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ジャスパー・ジョーンズの描いたものは?

 Contemporary Artist "Jasper Johns"

 現代美術って、よく分からないものも多いけど、中には、自分の感性にひびく作品もあったりするのです。
 そんな記憶に残る作家さんを ”note” していきたいと思います。(以前の現代美術なんで、すでに現代ではなくなっていることに留意です。)


ジャスパー・ジョーンズ

アメリカ合衆国のアーティスト(1930/5/15 ~ )
ネオダダやポップアートの先駆者として重要な役割を果たした代表的な作家。


【ジャスパー・ジョーンズの絵画】

 ジャスパー・ジョーンズは、1950年代頃から活躍してたアーティストなので、自分が現代美術に興味を持った頃は、全盛期は過ぎていたものの、まだまだ存在感のある現役作家でした。

 ジャスパー・ジョーンズは基本的には画家です。
 どんな画家だったかというと、「旗」や「標的」、「地図」、「数字」などを描いた画家。
 シンプルなんですが、説明すると、ほんと、こんな感じのアーティストなのです.....

 では、代表作を説明していきたいと思います。

 

『 Flag 』

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 誰が、どう見ても、アメリカの星条旗なんですが、ジャスパー・ジョーンズが、そのキャリアの初期から描き続けたモチーフです。
 全部で40作~50作あると言われる『 Flag 』なんですが、中にはバリエーションもあって、『3つの旗』や『白旗』なんて作品もあります。

『3つの旗』

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『白旗』

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 まあ、多少の違いはありますが、結局、全部 ”星条旗” だったりするのです。(全作品を見たわけではないですが、おそらく!)


 なかなか楽しいアーティストだと思いませんか?

 さて、次の代表作。


『 Target 』

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 これまた、初期から繰り返し描かれているシンプルなモチーフで、赤背景の、青と黄色の同心円で描かれた『標的』です。
 こちらもバリエーションがあるのですが、レリーフと組み合わされた作品が有名です。

『4つの顔と標的』

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 と、こんな調子なんです。

 ジャスパー・ジョーンズは、ずっと、誰もが認識している”星条旗”や”標的”を描き続けた画家なのです。
 じゃあ、ジャスパー・ジョーンズは、なぜ、”星条旗”や”標的”を描いたのか?ってとこが重要になるんですよね。

 .....いろんな解釈がありますが、
 私的な解釈としては、”あくまで、これは「旗の絵」であって、決して、本物の「旗」ではない。ただ、「旗」として認識される物体である。”って感じですかね。
 たとえば、写実的な絵画というのは、画面の中に立体感のある世界を描いたりするんですが、絵画はあくまで”絵画”という物体なんだってことを表現した作品だと思うのです。

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 初期の代表作『旗』と『標的』からは、そんな新進気鋭の尖った感が漂ってきて、なんか、かっこいいんですよね。
 自分も、そういうスタンスに憧れたのでした。

 後年も、繰り返し、この2つのモチーフは使われるのですが、初期の尖った感じではなく、「星条旗のストライプって永遠だよね。」「いやー、やっぱ、同心円ってきれいだよね。」みたいな、ちょっと肩の力が抜けた雰囲気があるんですよね。
 なんとなく、自分のイメージに対するセルフパロディみたいな感じもするんですが、どうでしょう。


 では、続いて中期の代表作

『 Map 』

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 一見、抽象絵画のようにも見えますが、実は、合衆国の「州地図」を描いたものです。

 皆が認識しているものがモチーフとなっているのは変わりませんが、『旗』と『標的』とはアプローチが違ってるように感じます。

 「旗」と「旗の絵」のような境界線を描いたものではなく、「地図」のイメージを使った「地図の絵」みたいな感じで、より絵画的なアプローチになってますよね。

 実は、中期は、初期とは違って、ほんと絵画っぽい(今でいうとグラフィックぽい)感じの作品が増えていくるんですよね。

 そのいい例が、中期のもうひとつの代表作

『Numbers in Color』

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 「数字」を描いた作品なんですが、けっこう、「数字」モチーフの作品は多くて、0から9までの数字を重ねて描いた作品も有名です。

『 0 through 9 』

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 「地図」にしろ「数字」にしろ、”描いてる!” って感じが強いですよね。

 そして、あらためて思うのは「数字」って、なかなかいい形状なんですよね。かっこいい!

 実は、ジャスパー・ジョーンズの描く「数字」が大好きだったんです。

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 カッコよくないですか?

 私も、私なりの「数字」を描いてたりしたんですが、なかなか「数字」は奥が深いモチーフだな、と、いつも思ってたんですよね。

 多分、自分が現代美術に興味を持ち始めたのは、このジャスパー・ジョーンズとの出会いが大きかったのかな... と、今ではそう思います。

 あまり著名なアーティストではないんですが、国内の美術館に所蔵されてる作品も意外とあるので、ぜひ、気にかけてみてください!


(現代美術関係"note")