綾辻行人の3番目の"アナザー"
3rd "Another"
綾辻行人さんの『Another2001』を読んだので、このシリーズについて ”note” したいと思います。
このシリーズは、これまで『Another』(2009)、『Another エピソードS』(2013)が既刊で、今回は7年ぶりの新作となります。
いつもの遠田志帆さんの装画による本なんですが、前の2作より禍々しさが増してる感じです。
ただ、手に取ってみて驚いたのが、その厚み!
なんと800頁超!
まあ、第1作目も600頁超だったので、かなり厚かったのですが、今回はさらに厚く、寝転んで読むと手首を痛めそうな感じでした。
ただ、読み始めるのに怯んでしまう厚みですが、読み始めてみると、ぐいぐいと引き込まれて、一気に読了してしまいました。
けっこう面白かったです!
「このミステリーがすごい!2021」では第3位だったのですが、私的には1位にしたいぐらい面白かったです。
第1作目は、けっこう読みづらかった記憶があるんですが、この本はかなり読みやすかった感じなので、安心して読み始めてもらえればと思います。
ここから少しシリーズのネタバレがあります。
そもそも、このシリーズは、夜見北中学校三年三組で起きる”災厄”と呼ばれる事件を描いたものです。
”災厄”というのは、クラスの生徒・教師やその家族が、毎月、何人かずつ、事故に巻き込まれたりして亡くなってしまうという怪現象なんですが、その”災厄”の要因となっているのが、三年三組に“死者”がまぎれこむという現象で、新学期の初日に、準備されていた机や椅子が1セット足りなくなっていることで、1人多いことがわかるのです。
この“死者”がまぎれこむ現象が発生すると、併せて関係者の記憶や記録に改竄が行われるため、クラスの中の誰が“死者”なのかは分からない設定となっています。
通常のミステリーだと、犯人を捜す物語ですが、このシリーズでは、その“死者”が誰なのか?という構図になっているのです。
もちろん綾辻行人さんの作品なので、そこにはいろんな罠がしかけられているのはもちろんですが、多少のホラー風味も加味されていて、読んでるとちょっとゾワゾワすることもあります。
さらに、驚いたのですが『Another2001』では、“死者”が誰なのか提示されていて、読者はそれを知りながら読み進めるわけで、どのように記憶の改竄が行われるのか、その様子が見えるのが面白いとこなのです。
ただ、単純に終わるはずもなく、“夜見山現象”史上最凶の“災厄”に対して、主人公たちがどのように立ち向かっていくのか見守ってほしいと思います。
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■遠田志帆(えんた しほ)さんの装画について
この”Another”シリーズをはじめとして、綾辻作品の装画といえば、遠田志帆さんのイラストなんですよね。
Anotherシリーズをはじめ
などなど、よほど相性がいいのか、角川書店の本は、ほとんどが遠田さんのイラストになっています。
自分としては、そんなに得意な感じタイプじゃないんですが、おどろおどろしさをまとっていて、綾辻行人さんの世界にはピッタリだと思っています。
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■Anotherシリーズの完結編について
作者のあとがきで、綾辻行人さんが、もう1冊、このシリーズを書く予定と公言してるのですが、噂ではタイトルが「Another2009」?になるらしいです。
まあ噂なんですが、今回の2001に、2009には中学3年生になると思われる登場人物がいるので、そこらへんの話になりそうで楽しみなところです。
ただ、綾辻さんのことですから、読めるのはいつの日になることやら....
心配なシリーズが、また、現れたのかもしれませんね。w
(関係note)
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