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実際の「セカンドハラスメント」とは ①

ハラスメント問題は直接的なものばかりではなく、「セカンドハラスメント」という、ハラスメント被害を相談した際に受ける、2次的被害も含まれています。このセカンドハラスメントに1番関わるかもしれない立場にいるのが相談担当者です。相談担当者の立場になった際にはこのことを常に心に留めておく必要がありますが、イメージしづらい人もいるでしょう。実際にどんなケースがセカンドハラスメントになってしまうのか、具体的なケースを見ながら考えてみましょう。

ケース1:解決のために伝えたことで逆に広まってしまった。

セクハラ相談を受けた事業部長のA部長。今後は2度と同じことが起きないようにするため、「ハラスメントは絶対に許さない」という強いメッセージを社員に伝える必要性を実感。部内の全体会議で「事業部内でセクハラがあるという報告を受けた。職場でのハラスメントは断じて許さない」と厳しい口調で伝えた。

部署内には女性営業は2名しかおらず、その他は男性社員。2名の女性社員のどちらかなのではないかと考えられ、会議終了後、社員の間で「誰が部長にセクハラ被害を報告したのか」という被害者探しが始まる(注:現代のセクハラの観点では、男性社員も考えられる。このケースでは被害者は女性社員)。さらに加害者探しも始まり、「セクハラならB主任なのでは?」「B主任はこれで次は異動だろう」といった噂があちこち流れ始める。

女性社員は「セクハラというのは本当か?」などと同僚に聞かれたり、被害に遭った女性という目を向けられたりすることで職場に居づらくなり、メンタル不調になってしまった。

断固とした態度を取ろうとしたことが裏目に

事業部長は、同様のことが今後職場で起きないようにと全体に注意をしただけのつもりだったかもしれませんが、その行為自体がセカンドハラスメントになってしまいました。上司として断固「ハラスメントは許さない」という姿勢を示そうとしたのでしょう。その姿勢自体はハラスメント防止には大切なことです。ただ、自分の行為がその後どういう結果に繋がるのかは考えるべきです。信念や正しい行為だったとしても、被害者にとってさらに問題が深刻になるようでは意味がありません。ハラスメント問題は、ただ単に正しいと思われる行動をすれば良いわけではないところが難しいところでもあります。被害者にとって、何が1番良いのかを考えられるといいですね。

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