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Terra Madre Salone del Gusto 2022 日本代表メンバー一挙公開!


Terra Madre Salone del Gustoとは?

2022年9月22日から26日にかけて、第14回テッラ・マードレ・サローネ・デル・グストがトリノで開催されます。
テッラ・マードレ・サローネ・デル・グストとは、Good Clean Fair な食べ物とフードシステムをテーマにしている世界最大の国際イベントで、2年に1度、イタリアのトリノで開催されます。イタリアのブラに本拠を置き、160カ国に展開する非営利の国際団体スローフードが、1996年に初めて開催しました。
このイベントは、食の新しい未来を共創することを目的としています。今回は130カ国から3000人以上の代表者が参加し、700以上の出展者が参加し、個人の日々の選択、草の根コミュニティの日々のアクションの積み重ね、公共・民間両機関の政策についてなど、食の未来を形づくるさまざまな要素が多角的に扱われます。

1000にも及ぶ様々なプログラムが5日間でおこなわれます

日本からのスローフード代表団は60名。農家、生産者、料理人、学者、活動家など多様なメンバーから構成され、最年少は14歳、最年長は79歳と、年代も性別も職業も非常に多様なメンバーが参加します。

7月16日に開催された第8回スローフード世界大会ののち、スローフード国際理事会の一員に渡邉めぐみが迎え入れられました。彼女は、早稲田大学在学中よりスローフードに関わり、スローフード・ユースネットワーク・ジャパンを共同設立。イタリア・ポッレンツォの食科学大学を卒業後、Slow Food Nipponの立ち上げにおいても中心的な役割を果たし、2019年4月より代表理事に就任しています。

7月に新しく就任した国際理事会

テイストワークショップ、フォーラム・・日本メンバーが大活躍

9月26日(月)、ジーノ・ストラーダ・アリーナで開催される、シェフと生産者をつなぐスローアライアンスでは、モデレーターを渡邉めぐみが務めます。また、東京のミシュラン3つ星レストラン「レフェルヴェソンス」のシェフでスローフード活動家、ルレ・エ・シャトー会員でもある生江史伸さんが、世界26カ国、1000人以上の料理人・シェフが集まるスローフード料理人連盟の代表者の一人として参加します。世界のスローフードシェフたちは、地元の生産者らと協力し、地域の生物多様性と食文化の保護、ガストロノミーの知見交換を通して結束しています。このフォーラムでは、世界各地の小さく強いコミュニティのストーリーや、愛と心を込めて調理された料理がいかに世界を変えるか、そして、良い農業には良い料理人が必要であることが話されます。

生江史伸さん

日本の伝統食は一見シンプルに見えるようでいて、複雑な調理法や細部へのこだわりにより、長く外国の人々を魅了してきました。9月24日(木)午後1時からのテイストワークショップ「米の形:日本酒とおにぎり」ではその一例を探り、日本酒を作るために米を無農薬で自家栽培している生産者、寺田本家仁井田本家の二人の第一人者とともに、その味わい方を学びます。日本酒には、日本文化における米の重要性を説く活動家、神谷禎恵さんによるおにぎりが添えられます。寺田本家と仁井田本家、そしてイタリアも含め世界各地に拠点を持つ酒屋である柴田屋酒店は日本ブースにも出展し、多様な日本酒を試飲することができます。

神谷禎恵さん
寺田本家

9月23日(金)午後4時からのワークショップ「エディブル・エデュケーション - 日本からのヒント」では、アウトドア&エディブル教育者の小野寺愛さんが、卵の殻のプランターを用いた大豆の植え付けのデモンストレーションをします。また、米ぬかや緑肥を使った土づくりや、漁網や地元の竹材を再利用した、学校での食育をコミュニティがサポートするためのヒントについても紹介します。

小野寺愛さん

先住民のネットワークも日本の代表メンバーにも含まれています。アイヌから6名が、琉球から5名が参加する予定です。9月23日12時からのTerra Madre Kitchenでは、アジア地域から参加する先住民の仲間たちと一緒にワンプレートを作り、イベント来場者に振る舞います。今年2022年は、先住民の言語に関する国際10年の幕開けの年。9月24日(土)12時からベルタ・カセレス・アリーナで開催されるフォーラム「先住民の言語、食品、伝統的知識の保存」は、日本からペルーまで世界中の先住民の知識、生物多様性、言語や文化を守るために行われている取り組みを学ぶ機会です。登壇者の中には、スローフード琉球の年長者であり、沖縄・宮古島で長年スローフードのコンセプトに基づいた料理を実践している津嘉山千代さんが、その知識を共有してくれるでしょう。

アイヌ スローフードコミュニティ
スローフード琉球

味の箱船の日本の食材も紹介されます。徳島のにし阿波 世界農業遺産からは、6種類の味の箱船の雑穀が紹介され、日本ブースで展示されます。Slow Food Nipponが昨年立ち上げたプロジェクト「味の箱船」の子ども向け絵本は、9月24日(土)午後6時からジーノ・ストラーダ・アリーナで行われるフォーラム「味の箱船からプレシディオへ:私たちはどのように生物多様性を守っているのか」で発表される予定です。

にし阿波地域の雑穀生産者と今回参加される徳島大学の内藤直樹さん、学生の北野真帆さん
味の箱船食材を題材にした絵本4つ

9月25日(日)には、瀬戸内海に浮かぶ島、瀬戸田町で生産されるレモンを携えて、島ごころの奥本隆三さんがワークショップを行います。日本で消費されているレモンのうち、国産はわずか5パーセント。そのうち約3割は、瀬戸田の小さな島で生産されています。レモン栽培がとても盛んなイタリアと、レモンを通した交流が広がります!

