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#46 輝く都市

"輝く都市"を読了。
ここ最近は集中して学問/思想について学びを深めていたので、学ぶ方向性をガラッと変えたくなり、現在仕事でも関わっている「まちづくり」について基礎的な知識を学ぼうと思い、コルビュジエ氏の本作を手にとってみた。
コルビュジエの名前は知っていたけど、近代建築の巨匠ということくらいで、とにかくスタイリッシュな建築を推している人物かと勝手に思っていたけど、本書を読んでだいぶ印象が変わった。
技術革命を受け入れつつ、人間中心設計を大事にしているアプローチなんだなーと知った。
経済的価値(胃)、家族的価値(性)、精神的価値(頭)それぞれの役割を整理しながら理想的なまちづくりアイデアを述べている内容。

ただ、何度か本書だけを読んでもなんとなくしか本書の主張について理解できなかったので、以下の情報をキャッチアップしたところ、だいぶ体系的に本書の立ち位置を掴むことができた。

一般社団法人大都市政策研究機構「コルビュジエの「輝ける都市」は特にわかりやすかった。

https://imp.or.jp/wp-content/uploads/2021/12/special-3.pdf

あとは、そもそも「近代建築の五原則」についてわかりやすく解説してくれている下記リンク先も良かった。

●ピロティ(1階部分の壁をなくし、吹き放ちにすること)
●自由な平面
●自由な立面(ファサード)
●水平横長の窓
●屋上庭園

また、下記の3つの実際にコルビュジエが建築した都市、ユニテ・ダビタシオンを知ることで、本書で書かれている内容をより具体的にイメージすることができた。

インド北部チャンディーガル
https://architectourism.jp/india-lecorbusier-travelimage2/

マルセイユのユニテ・ダビタシオン

フィルミニの4つの建築群



輝く都市はどうやら森ビルも参考にしてヒルズを建築したらしい。恐るべし。
ひとまず最低限のベース知識をインプットできたので、次はアテネ憲章のベースにもなった輝く都市を批判的に論じている主張についても学びを深めていきたいと思う。

以下、学びメモ。

ーーーーー
・機械工業が手工業にとって代わり、職人の代わりに機械ならびに工業労働者が現れた。家庭はその統一を破られた。毎朝父親も母親も娘も息子も、みな各々何かの仕事に出かけてしまう。仕事はそれぞれ異なっており、時には全く相反するようなことさえあるのだ。信頼という人間関係の伝統的な基礎が破壊された。
→現在の社会では、消費者は生産者を全く知らないのである。昔は1つの尺度として通用していたものも、今日ではもはや古い伝統を奪われた社会、機械化された新しい文明の未知の荒野に足を踏み出した社会の動きを測ることはできなくなっているのである。
・技術革命の成就が現代の建築への道を開いた。この大きな変革の本質的な原因は3つある:
①強度計算の確立
②意識の進化
③機械主義の第一期の間に成し遂げられた造形美術における美学上の革新
・人間の作り出したものと、自然の作り出したものとを支配する統一を新たに探求し、再び見出し、再発見する。人間は自然の産物であるから、したがってまた自然の鏡でもある。自然は全宇宙の一部をなす。全てに調和が行き渡るようにするには、人間の精神の作業にも自然の仕事にあるのと同じ精神を与えなくてはならない。
・生命は内から外へと発現し、光を目指し、空間に身をまかせて花を開く。建築や都市計画もこの同じ法則、内から外へと発現し、自分の周囲にあるものを厳しく裁断する法則にしたがって展開する
・★E・T・ジラールは諸道具を分類して3つの大きな方向軸に配列した。★
①経済的価値(胃)
②家族的価値(性)
③精神的価値(頭)
・都市を街路の制約と圧制の下から解放する必要がある。
・生活条件として、経済的とは「食糧供給」、家族的とは「住宅」、精神的とは「社交」という要素に結びついている。
・今後、工業生活を支配すべき良き条件:
①秩序と清潔
②自然の条件の復活
③住居地区の接近、および毎日の長い通勤者輸送の廃止
④直線上工業都市の明確な施設設定により、労働人口の浮動性をなくすこと
⑤農村生活と、実際に調和良く接触を保つこと
・次の3つの集団は人間の仕事に依存する
①大地に関するものは、農地開発単位を要請するものである
②原料の加工変化に関するものは、工業都市、直線状都市を決定するものである
③商業の分配、および交換に関するもの、行政管理に関するもの、思想に関するもの、統治に関するものなどは、各種の分化せる、ないしは継続している形式の下に、同心円的放射状都会の再編成を行うものである

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