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養蜂部|週末養蜂、始めてみた。

サラリーマンをしながら、週末に京丹波町で養蜂家として活動している大塚伊織さんと山口拓人さん。ふたりは出身も経歴もバラバラですが、養蜂と耕作放棄地でしっかり稼ぐ!というキーワードの元、一致団結して「berich」という団体で活動しています。

「僕たち、こんな感じで耕作放棄地が~!って言ってますけども、結局のところ蜂が好きで可愛い!って思ってる人たちなんです!」というお二人の活動は、ユーモアたっぷりで、それでいてとってもロジカル。
そんな大塚さんと山口さんの養蜂活動のアレコレ、聞いてみました。

大塚伊織さん(左)と山口拓人さん(右)

大塚 伊織
養蜂家 兼 サラリーマン。
自転車日本1周→世界一周バックパッカー→インドネシア留学→大阪のメーカーで勤務/養蜂家。東京都出身、兵庫県在住。

山口拓人
養蜂家 兼 サラリーマン。
小学生の頃から農家に憧れる。大学で機械工学を学びながら援農活動を行う。社会人になり、大塚さんの養蜂仲間探しをインスタで発見し、ともに活動を開始。大分県出身、滋賀県在住。

berich
大塚さんと山口さんの活動団体名。
田舎に放置された土地(耕作放棄地)でもしっかり稼げることを証明することをコンセプトにしている。


蜂の種類は?

日本には大きく分けて日本蜜蜂と西洋蜜蜂の2種類いるんでけど、僕たちは西洋蜜蜂の養蜂家です。
大きく何が違うのかって言うと、日本蜜蜂が野生で、西洋蜜蜂が家畜。それによって収量・始めやすさ・手間が違います。
収量で言ったら西洋蜜蜂の方が多いです。家畜化する過程で野生から収量の多いものを交配させていってるからなんですね。

始めやすさで言うと、西洋蜜蜂の方がやりやすいです。
何でかって言うと、西洋蜜蜂は買えるんです。だいたい5~6万円あればひとつのコロニーが買えますよ。
しかも蜂を買ったら、段ボールに入ってチルド便で運ばれて来るんですよ。それを見たときは衝撃でした笑。
日本蜜蜂は野生だから、飼えるかどうかは運次第。

手間は、日本蜜蜂の方が圧倒的に楽です。野生なので何もしなくて良いっていう笑。西洋蜜蜂は家畜だから、人間がいなくちゃ生きていけないんですね。なので、もし皆さんが蜜蜂と触れあいたい!お世話したい!と言うのであれば、西洋蜜蜂をおススメします!
日本蜜蜂はちょっかい出しすぎるとお引越ししちゃうっていうのも聞くので…。


もうちょっと詳しく、西洋蜜蜂のこと。

家族/コロニー(群)は10,000匹~20,000匹くらいの数だと安定してる感じです。この中に女王蜂とたくさんの働き蜂、季節によってはオス蜂がいます。
よく「何匹飼ってるの?」って質問されるんですけど、匹って言うより群で考えますね。

食べ物は、蜂も動物なので炭水化物・脂肪・タンパク質の三大栄養素が必要なんですけど、はちみつが炭水化物と脂肪、花粉がタンパク質になります。
花粉を食べるっの?って思われるかも知れないですが、栄養として必要なんですね。

活動範囲は、巣箱を中心に半径2km。その範囲にある木の花・草花から蜜をとってきます。
なので都市部でも草木はあるので、はちみつは採れます。花の量が少なくなると、その分収量は減りますけどね。
僕たちが養蜂をやっているのは京丹波町っていうところなので、はちみつは丹波栗の花が主で、カラスザンショウとか柑橘類などの蜜が入っている夏の百花蜜になってます。

それと収穫物は、はちみつだけでなく、プロポリスやロイヤルゼリー、ミツロウ、ビーポーレン、蜂の子…と色々あります。


養蜂って何するの?