レモンの伝道師 奥本さん

9月22日(木)午前10時、北海道美瑛町にある本山農場の息子で14歳の本山維芯くんが、SFYN Tankのオープニングスピーチをします。まさにこれからの日本の食を担っていく世代である維芯くんは、農場の手伝いを通して考えるようになったフードロスの問題や、日本に近い未来訪れるであろう食糧危機について、自分の考えを世界の仲間たちに向けて投げかけます。SFYN Tankは、フードシステムに関する重要な問いに答えるための、実用的な解決策を見つけるためのデザイン・シンキングワークショップです。世界各国から様々なバックグラウンドを持つ若手活動家が集まり、自分たちが取り組んでいる問題に対する解決策を提案する機会があります。

本山維芯くん

今、海藻がアツい!

9月24日(土)午後3時からは、1500種類以上の海藻(ほとんどが食用可)が生息するという日本の海岸をテーマに、「海藻の素晴らしい世界」というワークショプが開催されます。Sea Vegetableの共同設立者である友廣裕一さん蜂谷潤さん、オーストラリア出身の日本人シェフでSea Vegetableテストキッチンの石坂秀威さんとともに、料理における海藻の多様性と多用途性に触れていく予定です。対照的に、日本ブースでは、スローフード秋田のメンバーが秋田県の男鹿半島から非常に伝統的な仏教の精進料理である海藻料理の文化も紹介される予定です。「海と人との関係」をテーマに、海洋調査、魚体調査、販売まで、日本の魚食文化を次世代へ繋げるプロジェクトを手掛けるFishschool が調理する「シーバジル(アオサ)」のパスタも、日本ブースで味わうことができます。

有名シェフによる高級ガストロノミーの文脈で、健康食として、また環境に優しい食品として、海藻は世界中でますます注目が高まっています。テッラ・マードレでは、日本代表団のリードで海藻サミットを開催し、世界中の小規模生産者や活動家が地元の海藻を共有する場を提供します。このサミットは、人類にとって海藻を食べることの複雑さと豊かさ、そして共通の問題について話し合い、海藻を食べるためのノウハウやアイデアを交換する機会となります。開催は9月23日(金)16:30、フォーラム「ビジネスは海を救わない」の後に予定されています。参加ご希望の方は、こちらのフォームよりお申し込みください。

Sea Vegetableの共同設立者 友廣裕一さんと蜂谷潤さん
Sea Vegetableテストキッチン 石坂秀威さん
スローフード秋田は男鹿半島の雲昌寺の海藻精進料理を紹介

日本の調味料が勢揃い!

日本食に欠かせない調味料のほとんどが、日本ブースに並びます。新潟県十日町市から参加のまつのやま塩倉は、1200万年前の海水である温泉水から薬湯山塩を作っています。また、醤油は輸入大豆を使うところがほとんどで、国産大豆では北海道産が多いのですが、愛媛県大洲市から参加の梶田商店は、地元愛媛産の原料を使用する非常に珍しい醤油生産者です。愛媛県岡崎市からカクキューさんが参加する八丁味噌は、日本最古の味噌で、他の味噌が小麦や米も使うのに対し、大豆と塩と水だけから作られます。この伝統ある八丁味噌が、輸出用の数量を確保する目的で国が別の組合からの申請を登録したことで、GI保護制度(地理的表示)の問題に直面しています。このままでは2026年以降、最も古く伝統ある2つの八丁味噌の生産者、カクキューさんとまるやさんが、「八丁味噌」を名乗れなくなってしまいます。まつのやま塩倉と八丁味噌は、食材や取り組みについてより深く知っていただくため、日本ブースに小さな展示スペースを設けます。昨年、ユネスコ創造都市ネットワーク(食文化分野)にも加盟し、スローフードとも連携協定を結んだ大分県臼杵市も、良質な水を活用した醸造食品や、有機農業や地産地消の先進的な取り組みの経験を携えて、日本ブースで紹介します。

まつのやま塩倉
1200万年前の海水が湧き出る温泉水から塩づくり
県内産の原材料にこだわる梶田商店
八丁味噌の御影石を重石として積み上げる職人技

日本ブースでは、日本全国から集まった食材で、日本の食の多様性を味わって感じることができるおにぎりが提供されます。

帰国後には、どなたでも参加可能な報告会を開催予定です。
テッラマードレの情報見てスローフードに興味を持った!という方や、今回イタリアに参加してくてもできなかった日本のスローフードメンバーの皆さんにも、ぜひ参加していただきたいと思います。

イベント告知などの情報はSlow Food NipponのInstagramFacebookでチェックしてください!


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