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日記を書くために、ノートを広げてから、閉じてみる ~とあるOLの乳がん日記【134】

どういう状態になったら退院できるんだろう、と考え始めていたので、先生がちょうど来たときに、私はいつ頃退院できるんでしょうかと聞いた。

そうして会話をしている流れで、先生は私が日記をつけていることを知ったので、先生は少し考えて、日記を書くのはやめたほうがいいと言った。

なので、なんでだろうと思ったら、日記をつけていると、例えば、もう何日も入院しているのに、ちっともよくならないとか、そういうのを数えてしまうようになる、ということだった。
だから、まさに今私が気にしているような状況だった。

先生によると、それは、治療にいい影響がないということだった。
なので、そうなんだと思って、じゃあ、退院の目安はなんでしょうか?と聞いてみることにした。

相変わらず夜は起きてしまったりするけれど、なんとなく、以前に比べたら、遥かに調子がよくなってきた気がしていた。
そう聞いてみたら、先生は、そうですね、と言って、外出したりすると、ひとつの目安になりますね、と言った。
そして、そろそろ外出してもいいですよと言った。

外出してもいい、というのを聞いて、そうなんだ、別に私は外に出てもいいんだ、と思って、ちょっとびっくりした。
そうか、出ていいんだ、というか、別に本当は、外出禁止なんて言われていなかったと思った。

全然動いてないから、きっと運動不足になってるだろうと思った。
だから、さっそく明日歩いて出かけようと思った。

先生とのお話が終わったあとに、私はすぐに母に連絡した。
おばさんがお見舞いに来てくれたことと、あと明日外出するということを伝えると、誰と?と聞いてきたので、先生から外出許可が出たと伝えると、母はすごく喜んでくれた。

外出時間はどれくらいなの?と続いたから、なんとなくお昼ご飯を外に食べに行こうと思って決めた、11時~14時にしたことを伝えたら、すごい!3時間も外出できるのねと、さらに喜んでくれた。
だから私まで嬉しくなった。

世の中はだんだん暑くなっていたので、母が、洋服は暑くない?と聞いてきた。

外出することなんて、全然考えていなかったので、洋服は入院するときに着てきた洋服しかなかった。
でも、まあ大丈夫、と答えたら、母は、暑さなんてくそくらえだね、と言った。
母らしくない言い方に、少し笑ってしまった。

**

その日の夜、日記を書こうとして、ノートを取り出した。
でも、先生の言ったことを思い出して、ノートを閉じた。

こうして、2018年10月31日から書き始めた日記は、何の前触れもなく、2019年6月17日に、突然終わった。

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