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支配に使うものではない

 催眠の営業で知り合ったり、仕事関係で知り合う人の中に催眠のことを説明もしていないのにも関わらず、いきなり『催眠などの技術を使って人を操りたい』という相談を受けることがあります。

 催眠術に関わっている人によくそのようなことが言えるなと。
 サバイバルナイフなどを扱っているショップで『悪用したいから切れ味が抜群で強烈なナイフを売ってくれ』と言っているようなものです。

 このようなことを相手から言われたときには、私は「催眠というのはですね...」と1から丁寧に説明を行っているのですが、内心「テレビやアニメの観過ぎかなー」と感じてしまいます。催眠は掛ける際にはラポールという信頼関係を構築する必要があり【術者と被験者】(掛ける人と掛けられる人)という関係を結んでから掛けることによって初めてテレビなどで観るような現象が起きるわけなのです。(もちろん例外はありますが、催眠が解ければ相手は気づきます。やると警察沙汰や事件になるので辞めましょう)だから道端ではあまり掛けることができませんし条件が整わないと難しいわけです。

 催眠中は意識もありますし完璧に眠っているわけでもありません。

 身体の反応も敏感になっており、催眠状態になっていても術者側の雰囲気が分かるぐらいになっていて嫌な暗示を与えると自己防衛本能という機能が働いて被験者が激しく抵抗します。術者が掛けた暗示を被験者が耳で聴き取り、脳で一回、声が言葉として変換されてその言葉を脳で認識してから身体へと送られ反応が出ていくからです。そのため相手が催眠中でも術者に掛けられた暗示を理解できるのはこういった理由があります。

 しかも、催眠は潜在能力を引き出すツールであって、私たちは困りごとのある人で中々解決出来ないという人たち(キライな食べ物克服するとか)の精神サポートを行っています。基本的には相手から『掛けて欲しいのですが』と依頼されて行くのものがメインです。「掛けられるもんなら掛けてみろ」という喧嘩腰の人に掛けようとしても信頼関係が取れないですし催眠状態に入るための準備ができないため掛けることが難しくなってきます。

 なのでいつも仲良くなった方には全員に言っています。

「催眠を魔法扱いしないで欲しい」と。

 話は戻りますが、こういった考えの人たちがいるのでイベントで古典催眠術の掛けかたを少し教えても「試したけど掛からなかったぜ」とか言っていたりします。そのような人たちは練習が足りないか、もしくは『人を支配しようという下心がある』からです。

 変なイメージのまま覚えた催眠や暗示を道徳心無しに試してしまうと大半は失敗しますし、嫌われてしまいます。特に上司や部下を抱えている人であれば、いざ!というときの催眠は説得のツールだけにしておいて基本的には、傾聴や相手のことを認めてあげたり、背中を押してあげることがまず優先でしょう。

それを考えずに催眠や洗脳といった技術だけを重視した結果、奴隷のような環境を作りだしてしまうわけです。

 部下を怒鳴って指を指して「こうだ!」と毎日暗示を与えても嫌な人はあなたの元から去るでしょうし、操作しようとすること時点で既に闇堕ちしていますから私は人としては観れなくなってしまいます。

 相手は非常にあなたのことをよく観ていますし、行おうとしていることにも気がついています。言葉にしないだけです。恥ずかしいので辞めましょう。

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