでその通りに行ったら
手技中にお腹が空いて泣いていた。。
「お腹は満腹にならずとも少しでもあげていったほうが手技に集中できる」
ということにのちのち気付いた。

とても優しく、わたしといっちゃんとの関係性や
愛情を認めてくれる方だった。
食事指導もないが、授乳姿勢だけはとても厳しかった。
とても大切なことだからだろう。

自費なので 初回5,000円。2回目以降は4,000円。
安くはない。

 手技のおかげか、
ちゃんと真面目に授乳練習を行ったからか、
生後10ヶ月になった今、完母です。

仕事で不在の時や体調不良、休みたい時はミルクを足したりしたが
基本的に母乳で育てられた。

1ヶ月健診の時には「混合」にマルをされいていたが、
3,4ヶ月健診の時には「母乳」にマルをしてもらえた。

嬉しかったので母に報告したら
「がんばったね、しゅりもいっちゃんも」と言ってくれた。

がんばったのはわたしだけじゃない。
二人三脚でここまでこれたんだ。

初心者同士、頑張ったね。
二人にハナマルだね!

あの時辛かった自分を抱きしめたい。
頑張ってるよ、大丈夫。
ちゃんと母乳で育てられるから!
(ただし、そのうち遊び飲みが始めるし、
 母乳の方が好きで離乳食が進まないし、
 徐々に母乳への執着もすごくなるよ)



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