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あなたの話、伝わってますか?

「あの人は分からない人だから仕方ないよね」

って言う支援職の人に考えてほしいこと。

相手に届く言葉を選ぶ。

電話対応している話し方で、誰と話をしているかが分かる人っていません?
それは相手に合わせて言葉や話し方を変えられる人なのだと思います👏

一方で
「あ~◎◎さんは、言っても分からないよ」
という職員もいませんか?

大変失礼ですがそれは、
「私は伝え方のバリエーションがないです」
と言っているのと同じだと思います。

物申す!

人の言動には必ず理由がある。

私はろう重複障害者の施設で働いてました。

聴覚障害に加えて、知的障害や精神障害など
複数の障害を持つ利用者さんたち。

そこで学んだことをお伝えしたいと思います。

人の言動には必ず理由がある。

新人の私はそこそこ手話を習得していて
聞こえない友人と流暢に語り合えていて若干、天狗になってました。
そんな私が就職して、打ちのめされたんです。
コテンパンに。

だって手話の単語はある程度知っているのに
利用者さんの手話が読み取れないのです。

「嫌よ嫌よも好きのうち」ではない

その時、聞こえない職員(第一言語が手話)
に叱られました。

手話にとらわれるな。

私がとらわれていたのは
「手話」つまり「言葉」だったのです。

人は言葉だけで伝えているのではありません。
表情(目の動き、口角の動き等)や雰囲気(嬉しそう、悲しげ等)
そこにもメッセージが発信されています。


彼は何を答えるにも
「お母さん」から始まる人でした。

私「おはよう!元気?」
彼「お母さん!元気!(笑顔)」
私「??」
彼「お母さん!おいしかった!(笑顔)」
私「????(お母さんのご飯の話?)」

「お母さん」が主語の理由

彼は聴覚障害と知的障害を重複しています。
学校の授業が理解できない。
友人との会話もついていけない。
彼に残された人間関係はお母さんだけでした。

でも私は気になることがありました。
彼が「お母さん」の顔を見る表情の必死さ。

「お母さん」はとても厳しい人でした。
「お母さん」が急に怒り出さないか不安だったのかもしれません。
「お母さん」と手話をすると喜んでもらえたのかもしれません。

彼にとっては「お母さん」が最後の砦であり
人生の主語になっていたのかもしれません。

どうしたら彼女の本当の気持ちが理解できるでしょう?

伝え方を変えてみました。

私「あなたの好きなもの何?」
彼「お母さん 好き!(笑顔)」
私「違う。あなたは?」
彼「・・・・?」


あなたの「好き」を知りたいんだよ

「理由」が分かるから「伝え方」が工夫できる。

このイラストで伝え方の工夫、伝わるでしょうか?

彼に「お母さんじゃなくてあなたの話をして」
と言葉を並べたとしても伝わらない。

①私が聞きたいことは「あなた」のことだよ。
→指差し
②「お母さん」という言葉がほしいわけではないよ。
→「違う」という手話+違和感のある表情
③あなたの話が知りたいんだよ
→本人の話が出て来たら「笑顔」で反応

を繰り返していきました。


さて本題です。

あなたの目の前にいる人は
本当に「分からない人」ですか?

取り立て屋CW…

ここにも
提出しない「理由」があるはずなんです。

その人は収入申告書の書き方を理解していますか?
相手にとっては複雑な書類かもしれません、

どうして書かなければいけないのか?
が納得できないのかもしれません。

紙を無くしてしまうのかもしれません。
訪問した時、お部屋は整理整頓されてましたか?

そもそも収入申告書を出すまでにはたくさんの段階があります。

「書く」
「封筒と切手を買う」
「宛名を書く」
「投函する」

郵送以外にも、窓口に提出する方法もあり、判断も必要です。

その人は自分の状況に応じて判断ができるでしょうか。

分かっていないのは
相手ではなく
あなたかもしれません。

ケースワーカーに
申請書を渡せない理由は何だろう?

その人の「理由」を知って工夫していく方が
申告書も集めやすくなるかもしれません。

彼が教えてくれたこと

「好き」いっぱいあったね

さて。
彼は少しずつ変化していきました。
毎朝、私のところにきて、
自分が好きなことを伝えてくれるようになりました。

彼から私が学んだこと

どんな人にも
「理解しようとする姿勢」は伝わる

障害がゆえに
複雑な言葉を理解するのが苦手な人。
相手の表情を読むことが苦手な人。
高齢で認知機能が低下していている人。
ど~んな人でも!
です。

いつも自分が問われているのだ
忘れずにいたいものです。

その話はまたどこかで。

お互いに「伝え方」鍛えていきましょ~!


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