見出し画像

「オンリー・ロンリー」 飛鳥涼

「何かをやらなくてはと意気込んだ日に限って
時間は簡単に過ぎてしまいます」



「オンリー・ロンリー」 飛鳥涼


ついこの間のこと


僕は、どうしていいのかわからなくなるほど大きな力につぶされそうになり、本も読むこともできず、何も書くことができず、ただ・・・ただ・・・時間だけが流れてしまいました。


ふと手にしたのが、この詩集
「オンリー・ロンリー」


CHAGE AND ASKA のASKAさんの詩集です。


この本を買ったのは、ずいぶん前のことです。


飛鳥さんの詩と曲がすごく好きで、
学生の頃によく聴いていました。


ライブにも何度か行き、飛鳥さんの歌声にしびれ、脳天に電流が流れるような衝撃を受けました。


飛鳥さんの楽曲の良さや、歌の上手さはもちろんなんですが、詩の優しさがとくに好きなんです。


数え切れない名曲と素敵な言葉があるんですが、この詩集の中にある「安息の日々」という詩。


これが唯一、CHAGE AND ASKAの曲になっています。


掲載されているほとんどの詩が、曲にはなっていないと思うのですが、この詩には思い入れがあったのでしょうか?


この詩が、今の自分と重なり、悲しいほど心がラクになったんです。


「安息の日々」

いつの日も 私は見えない道を
たよりない足どりで 歩いた
ためいきひとつで こわれてしまうよな
そんな人生を
時には人知れず 休むことを覚え
このまま眠りたいと思った
ありきたりの夢 ありきたりの愛
それさえも わずらわしく感じた
ただ流れてゆく 季節の中で
私は何を何を感じて
生きてゆけば 生きてゆけばいいのか

この空を見あげて 今度こそはと
何度つぶやいてみただろう
春はいつの日も やさしいふりだけで
私の目の前を 過ぎてゆく
ただ流れてゆく 季節の中で
私は何を何を感じて
生きてゆけば 生きてゆけばいいのか

ああ 限りなく風吹けども 
この道遠けれども
この瞳をあけて 歩けるような
そんな勇気が
そんな勇気が
今はほしい


あと この言葉も今の僕に沁みました。


何かをやらなくてはと
意気込んだ日に限って
時間は簡単に
過ぎてしまいます


この詩たちに、添えられている絵が
とてもお洒落で、絵を見ていても
非現実の空間に連れて行ってくれます。


どうしようもない、やるせない気持ちを
そっと包み込んでくれた詩集でした。


最後に、やはり心にひっかかった詩です。


「心の駅」

なくした物が 多すぎて
つかめぬ物が 多すぎて
ひとつぶの涙の前にも
やっぱり 曇り空を見てしまう
幸福の履歴を書くには
あまりにもとぼしく
つい 恨む相手を捜してしまう

   
あいつにも 悲しいことはあるんだ
あいつにも 勝てない奴がいるんだ

そう思うことで 自分をかばって来た
この 広げたふりをしている両の手が
もう血のかようことも忘れ 
枯葉になろうとしている

子供のころ 汽車をかいて遊んだ
きりのない線路は とてもゆがんで不安定

大人になって あわてて飛び乗った汽車が
子供の頃の落書きと やっと気づいた

右を向いても 左を向いても
同じ顔した奴等が 黙ってうつむいていた

俺も同じ顔をしているのかと
鏡を捜したが 見つからない
革靴の底は 破れかけて
もう歩くことを避けようとしている

このまま ゆられる先に 
終点が近づこうとしている
それまでに 早く はやく降りなければ

はやく降りなければ



【出典】

「オンリー・ロンリー」 飛鳥涼  サンリオ


いつも読んでいただきまして、ありがとうございます。それだけで十分ありがたいです。