見出し画像

北極圏の入り口、ロヴァニエミへ!

今回は5泊4日(含:車中泊)でロヴァニエミに行ってきた話。

ロヴァニエミはヘルシンキから北に向かうこと電車で約12時間、北緯66度近くのほぼ北極圏に位置する場所。フィンランドの北半分近くのエリアを「ラップランド」というんだけど、ロヴァニエミ市はそのラップランドの県庁所在地です。

行きは夜行列車、帰りは夜行バスで12時間ほどの旅。

今回は他の留学生の友達と6人で共同生活。普段から同じ寮に住んでる友達だからあんまり特別感はないけど、極寒の地で鍋とかラーメンを一緒に作って一緒に寝る生活は普段とはまた違う楽しさがある(笑)

ここがすごいよロヴァニエミ

なんと言ってもすごいのは、ロヴァニエミの気候と自然環境。
12月のこの時期、4日間の滞在中の最低気温はマイナス22度、体感温度は恐らくマイナス30度近い世界。髪もまつ毛も余裕で凍ります。
今年はどうやらヘルシンキが位置している南部とロヴァニエミのある北部で積雪量が逆転しているらしく雪は案外ヘルシンキより少なかったけど、気温は10度以上こっちが低いから見える景色もやっぱり違う。例えば見てこの木!!

明日死んでも惜しくない絶景…。

気温が氷点下を上回ることがないからか、積もるというより完全に凍っている!?だってもし普通の雪だったら、枝がこんな角度になったら絶対雪振り落とされてるはずだよね…?だからほとんどの部分が雪で覆われていて、一層真っ白に感じられるのがものすごく綺麗。

気温ともう一つ並んでこの北極の景色を形作っているのが太陽。
北極では冬至の頃になると全く日の昇らない「極夜」が訪れます。北極圏の入り口にあるロヴァニエミの冬至直前は、11:00頃日が昇って13:30には日が沈む世界。昇ると言っても地平線に近いところを這うように動くから、1日中日の出(というか日の入り)みたいな太陽が見られる!例えばこれは正午頃撮った写真。日の出にも日の入りにも見えるけど、実際はちょうど南中している頃。

太陽が見たくて見たくて待ち続けてようやく見えたこの光景!

お昼ごはん食べて外に出たら「あれ、夜ご飯だったっけ?」ってなるくらい時間感覚がなくなります(笑)

そしてこれは気候のせいか環境のせいかは分からないけど、とにもかくにも空気が澄んでいる!夜のロヴァニエミは、空を見ているだけでも来た価値があると思えるほど透き通っていて綺麗。
・・・
けど、もちろん空を見続けているのはそのためだけじゃなくて、
オーロラを見るため!!

ロヴァニエミでオーロラハンティング

北極圏に行くんだし、3日もあれば1回くらい見えるでしょ〜
って特に何も調べずノリで来てみたものの、初日が曇りで全く空が見えないことが分かった時点からやや焦り始める。
4,5種類のアプリを入れて6人体制でずっとチェックしていたけど、どのアプリも
見える確率は"Low"で、ほぼ諦めモードに…。でも、
ずっと部屋で待ってても仕方ないよねえ、期待せず散歩のつもりで行ってみるか!(←マイナス17度の屋外を気軽に散歩すな)
ってことでとりあえず行ってみた。

街頭のない場所まで歩くこと約20分、
もはや雲でさえオーロラに見えてきたねアハハ〜
って言ってたのが
え、でもあれ本当にオーロラじゃない??
に変わって、三脚を構えたプロフェッショナルらしき人に尋ねたら
Yes, it is!!!
だって!オーロラ、生で見ちゃったよ!!

最初は雲に見えたオーロラ。
後半はついにうねるオーロラが見えた!

【オーロラハンティングのtips】
・オーロラアラートはあまり当てにならない
・肉眼では雲のように見えるのが、カメラ越しに見ると緑色に見える!
→曇ってさえいなければ、肉眼では気づいていなくても見えている可能性があるので諦めずに探してみるのが肝要。
・満月の夜は避ける(月光でオーロラが見えなくなる)
・1番冷たいのはつま先(靴下4重を推奨、防寒機能のついたスノーブーツは必須)
・寒さでスマホの充電が急激に落ちる(シャットダウンされる場合もある)ので、モバイルバッテリーを持っていくことを強く推奨。
・ツアーに行っても見えるとは限らない(ツアーの条件によるが、ロヴァニエミはオーロラが見えなくても返金されないケースもあるので要確認。ちなみに私の友達は2晩連続で行ってどちらも見えなかったらしい…)

筆者注

サンタのいる村ロヴァニエミ

もうひとつ、ロヴァニエミには公式のサンタクロース村があります。
サンタクロースの故郷である北極圏の入り口に位置するサンタ村は、サンタクロースのオフィスでサンタさんに会うことができる場所でもあり、特にクリスマスを直前に控えたこの時期の週末は世界中から訪れた様々な世代の人で賑わっていました。

