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沼からの脱出法

今週木曜の夜、同世代の御仁との一席。
かれこれ20年お世話になっている方で、
二人して山形の料理と美酒を堪能した。

酔が進むと彼は少し困っていると打ち明けてきた。

彼が最近50歳代の部下Aさん(女性)と定期面談をしたときのこと。
Aさんは同じ部署の50代女性Bさんの言動が間違っていると主張してきた。
Bさんのやること成すこと、一挙手一投足が気にいらない。Bさんの声が大き過ぎる、男性社員にしか挨拶をしない、Bさんが突如休んだ日の穴を別の人が埋めた(肩代わりした)のに翌日お礼も言わずに、ペチャクチャおしゃべりしまくっている、Bさんから業務上届いたメールの一文字ごとが配慮不足と不親切で気に食わない……といった具合。

御仁は部下の話を傾聴することを目的とした面談なので、Aさんに特段、アドバイスをしなかったし、しないままタイムアウトになったとのこと。ただ、彼女の声にじっと耳を傾けたのだ。
このあと彼は全員の面談が済ませてから、管理職を集め、必要な範囲の情報を共有して改善を図るとのこと。
さすが彼だ、それが正解と僕は思う。
とくとくと諭すのが良いのではない。

Aさんは完全に煩悩の沼にはまっている。

こうしたことは、同僚との間だけでなく上司と部下でも有り得るし、家庭では嫁姑間、ご近所付き合いでも。夫婦やカップル間で起きるとかなり厳しい。
大抵の場合、一旦嫌悪感を抱いた相手の、その言動、態度の全てが欠点にしか映らなくなる。

要は沼なのだ。

僕も沼にはまった経験は多々あるし、
今でも時折、はまる。
そんなときの脱出法とは……。

【事前の思考3点】
①僕ら全員がこの沼に落ちる可能性がある。誰かの全てに嫌悪感を覚え、欠点しか目に入らない。ドロドロだ。また逆に嫌われる可能性もあるということ。

②誰かを嫌うという選択は自由であるということ。また「過去と他人は変えられない」の言葉通り、性格や癖は、本人以外の誰かが変えることは出来ない。半世紀以上生きてきた方々に、人生のあるべき生き方を諭すことの是非と難しさ。「もっと楽しく考えましょうよ」との助言では、そんなことはわかっている、短絡的なアドバイスだととられるのが関の山。

③Aさんは苦しんでいるということ。誰かを嫌う行為は、血液がドロドロになり、自律神経が乱れる。私生活で思い出して憂鬱な時間を過ごすし、職場でもベストパーフォーマンスが出来ない。憎しみや憤りは不幸に帰結する。

以上のことを踏まえ、
沼からの脱出法はあるのか?

完全攻略マニュアルはないと思う。

そのうえで僕が、沼ハマりを自覚したとき
どうしているか。

もう一人の聖なる自分を登場させる。

【もう一人の自分の声】

「おい、君、沼ハマりだぞ」

まずは3回自分に言う。これは沼であることと自覚する。だから、これ以上の批判や怒り、苛立ちは一旦ストップ!と。

「おい、お前、人のこと言えるのか」

僕も欠点だらけ。ブレる。やや誤魔化す。声が大きいときもある。せっかちだ。メール文だって完璧は有り得ない。人にうざいと思われている可能性はある。だから、それを自覚し、人を責めることはなるまいぞと。

「おいおい、もっと忙しくしていなさい!」

時間と気持ちにゆとりがあり過ぎる、要は暇なのだ。だから相手のことが気になって仕方ない。楽しいイベントの準備をしている最中や、大舞台でのプレゼントの目前、何かのトラブルに巻き込まれたり、等の場合、相手のことを気にするいとまはない。何かに没頭することがいかに大切か。

「ありがとう、ありがとう、ありがとう」

怒りの都度3回唱える。相手の言動を反面教師として捉える。「自分はあのようになるまい」「相手は悪い手本となり学びを与えてくれているのだ。僕はラッキーなのだ」
「影がなければ光は存在しない。相手は影になってくれている。光の素、天の恵み、天運自在。憎しみではなく感謝の対象」。

【最後に】
僕が彼の立場で、Aさんから、脱出方法を訊かれれば、上記の一部を端的に、簡略化して話すのかもしれません。

自分の力では解決出来ないことがあります。様々な悩みに言えることですが、目の前の出来事を、謙虚に感謝して、丸ごと受け入れることだと思っています。心の貯金箱に徳を貯める。確かに、そんなに簡単ではないけれど、そのほうが楽だし、楽しい。限られた人生の時間、楽しいほうを選ぶということです。笑顔で大きく包み込んだほうが人格を磨けます。

相手に何かの変化を期待するのではなく、自分の心の成長に目を向ける。相手に花を持たる、一枚上の役者になるくらいの柔らかな意気込みで、自分がひと皮剥ければ達成感や充実感で満たされます。お金では買えない宝もの、感謝と歓喜が湧き上がります。

後は、Let It Be。
そのうえでの風任せです。

そうこうしているうちに、時間は淡々と過ぎゆく。気がつけば周囲の景色は、様々な意味で変わっているもの。これまでもそう。多くの人が経験上、それを知っていますよね。

今日もお読みくださり、
ありがとうございました。
厳寒の折くれぐれもご自愛を!

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