大きく2つあって、ひとつは内検、もうひとつは採蜜です。

内検は「蜂を増やすための作業」です。
増やすために何をするの?って言うと、週に1回巣箱を開けて、蜂がどんな状態なのか健康診断します。
病気だったら治して、ご飯が足りてなかったらあげてって感じです。
もうちょっと詳しく言うと、巣箱の中のはちみつと花粉、幼虫のバランスを見るんです。これを3月~11月くらいにやっています。

この作業はそんなに頻繁にやるものでもなくて、だいだい週1回。それでも農家さんに多いって言われてるんですが笑。2週間や1か月に1回っていう方もいるそうです。

採蜜は「はちみつの収穫」ですね。年に2~3回やってます。

内検の様子。蜂や巣をしっかり確認。
いよいよ採蜜!

どこでやってるの?

京丹波町というところです。スーパー過疎地です笑。冬には雪も降ります。

そうそう、こういう雪がすごいところで冬場、蜜蜂ってどうしてると思います???
実は何と、寒さで死んでしまったり、冬眠したりせずに過ごしてるんですよ。女王蜂を真ん中に囲んで、みんなで発熱するので、外がどんなに寒くても、蜂たちの周りは18℃に保たれているんです。


規模と収入源って?

12群・200,000匹を飼っていて、はちみつの販売や、養蜂体験の受け入れをやっています。この他に、飼育指導飼育代行っていうのもあります。

飼育指導は、飲食店さんが都市養蜂をやりたいってことで、道具や蜂の飼い方のアドバイスをします。
飼育代行は、今地方自治体と一緒にやってるんですが、自治体の公園でやる養蜂の飼育をしたりっていうのがあります。
他の養蜂家さんだと、農家さんに授粉用に蜂を貸したり売るっていうのもされてるようですね。こんな感じで、養蜂って言ってもはちみつを売るだけでなく、いろんな収入源があります。

養蜂体験、受け入れています!

養蜂は儲かる??

副業でのお小遣い稼ぎにはなりますね。一攫千金は難しかも笑。
でも野菜に比べると単価が高いし、国産はちみつは需要が強いので、僕たちのはちみつもすぐに売切れます。あとは腐らないっていうのも強みですね。
はちみつ販売は、自分たちでやっているうちは良いと思うんですけど、拡大していって業者さんに卸して…ってなると大変になるかなあって思います。

でも今の状態は、僕たちのコンセプトである「耕作放棄地で稼いでいく」っていうことを考えると、割とマッチしているなって思っています。


蜂と暮らして良かったこと

コミュニティができた

一番不思議なのは、蜂をやっていると人が寄ってくるってことです笑。
蜂を始めるとコミュニティができるんですよ。そしたらあたかも自分が主人公みたいに中心になって、いろんな人が集まってくれるっていう…。

僕たちの場合、京丹波町の地域の友達、養蜂体験のお客さん、全国の養蜂仲間とかね。養蜂体験に来てくださったお客さんとも長くつながっていて、連絡をとって遊びにいく方もいます。

蜂の生態が面白い

蜂って、成長の段階ごとに仕事が決まってるんですよ。最初は掃除係、それから育児、巣作り、はちみつ作りってなって、その後で蜜と花粉集めになります。なので、皆さんが見たことのある蜂は外勤期の蜂なんですね。
養蜂を始めると、巣の中で仕事をする蜂が何をやってるのかっていうのも見れるのですごく面白いと思います。

はちみつに興味を持つようになった

はちみつって、一期一会なんです。
花の違いもありますけど、季節とか年、地域で色も味も全然違ってきます。
同じ地域でやっても、その年その年で変わるんですね。だから同じはちみつには出会えないっていう、すごく儚い食べものだなぁ~って感じます。
今年の3月には、ハニーハンター市川拓三郎さんとはちみつ食べ比べイベントも開催して、はちみつの魅力と奥深さにグッと迫りました!

はちみつ食べ比べイベント(2022年3月開催)

スモールファーマーズの「養蜂部」

最初は僕たち(大塚・山口)が部長・副部長になって始めたんですが、集まった皆さんにもそれぞれの地域で養蜂活動をやっていただいて、みんなで養蜂を盛り上げていきたいなって思っています。

養蜂部に参加したい!という方は、NPO法人スモールファーマーズのサポートメンバーにご登録くださいね。
皆さんのご参加、お待ちしてます~。


大塚さんのnoteで、養蜂活動情報発信中!


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