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めっきり行く機会も無くなったので、本屋についての思い出を忘れない内に語る

塾に通い始めた小6から大学進学を機に地元を離れるまで、最寄りの明石駅を毎日のように利用していた。通学時間を読書に当てていた自分は、自然と近場で一番大きな書店だったジュンク堂明石店に通うようになった。駅周辺の開発に伴うリニューアルで、残念ながら当時の店舗は残っていない。それでも自分の記憶の中には、まだ鮮明に残っている。

その当時ジュンク堂は地下1階から2階までの3フロアを使っていた。中でも一番多くの時間を過ごしたのが、地下一階の文庫本のコーナーだ。ぐるぐると回っては立ち読みし、面白そうな小説を探し回っていた。あらすじや冒頭を読んで、次に読む候補をあれこれ検討している時間がとにかく楽しかった。

高校生2年生になると、徐々に2階の漫画・ライトノベルのコーナーにも通うようになった。学校には漫画を持っていくことは校則でできなかったが、帰りに買って駅から自宅までのバスの中で読むことも多かった。

実際に手をとったり、ふと目に入った本を手に取ることができるのは、ネット通販にはない大きな魅力だろう。ネットだと関連する本をオススメしてくれるが(これがものすごく便利な機能であることは間違いないのだが)、予期しない出会いを本屋で沢山経験した。

そんな本屋大好きな自分も電子書籍での購入がメインになり、本屋からは足が遠のいてしまった。読みやすさは断然リアル書籍の方がいいのだが、持ち運びやすさと管理のしやすさを考えると、電子書籍に移行せざるを得なかった。

ネット販売の興隆によって、本屋の衰退が叫ばれるようになってから久しい。自分はこの流れを悪いことだとは全然思わない。利用者の求めるものが生き残り、需要が小さくなったものが淘汰されるのがビジネス世界の自然だと考える。

自分も確かに本屋を使う頻度は減った。しかし道を歩いていて本屋があれば目で追ってしまうし、時間があれば用もなく立ち寄ったりはする。それくらい思春期に本屋で得た経験は大きいのだ。小説を求めてフロアを徘徊した時間、あらすじを読んで購入する本を吟味した経験、その他諸々の小さな事柄が自分にとってかけがいの無いものだった。

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