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世界報道写真展で見る世界の現実

先日『世界報道写真展2021』へ行きました。この世界で、自分の知らない現実味のない事が起きていることを、写真を通じて教えてくれます。

自分自身が無知であることを知る機会になり、一入視野が広くなる。自分の身に起きた事ではないにせよ、知るという事だけで思慮深くなれるのではないでしょうか。

主な取り扱いジャンルはこちらです。
コロナ、動物虐待、lgbtq、多様性、宗教、紛争、モラル


ここから、強く印象に残った作品についての所見を述べます。

スペイン、EUでの豚輸出国首位

スペイン産ブランド豚の人気は世界共通である。例えば、誰もが知るイベリコ豚。

問題視されているのは、豚一頭に対し、一頭分のサイズのスペースで飼育されており、これは虐待ではないかということである。

もしわたしが畳一畳で暮らしていたら、ものの1ヶ月で精神は崩壊し、半年経った頃には感染症にかかり、やがて亡骸になるだろう。


似た類の問題について考察した事は私自身も過去にある。

関東にある某牧場にて、牛が同じように一頭分のスペースで、それも隣の牛とぶつかり合っている状態で飼育されていた。

彼らが生きていてできることは、首を伸ばして餌を食べること、その場で寝ること、その場で排泄することのみである。


現在日本では、個人でマイクロブタの飼育をすることが流行っている。

詳しく調べてみると、豚はお手もおかわりもでき、嬉しいときには尻尾を振る、そんな賢い動物であるということを知った。

わたしは賢い動物にはそれなりの感情があると思っている。

牧場での光景を目の当たりにしたとき、牛にも感情があるのではないか、そう感じずには居られず、そのときから肉を口にしなくなった。

「ああ、これがベジタリアンの始まりか」そう思った。


----それから1週間後
すぐに元の肉を食す生活へ戻った。

人の“欲求”と、他の生物を“尊重”した暮らしというのは実に難しい

未だに正しい答えも見つからない。
この問題に関しては、一生答えが見つからない。

ましてや、見つからないのではなく答えなどないのかもしれない。



ヤジディ教徒がISに性奴隷として捕らえられる

まだ若いであろう女性がこちらに向けて
両腕の内側を見せている

彼女の表情は
喜怒哀楽を失っているように見える

腕には大きな識別番号が
色濃く彫られている

----54367−89

ヤジディ教徒は独自の宗教を信じる宗教”マイノリティ”でもある。イスラム教、キリスト教、ゾロアスター教など多くの宗教が混じり合ったような一派である。

彼女らが性奴隷として捕らえられていること、拷問などを受けていることを多くの日本人は知らないだろう。

こんな事が本当に現実の世界で起きているのだと衝撃を受けた。

それと同時に、女性であること、マイノリティな異教徒であることを理由に迫害する様なこの世の中に絶望した。



今も尚、2900人が行方不明である。



イタリアで暮らすアフリカ系移民女性2人が満点の星空の元抱き合う

静寂な夜
周りには誰もいない二人だけの時間

漆黒に浮かぶ
空一面を覆い尽くすほどの星々が
煌々と光り輝いていた

“自分の存在を示すかのように”

それ等は二人を照らす
見守るように
そして周りにはわからない程度に

二人は静かに抱きしめ合う

“自分達の存在を示すかのように”

西アフリカの貧困地域のひとたちにとっては安定した出稼ぎ先がリビアであった。

しかし内戦が活発化し、リビアへ向かうことが難しくなったため、一層のこと海を渡ってヨーロッパへ行こうと考えたのだ。

そういう事情が彼らにはあって、イタリアにはアフリカ系移民が多く暮らす。

人口の約半分がアフリカ系移民という街も存在する程多いのだ。


日本国内における同性愛者の比率は13人に1人。

しかし、この統計は明らかにされている数であり、実際はもっと多い。

13人に1人というのは、日本国内全人口における「佐藤」「鈴木」「高橋」「田中」の割合5%よりも多い割合なのだ。

クラスメイトのあの人も、同僚のあの人も、友達のあの人も、あなたのすぐ近くに存在しているのに皆知らない。

なぜなら、マイノリティであることから他言せず、日本の当たり前という感覚に合わせて生きているからだ。


人は自分が知っていることか経験した物指しでしか物事を捉えられない

経験したことないことに対して感情移入はしない

空の色は青色というのが通説だが、年中曇りがちのイギリスでは灰色と考えるかもしれない。


忘れがちだが、自分の知っていることがすべてではないのだ。

我々は様々な捉え方があるということが当たり前であることを忘れてしまう。

無知であることによって、知らずしらずに他人を傷つけてしまうことさえもある。

教養とは、他人を傷つけない知恵なのかもしれない


話は逸れたが、遠く離れた異国でも、異人種でも、時代が変わったとしても、同性愛というのは普遍的なのである。

自分には全く関係ないという人でも、これからこのように言い換えてみるのはどうだろうか。

“恋人”はいますか?








軍事演習で血を流す少年

まだ身体が成長しきっていない少年が
壁に寄りかかって座っている

強そうとは言えない細い身体

陶器のように白い肌と
透き通るようなブロンドの髪は
鮮やかな血で染まっていた

ポーランドでは軍事演習が高校の授業で必修である。男女共に演習には参加する。

機関銃を手にして発砲する訓練までも行われる、実践的なものだ。

この授業の目的はチームワークの結束、コミュニケーション力の向上などが挙げられる。

ロシアとの関係が芳しくないということで、言わずもがないつでも軍隊として出動できるような体制を整えておきたいという国の裏の方針が考えられる。

青年期の心が繊細で柔軟な時期に、国の思惑によって精神的にも身体的にも痛みを受けながら教育されるのは如何なものだろうとも思う。

前述した目的には効果的だと思うが、差別的、排他的な人格になってしまうことを懸念する







コロナで離れた愛する人と国境で会話する姿

そこはスイスとドイツの国境

コロナウイルスで離れ離れになった愛する人
彼らはフェンス越しに会話するしかなかった

恋焦がれる人と刹那的な言葉を交わす


「次は初めて会ったミュンヘンのあの場所へ行こう」


彼らは再びフェンス越しではない場所で会うことができるのだろうか。

愛に国境はない


*個人的な脚色あります(笑)



ベイルート爆発事故

レバノンの首都ベイルートは中東のパリと呼ばれる美しい街。

人口の5割以上がイスラム教徒、3割ほどキリスト教徒という比率である。

この宗教の比率から、事件当時わたしは、
またテロか、そう思った。


気になって調べてみたら、人為的ミスで核爆発規模の爆発が起こったというのだ。

ツイッターに挙げられた生々しい写真の数々は長崎の原爆を彷彿させた。


原因は、政府が長年倉庫に保管していた硝酸アンモニウム約2750トンのずさんな管理ミスだという。

テクノロジーが発展し、電車も定刻通りに来るようなこの世の中(日本に限るが)で、そんな適当な事が起きるのかと。

ほんの些細な人為的ミスが大きな事件に繋がるのだと、改めて考えさせられた。

「適当な仕事はしないように努めよう(笑)」

ちなみに、この事件をググるとグロテスクな動画がヒットするので繊細な人は要注意。







さいごに

長々語りましたが、この展示を観に行く事でより深く考えさせられる事はあると思います。

当事者ではなくても、あなたが知ることで、救われる人がいるかもしれません。

そしてそれらを知っているあなただからこそ誰かを救える言葉を投げかけられるかもしれません。

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