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別府・内成の「コイチローさま」と、祖霊信仰についてのメモ

山伏の坂本大三郎さんと、別府をフィールドワークするという幸運な機会を得る。大三郎さんは、山形・出羽三山の山伏でありながら、イラストレーター、民俗学者でもある(大三郎さんについては、それだけで長々と語れてしまうほど魅力的な方なのだが、ここでは割愛)。

今回のテーマは、内成の民俗を訪ね歩くことだ。今は温泉観光の街としてのイメージだが、古来から、大陸・半島の文化、南島からの文化も流れ着く土地であった別府。

そんな別府の山間にある「内成」という集落では「コイチローさま」なる民俗信仰が今も残っている。
小一郎さま、古一霊さまともいわれ、民家近くの竹林に納められている。中身は自然石。数件の家単位で祖先の霊を祀られており、度々祟りもおこすらしい。その役割から、おそらく屋敷神の一種だと言われている。

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小一郎信仰とは
 国東半島を中心として、西は福岡県の 山国川 流域から南は 大分川 北岸にかけて分布するコイチロウ神は、熊本県の数例を除けば、本県だけに存在する特異な神である。大部分は社殿をもたない石祀で、なかには大木の根元や小一郎薮の中に、御神体が露出しているもの、森のみで御神体のないものもある。小一郎森の木を切ると祟られるというので聖地とされ、薮になっていることが多い。神名には小一郎、小市郎、今日霊、古市老、魂市郎、濃血霊、千人霊など様々なあて字が使われている。小市郎信仰の実態と性格については、調査地域の違いによって見解が異なっている。下毛郡から宇佐市郡にかけては、歴史上実在の 新田 義氏(よしうじ) に仮託して、御霊神的性格が強いが、豊後では祭神の由緒が忘れられ、先祖神ないしは屋敷の守護神とされている。
(出展:大分歴史事典|OBS)


屋敷神とはかなり古くから続く祖霊信仰のひとつ。鹿児島では「モイドン」と呼ばれる樹木が、沖縄では「ムイ」と呼ばれる丘が、朝鮮半島では「マリ」と呼ばれる石積みなどが、その同型だと考えられている。縄文時代の「環状列石」も同様の役割があったのではという説も。 「そもそもモリという言葉自体が墓を意味していたんですよ」と大三郎さん。

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祖霊信仰とモリは切っても離せない関係にある。 そんな古層の信仰を内成ではまだ大切に守っている。すぐ近くには、注連縄を張った大木が。

しかし、どうしてここでは『コイチローさん』なのだろう?資料にある通り、神名には小一郎、小市郎、今日霊、古市老、魂市郎、濃血霊、千人霊など様々なあて字が使われている。小市郎信仰の実態と性格については、調査地域の違いによって見解が異なっている。
案内していただいた、このコイチローさまを管理されている後藤さんも知らないようだ。国東半島にもコイチローさまが祀られてるところがあるみたいだけど、文献をいくつか漁ってみても、その由来はわからない。ここももう少し調べてみよう。

名前の由来、ご存知の方がいらっしゃれば是非ともご教示いただきたいです。


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