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【architect】コンペ①|ザハ・ハディド

東京オリンピックのメイン会場となる新国立競技場

2012年に行われた国際設計コンペでザハ・ハディド氏設計の流線形の先進的なデザインが選ばれるも予算の超過を理由に2015年に白紙撤回されたことは多くの方がご存知だろう

ザハ・ハディド氏は若い時からアンビルドの女王と言われるほど先進的なデザインでコンペを戦ってきたが技術がデザインに追いつかず実際に建築されることは少なかった
しかし技術が進歩するとザハ・ハディド氏のデザインは世界中で評価され実際の建築として実現している
残念ながらザハ・ハディド氏は2016年に亡くなられてしまったが、ある意味新国立競技場はアンビルドの女王というザハ・ハディド氏の生涯を象徴する形となってしまった

ちなみにザハ・ハディド氏の設計事務所は彼女が亡くなった今でも、彼女の意思を継ぐ優秀なクリエイターによって引き継がれている
今までと変わらない先進的なデザインで世界中のコンペで戦い見たこともないような建築に挑戦している


ここで、ザハ・ハディド氏のデザインが新国立競技場としてふさわしかったのか、また建築された新国立競技場の良し悪しを議論するつもりはないし私にも何が正しかったのかは分からない
ましてや、このような未曾有の世界的パンデミックを誰が予想できただろうか

ただ国際コンペにおいて選ばれた案を白紙撤回した出来事は歴史的にみても恥ずべきことである

コンペというある種公平でなければならない競技において何が起きたかは定かではないが設計者の努力がないがしろされてしまったのは残念でならない

ここでは建築におけるコンペについて考えてみたいと思う

そもそもコンペには、実施を前提としたコンペアイデアを求めるコンペがある

前者は新国立競技場に該当し、さらにコンペ参加者を絞った指名コンペや誰でも参加できるコンペなどがある
新国立競技場は一定の経験をしている設計者のみが参加を出来るコンペで世界中から46の案が提出された

一方アイデアコンペは、実施を前提とはせずに広くアイデアを募るコンペである
コンペには賞金が設けられていることもあり上位の数名は賞金を手にすることが出来る
アイデアコンペには学生限定など様々なコンペがあるが、これには広くアイデアを募ることによって未来の建築を考えるヒントを提示することやその機会自体が建築家が自分のマニフェストを表現する舞台としても利用されている

現在の公共建築や民間の施設などでもコンペは日常茶飯事に行われている
コンペで建築または建築家を決めることは公平性の表れであり、そこに持ち寄られたアイデアの数々は建築を考えるキッカケとして大きな意味を持っている

またコンペは建築家が名を馳せる手段のひとつでコンペを主戦場として戦っている建築家もいる

コンペは負ければ1円にもならない仕事と化してしまう
それでもコンペにかける建築家は、そこに夢を持って命懸けで全力で戦っていると言えるのだ

歴史的に見てもコンペは世界でも日本でも行われてきた

しかしそこには政治や金、エゴや贔屓など建築を取り巻くあらゆる思惑が渦巻く決してきれいとは言えない事件が付き纏っていることが多い

コンペに纏わる事件は、純粋に夢を持って参加した建築家に不信感を与えかねないものなのである

オーストラリア、シドニーのシンボルである海に浮かぶオペラハウスもコンペによって選ばれた優れた建築である

そんなオペラハウスにもコンペをめぐる事件があった

(つづく)


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