紗綾

世に溢れんばかりに出まわっている処世術や俗説に「また同じ話だ」「ぶっちゃけこれじゃない…

紗綾

世に溢れんばかりに出まわっている処世術や俗説に「また同じ話だ」「ぶっちゃけこれじゃない」と感じている人へ。 行き止まり感を払拭できるような、そんな文章を目標に書いています。 読みやすいように仕上げていますが、短い文章が好きな人にオススメできる長さではないです。 更新は週1回です。

最近の記事

いつも読んで下さる方々にお知らせ

初期は週に2本のペース、1記事のボリュームを増やしてからは週に1本のペースで、ずっと書いていますが。そのペースで数えて2~3回分、更新をお休みします。 以前にも、仕事が多忙でお休みをしたことがあったのですが、今回はプライベート理由で。またあの猛烈な暑さがくる前に……と思い、休日、連続で旅行に出かけています。 数週間のことなので。またすぐに更新します。よかったら、過去Noteを読んでいてください。過去100記事以上の中に、全力解説をしている・おもしろい自信がある回が、たくさ

    • 中世の動物寓話集(サークル・オブ・ライフ)

      今回は、インパクト大の画像から。 ネトフリにあるドラマ・シリーズの広告。このドラマを観たことがないのに、画像を出した理由は、この言葉 Bestiary にある。 Bestiary(ベスティアリ)動物寓意譚(どうぶつぐういたん)。 寓話の寓に、譚=物語。12世紀~13世紀に、イングランドやフランスで流行していた、動物の寓意集の総称だ。 さまざまな動物・植物・鉱物の特徴や習性と、キリスト教的教訓とをむすびつけ、そこに寓意や風刺をこめるという内容だった。 ベスティアリでは

      • カカオ産業の過去・現在・未来を全力解説する。

        つい先日のこと。ニューヨーク市場で、カカオ豆の先物価格が、1トンあたり1万ドルに達した。 すぐに読み終わるようなニュース記事には、このぐらいの情報しか書かれていない。↓ 原因は、コートジボワールやガーナの天候不順などによる、生産量の減少である。 「など」の一言で片づけられてしまっている。 先ほどのグラフを見て、本当に悪天候が原因なのかと、疑問に思うだろう。当然だ。そりゃ世界中が異常気象だけれど・だからこそ、今だけなの?と、モヤるはずだ。 相変わらず長くなると思うが、

        • 『ファイト・クラブ』から出された宿題

          「ファイト・クラブ」のルールその1にも2にも、語ってはいけないとあるが。今回は、『ファイト・クラブ』について語る。 この映画を観て、「過剰な男らしさ」に眉をひそめる人も……男女問わず……、少なくないだろう。 しかし、この作品のコア・メッセージは、「男はいつでも好きに攻撃性を発揮していい」といった類のものではない。 では、『ファイト・クラブ』のメイン・テーマとは何なのか。彼ら(ジャックとタイラー)は、何と戦っていたのか。 それを解説していく。 がんばって書く。がんばって

        いつも読んで下さる方々にお知らせ

          あなたの知らないレクター博士とクラリス捜査官

          このように銘打ったのだから、私は、Wikipediaには書かれていないことを書かねばならない。 努力してみる。 正直、このWikiはよくまとまっている。 1981年『レッド・ドラゴン』、1988年『羊たちの沈黙』、1999年『ハンニバル』、2005年『ハンニバル・ライジング』。 これらの小説は、全て、映画化されている。 『羊たちの沈黙』が映画化されたのは、1991年。 あなたは、作家トマス・ハリスのことをどのくらい知っているだろうか。あまり知らない、と答える人が多いは

          あなたの知らないレクター博士とクラリス捜査官

          死のソムリエ

          今回は、自殺と自殺幇助について。 幇助(ほうじょ)とは、助けること。 刑法62条「正犯を幇助した者は従犯とする」。自殺には、このシンプルな話が当てはまらない。 日本には、自殺自体を処罰する法律はない。一方、他人の自殺に関与した人は、自殺教唆などの罪に問われることがある。 まず、自殺が罪に問われない理由から。 ・責任能力がなかったとする考え方 刑法199条「人を殺した者は、死刑または無期もしくは5年以上の懲役に処する」。自殺は、自分という人を殺す行為である。この殺人

          死のソムリエ

          古代ギリシャの最高級娼婦。その価値と人生。

          古代ギリシャに、ヘタイラと呼ばれる女性たちがいた。 この絵の中の裸体の女性は、古代ギリシャの有名なヘタイラ、フリュネさんなのだ。 彼女が、「敬虔(けいけん)ではないこと」を理由に、裁判にかけられているところを描いた作品。 ヘタイラとは、売春婦のことである。 彼女のフル・ヌードを見た陪審員団が彼女を無罪にしたーーという話が有名だが。 本当にそんなことがあったのかなど、詳細が気にならないだろうか。 今回は、古代ギリシャのヘタイラの話。 フリュネには、本名が別にあった

          古代ギリシャの最高級娼婦。その価値と人生。

          「成功するまでごまかそう」生物は軍拡競争のループから抜け出せない

          これはヘビではない。 ヘビ擬態イモムシとして知られる、ヘメロプラネス・トリプトレムスという、舌をかみそうな名前のガの幼虫だ。メキシコから南米や中米にかけて、生息する。 普段はこう。 危険を察知すると、こうなる。サムネにも使った。 胸部をふくらませ、ひっくり返り、歩脚をかくす。目に相当する部分を含め、ヘビの顔面のように見えるものは、全て「ハッタリ」だ。 動画で確認したい人用 ↓ 私は爬虫類も昆虫も好きなのだが、その「好き」という感情とは別に、これは怖い。すさまじい完

