「塩は塩、しょっぱいもの、それだけ。」をぶっ壊された話
新しい分野の仕事を始めて約二年が経った。相変わらず仕事は楽しくない。それでも苦しいと感じることが無くなったのは大きな成果だ。
今までに何度か仕事の分野を変えたが、繰り返すうちに「苦しい」から「苦しくない」へ変化する時期があることに気づいた。
それは一年だ。
最初の一年は仕事がつまらない、苦しい。だがその我慢を耐えた後に、あれ?苦しくないぞ?と感じる日がやってくる。
宋世羅さんも同じような洞察をしていた。
「人権を授かると仕事が面白くなる」は鋭い表現だと思う。
で、気がつけばもうGW。
今、とても幸せな気持ちでnoteを書いている。
何が幸せか?
それは、いつもよりもずっと丁寧な生活を送れていることだ。
いつもの週末と違うのは、(来週中も休暇なので)仕事が頭にチラつかないこと。
目の前のことにたっぷり時間をかけて集中できるのは幸せだ。
GWの初日の朝に何を行ったか。
備蓄用の飲料を段ボールでまとめ買いし、少し高価な食材店に行って調味料を眺め、レシピをじっくり見ながら昼食を作った。(普段のルーティン料理は目分量と感覚だけでそこそこ美味しいものを作れるので、しっかりレシピを見ることは少ない)
これだけやってもまだ半日残っているという事実。幸せで震える。
今はソファに身体の重さを預け、コーヒーを飲みながらnoteを書いている。
窓から初夏の少し湿った風が流れ込み、柔らかく肌を撫でる。
今日は晴れと曇りと雨を繰り返す不思議な天気。
天気って、こんなにもゆっくり、どっしり移ろいゆくものなのだと思い出す。
少し話がそれたが、成城石井でこの「ろく助塩」を買った。
Amazonで下調べするとかなり評価が高かったからだ。
少しペロッとなめると、やさしい塩味と旨味が一気に口の中に広がる。
あらじおベースの調整塩。昆布やしいたけ、ホタテも配合し、豊かな旨味をぎゅっと詰め込んだ一品だ。
早速、これを使って塩むすびと出汁巻き玉子を作ってみた。
塩むすびは、ほかほか炊きたてごはんに「ろく助塩」を軽めに振りかけ、混ぜるだけ。
温かい状態でいただくと、米の豊かな香りと相まって、大地の恵みを食べている感覚に。
冷たい状態でも十分美味しい。(むしろ僕は冷や飯が大好きなのだが)。食感と旨味の奥深さが際立ち、まさに海の恵みを食べている感じに。
出汁巻き玉子は、少しの白だしと「ろく助塩」だけでOK。
卵と調味料をボウルでかき混ぜたときにすでに美味しい状態にしておくことがポイントだ(卵液を一口味見したが、これが飲み干したくなるほど旨いッ!・・)
卵液に火入れをしているとき、菜箸でかき混ぜている最中にフライパンの底が見えてきたら熱源から引き上げるタイミング。
鍋敷きなどへ15秒ほど退避しておくと、ゆるやかに火入れが進む。
最後にサッと表面を熱すると、ふわふわぷりぷり感が残った出汁巻き玉子が完成する。
十分冷やす。
分かっていたことだが、一口食べるとほどよい噛み応えと旨味の奥深さに感動する。
この豊かさ、奥深さ・・日本に生まれてよかったという幸福感。語彙が足らず「感動」という言葉でしか書き表せないのが惜しい・・
塩は塩、しょっぱいもの、それだけ。
「塩」にそんなイメージしかなかった僕の世界を一変させたのが、ある動画との出会いだった。
「ファビオ飯」という料理系youtubeチャンネルがある。
主宰のファビオさんは、イタリアと日本で料理の腕を磨いたシェフだ。
主にイタリア料理のレシピ動画をあげているが、素材のポテンシャルを引き出す調理法を惜しみもなく教えてくれるのが人気の理由だ。
彼の「塩」をテーマにした動画がある。
この動画で紹介されていた「粟国の塩」をなんとなく買って、実際に料理に使い、その味の奥深さに衝撃を受けたのが、僕が「塩」に興味を持つきっかけだった。
塩は塩、しょっぱいもの、それだけ。
という世界観だった僕にとって、粟国の塩は僕の「塩」の概念を爽快にぶっ壊した。
ほどよい塩味、厚い旨味、苦みとコク。海を食べている感覚。
今までは地図の上で点として見ていた島に降り立ち、リアルな土地の空気感と空間の広がりが強烈に身体に染み込んでくる感覚。
まさに、そんな感覚を覚えたのだった。
おすすめは、肉や魚の下処理や、魚介系パスタ、大根の甘酢漬け。
他にもあるが、ある程度利用法が見えてきたら記事にまとめたいと思っている。
たまたま足を踏み入れた「塩」。広くて深い世界。
そしてその横にもまた果てしない地平線が広がっている。
砂糖、酢、醤油、味噌、
スパイス、ハーブ、酒・・
身近すぎたからか、深く知ろうとは思いもしなかった存在たち。
もっと基本調味料のことを知りたい。
ひとつひとつの食材と向き合いたい。
まだ知らない食材たちと出会いたい。
食材の良さを最大限引き出す方法を知りたい。
それを自分のものにしたい、使いこなしたい。
料理で自分の大切な人たちを驚かせたい、笑顔にしたい、幸せにしたい。
理想を想像すればするほど、熱い思いが身体の内側からとめどなく溢れてくる。
理想の生活まではまだまだ道の前半。されど着実に前進している実感はある。
今の生活を大切にしながら、健康を第一に考え、これからもゆっくり着実に理想に近づいていこう。
こうして幕を開けたGW初日は、自分の”理想の生活”が確かに向かうべき未来だと思わせてくれる、良い一日となった。
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