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よわいひと

過去に精神的に落ち込む出来事があったとき、孤独に耐えきれず禍々しい渦に呑まれては毎日酒を飲み、吐きながら寝てを繰り返して仕事もついには辞めたことがあった。自分のことも十分にケアをして生活することができていない状態が続いても、狂いながら息をした。

目覚めた瞬間から殴られ蹴られ引きづられて、血塗れになる日々に「殺されるんかな」と毎日息を潜めて怯えながらなんとか呼吸をしていたときも、自分の犯した罪がその場から逃げるきっかけとなり、自分の罪に掬われて今息が続いている。

幼い頃から良くも悪くも運が良くて、自分が案外心身共にタフなことも早くから気がつき、なんとかなると思えば自分がなんとかするように動くから結果的にその時々の周囲に支えられてなんとかなってしまうことも、昔からよく知っている。

薄情で稚拙でクソみたいに浅はかなことだとわかってはいるけど、診断名がついた病気を何か患っていたら楽なのだろうかと羨ましくなったこともあった。窮地に立ったとき何か深刻な病気だと判明したり、殺されたり、死に向かうことができていたら儚く美しいつよい人として認識してもらえたのだろうか。

地べたを這うように嘘を吐いて身を護り意地だけで生きてきた人の執念深さは、つよさは、美しくはないのだろうか。

そんなに八方美人で消え入りそうな人が美しいのだろうか。

人間は脆い、壊れて再構築される。しかしその度に強度を増してしまう。複雑化されたものは案外シンプルなはずなのに、複雑であってほしいと傲慢に考える。怠惰。

今たまたま生き延びていて、呼吸をしているという感覚が抜けない。明日死んでも特に困らない。いつでも何かの間違いで轢かれたりしないかなとか思っちゃう。

もっとたいせつにだいじに接してほしかった。
もっと美しいと言われたかった。
「がんばったね」なんて言葉要らない、何も頑張ってないからそんな言葉は要らない。今言われたら「馬鹿にしてんのか」って唾吐きかけちゃうから。

あくまでぜんぶ、わたしの場合のはなし。
わたしの生きた地獄でのはなしのこと。

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