          「成功するまでごまかそう」生物は軍拡競争のループから抜け出せない

          渡り鳥の命がけのトレード・オフ〜彼女の選択〜

          アリストテレスは、寒くなると特定の鳥の姿が見えなくなる現象について、こう考えていた。 鳥たちは、どこかで冬眠をしているのではないか。 アリストテレス。古代ギリシャで彼が実際に呼ばれていたのと、このカタカナ表記の音は、かなり近い。レとスの間をのばせば、完全一致かも。 英語だと、彼を Aristotle アリスタートー(できるだけカタカナで表すとこう)と呼ぶ。はじめて聞くと、誰?タートル?🐢と思うかも。笑 1703年の、鳥類関連情報のパンフレットには、冬季に鳥は月へ飛ぶの

          渡り鳥の命がけのトレード・オフ〜彼女の選択〜

          『ピノキオ』(原作)を我流で解説する。

          児童小説『ピノキオの冒険』は、1883年に、トスカーナ大公国のカルロ・コッローディ(これはペンネーム)という作家によって書かれた。 トスカーナ大公国は、今はなき国家。その国家のあった辺りは、現在、イタリアのトスカーナ州。 他の、我流で解説シリーズ。 ディズニー・アニメ版の内容を確認したい人は、下のリンクから。のっけから他力本願で、申し訳ないが。文字数がいきすぎるため。 2022年のディズニーによる実写化は、一部の人たちの反感を買った。私は観ていないのだが、炎上した理由

          『ピノキオ』(原作)を我流で解説する。

          ヒップホップ:社会学と英語をビートに乗せたもの

          タイトルの言葉は、私のものではなく、タリブ・クウェリからの引用。彼はMCで、本当に、社会学者の父親と言語学者の母親をもつ。 タリブは、アラビア語で「学ぶ人」や「探求者」。クウェリは、スワヒリ語で「真実」。 今回は、ヒップホップの起源の話。 最後まで読んで、真実を探求してほしい。 ヒップホップは音楽以上のもの。文化的な巨大ムーブメントである。 「ヒップホップ ラップ」とググると、「ヒップホップ ラップ 違い」というのが、日本語では上位に出てくるのだが。 KRS-One

          ヒップホップ:社会学と英語をビートに乗せたもの

          オール・アバウト・『インターステラー』

          ノーラン監督は、幼少期から『インターステラー』の準備をしていた。 本当に?と思った人へ。これでどうだろうか。 クリストファー少年は、『2001年宇宙の旅』の製作過程を徹底的に研究した。『スター・ウォーズ』の上映は、12回観に行った。 ちょうど『インターステラー』製作の初期段階、米国は、宇宙関連にかける予算を縮小しはじめていた。 プロデューサーのリンダ・オブスト(『コンタクト』のプロデューサーでもあった人)は言った。 「ドローンや爆弾のためではなく、全人類のために、テ

          オール・アバウト・『インターステラー』

          詩と哲学と絵画から読み解く、人間と動物の関係

          〜はじめに〜 このNoteを書いていたら。昨日起こった事件から、今日本で最もセンシティブなキー・ワード3つが入っている文章になってしまった。 私は、今今の出来事をほとんど取りあつかわない。この文章は、最新のニュースに何か言及するものではない。偶然だ。 あしからず。 アニメ映画『The Iron Giant』は、1968年に出版されたSF小説『The Iron Man』に、着想を得たものである。 今回の話のメイン人物は、この原作者、テッド・ヒューズ。 『PLUTO』の配

          詩と哲学と絵画から読み解く、人間と動物の関係

          ごめんね、アルジャーノン。

          今回は、個人的特性(性格のこと)と価値観について書く。これでは話が広すぎるため、以下のように的をしぼる。 ・共感性は、アロセントリックな価値観と、正の相関がある。 ・指向性(指示的になる性質)は、イディオセントリックな価値観と、正の相関がある。 この話を進めながら、動物のこと・人間のこと・日本人のことにふれていく。 ガイドラインはこんな感じ。 飽きずに読んでもらえるように、工夫する。 がんばって読んでほしい。 アロセントリック?イディオセントリック?聞き慣れない言葉

          ごめんね、アルジャーノン。

          自分だけの神を持て

          聖書は、何世紀にもわたって多くの著者により書かれた文書がまとめられた、アンソロジーだ。 「聖書」と聞いて、キリスト教の聖書だけを思い浮かべた人には、読んで意味があると思う。 飽きずに読み続けられるよう、工夫して書いてみる。 ※今回の文章内で、旧約/新約という言葉をテキトーに見たり読み間違えたりすると、おそらく一気に混乱する。そこには注視してほしい。 ユダヤ教の聖書は Tanakh タナクという。 本当はヘブライ文字。発音をできるだけ近づけてカタカナにすると、タナクや

          自分だけの神を持て

          ぼくらの薬物戦争

          今回は、薬物戦争の話を書く。 もしかしたら、聞き慣れない言葉だと感じる人もいるかもしれないが。 Wikiはよくまとまっている。こちらを読んでくれてもいい。私は、ここには書かれていないことを含めて、自分のスタイルで書く。 長い文章に疲れない人なんか、いない。楽しく読み続けられるかどうかは、書き手の問題であり、責任。 米国政府における「薬物戦争」は、1970年代にはじまった。 何十年もかけ、多額の費用を投じてきたにもかかわらず。薬物使用を抑制し、麻薬取引を終結させるとい

          ぼくらの薬物戦争