サンタ村はロヴァニエミの市街地からバスで20分近く行ったところにあるんだけど、そこに行く前に市街地で
"City Office"
というものを発見。
わーい!
って入ってみたら、そこにサンタさんが!そして一緒に写真を撮ってくれたんだけど、自分のスマホでは取らせてもらえず35€で販売しているとのこと…。

それはさておき、
本物のサンタさんに会いに行くぞ!
と張り切って向かったサンタ村のサンタオフィスは約1時間待ち…。外の寒さもあってか、みんな床に座り込んで待っているなかなかのどんよりモード。
オフィスの壁には有名人とサンタのツーショットに混じって政治家のツーショットもずらり。
そして本物のサンタ村でも写真は有料…。

本場とはいえなかなか俗世的なサンタクロースだな(^^;)、
って気もしたけど、雪と晴れに恵まれたサンタ村はとても綺麗で、ホワイトクリスマスのロマンに浸ることができました。

フィンランド北部の暮らし

結構興味を持っていた割に前半の留学先で全く触れることができなかったフィンランド北部の産業と歴史について、せっかくロヴァニエミに来たのでちょっとだけ。

最初に書いた「ラップランド」というのは、正確にはフィンランド国内のエリア名ではなく北欧諸国(ここではノルウェー、スウェーデン、フィンランド)に位置する北極圏の地域を指す名前です。ここにはサーミという先住民がトナカイの放牧をして暮らしていました。今は放牧はほとんど行われていないようですが、もちろん今でもサーミはここで生活していいます。
たまたまフィンランドに来る前に日本の大学で履修していた授業でサーミについて習ったとき、
あの冬のフィンランドの気候でサーミはどうやって生き延びるんだろうか…
と思っていたんだけど、今回ラップランドの暮らしについての博物館で”サーミは冬の間は家で手工芸をして暮らしている"というような展示があって、
さすがに冬の間は外に行く生活はできないのかなあ、でも特に放牧をしていた時代の仮住居だったら屋内とはいえ極寒だろうなあ。
と思い、日本から来た私にはこの3日を生き延びるだけでも一大ミッションのこの環境で暮らしてきたサーミの暮らしにますます興味を持ち始めています。
ちなみにサンタ村でトナカイの角のお土産屋を買ったんだけど、そのお店のおばあちゃんの話によると、"トナカイは毎年同じ周期で角を落とすからそれを集めてお土産を作る"のだそう。ここで暮らしている人からしたら当然のことなんだろうけど、私は本物のトナカイを見るのすら今回が初めてだったので、
ラップランドの人たちはトナカイの角を無理やり集めるのではなく自然の周期の中で、今はお土産として、昔は生活のための欠かせない道具として使ってきたんだな。
と気付かされ、とても印象的でした。

こうして森で暮らしてきたサーミに限らず、林業や製紙業は今でもラップランドの重要な産業です。行きの寝台列車、朝窓の外を眺めていて、
ずううっっと、森と雪だけのこの景色だなあ。
って思っていたら、その直後に停車したKemi(ケミ)という場所で丸太が貨物列車で運ばれていくところを発見!

Kemi駅で丸太の貨物列車に遭遇

これはその後行ったラップランドの博物館でたまたま知ったことだけど、今みたいに列車や道路がが整備されずまだ水運が欠かせない運搬手段だった時代、林業はちょうどこのケミが面しているKemijoki(ケミ川)沿いで特に盛んに行われていたのだそう。
ヘルシンキ周辺は山どころか少したりとも見晴らしが遮られることがないほど標高差が少ないけど、ラップランドに来てからは山とまではいわずとも丘のようなこんもりした森に囲まているのを感じて、
あの森があるから林業が盛んなんだろうなあ。
と、南部とは大きく違う北部の環境を体感。きっと日本人がイメージするような"自然に囲まれたフィンランドの暮らし"みたいなものは、きっとヘルシンキ周辺よりもラップランドから来ているんだろうな、と思います。

日本にいるときにすごく興味をもっていたのに、実際にフィンランドの南部に住み始めたら頭の片隅に追いやられていた北部の暮らしにもちょこっと触れることができたので、残りの滞在中にもう少し深く知ることができたら良いなと思っています(とは言え、次来れるのは冬が明けてからかなあ…)。

おまけ

ーラップランドで色んなもの凍らせてみた(or凍った)ー

顔の前面は帽子から髪の毛からまつ毛から、自分の息であっという間に凍ります。

帽子のファーがものすごいことに…(笑)

体感温度の予報がマイナス30度だった日、さすがに屋外にずっと居続けるのは辛いね、ってことでサウナへ。って言いながら、水着で外に出て髪の毛凍らせて遊んでました。

ぴくみん?

寒い日に食べるあったかいカップラーメンを食べるのは世界共通の幸せの一つ!でもあらゆるものを凍らせるロヴァニエミでは、その幸せも叶わないかも…

95度のお湯を注いでから約1時間で凍りました。
ちなみにこの後レンジでチンして食べたら普通のカップラーメンと全く変わらない味でした(笑)


帰ってきた今何が一番幸せって、
ロヴァニエミを経験したらヘルシンキの寒さなんて屁でもない。
ってことかな。


読んでくれてありがとう!Kiitos!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?